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妄想 【新装版】 ルートウィヒ・ビンスワンガー(著/文) - みすず書房
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妄想 【新装版】 (モウソウ)

医学
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発行:みすず書房
四六判
重さ 370g
256ページ
定価 4,500円+税
ISBN
978-4-622-08940-7   COPY
ISBN 13
9784622089407   COPY
ISBN 10h
4-622-08940-8   COPY
ISBN 10
4622089408   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C3047  
3:専門 0:単行本 47:医学・歯学・薬学
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年7月8日
書店発売日
登録日
2020年6月16日
最終更新日
2020年7月9日
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紹介

ルートウィヒ・ビンスワンガーは現存在分析論に立脚した精神医学を創始し発展させてきた。しかし主著『精神分裂病』を完成した彼が晩年にいたってフッサールの現象学の持つ精神医学にとっての重要性をあらためて強調し、『うつ病と躁病』(1960)を発表したことは、当時の人間学的精神医学の内部に大きな波紋を呼び起こした。
その五年後に刊行された本書は、前著に対する批判に答えて現存在分析から現象学的方法への移行を示しつつ、三つの症例の周到な現象学的記述を試みたビンスワンガー最後のモノグラフィーであり分裂病論の総決算である。
症例のなかでもストリンドベリのそれは時間性の障害に基づく自己構成の障害と深く関わる「間接現前」の障害を鮮明に表している。妄想において問題となる相互主観性の領域の出発点ともいえる他我構成論に着目し、妄想における「他者性」の解析を行った先見性など、今日においても本書の意義は大きい。

目次

まえおき

A 存在論的-現存在分析的基礎づけ

A-B 妄想の現存在分析的基礎づけから現象学的研究への移行

B I 経験および妄想-〈経験〉の特性の現象学的記述
「正常な」経験と妄想-経験の諸段階
綜合の第一段階――知覚(ペルツェプチオン)
綜合の第二段階――妄想-知覚(ワールネームング)ないし妄想-統覚
第三段階――妄想-〈経験〉

B II 経験のなお一層の現象学的構築および妄想-経験のなお一層の解体
I 経験のなお一層の現象学的構築
II 臨床例について示される妄想経験の現象学的解体
症例アリーヌ
1 精神病理学的所見 2 現象学的記述 (a)直接的認知 (b)妄想における形象形成の貧困化のなお一層の結果 (c)構成 (d)アリーヌと構成的経験の問題 1 私(イッヒ)の極からみて 2 統一的世界の構成の挫折
症例シュザンヌ・ウルバン
1 R博士を「全家族の絞刑吏」とみなすこと 2 自己の人物(ペルゾーン)の役割 3 精神病理学的分析と現象学的解釈 (a)中傷妄想 (b)被害妄想と迫害妄想 (c)中傷妄想(a)と被害妄想および迫害妄想(b)とのあいだの時間的差異
症例アウグスト・ストリンドベリ(1849-1912)
1 精神病理学的所見 2 ハイデガーと彼のフッサールの志向性に対する批判への回顧。存在論的および存在的真実 3 いままでの症例の短い要約 4 症例アウグスト・ストリンドベリの現象学 (a)未知なる者との出会い (b)激動の精神 5 総括

C 宿命の論理

原注
訳者あとがき

著者プロフィール

ルートウィヒ・ビンスワンガー  (ルートウィヒビンスワンガー)  (著/文

1881-1966。スイス、クロイツリンゲンに生れる。家は代々高名な内科医や精神科医を送り出している名家。コンスタンツのギムナジウムを経て、1904年以後ローザンヌ、ハイデルベルク、チューリヒの各大学で医学を学ぶ。学生時代思想的にはカント、ナートルプ、リッケルト、精神医学に関してはボンヘッファー、E・ブロイラー、ユング、フロイトの影響を受ける。1911-56年私立精神病院の院長。フッサールの現象学、ハイデガーの現存在分析論に立脚した人間学を研究。主な著書に『精神分裂病』I・II(みすず書房、1960-61)『現象学的人間学』(みすず書房、1967)『うつ病と躁病』(みすず書房、1972)『妄想』(みすず書房、1990)『思い上がり ひねくれ わざとらしさ』(みすず書房、1995)がある。

宮本忠雄  (ミヤモトタダオ)  (翻訳

1930年埼玉県に生れる。1954年東京医科歯科大学医学部卒業。精神医学専攻。自治医科大学名誉教授。1999年歿。著書『精神分裂病の世界』(紀伊國屋書店、1966)『人間的異常の考察』(筑摩書房、1970)『現代の異常と正常』(1972)『言語と妄想』(1974、以上平凡社)『妄想研究とその周辺』(弘文堂、1982)ほか。訳書 フランクル『時代精神の病理学』(1961)『神経症』(共訳、1961)ビンスワンガー『現象学的人間学』(共訳、1967)『妄想』(共訳、1990)メルロ=ポンティ『知覚の現象学』2(共訳、1974)テレンバッハ『味と雰囲気』(共訳、1980)『メランコリー』(1985、以上みすず書房)ハンス・トリューブ『出会いによる精神療法』(共訳、金剛出版、1982)ラカン『パラノイア性精神病』(共訳、朝日出版社、1987)ほか。

関忠盛  (セキタダモリ)  (翻訳

1942年生。東京医科歯科大学医学部卒業。1980年自治医科大学精神科講師。1981年より茨城県立友部病院勤務。1992年歿。著書「人間学的現象学」(『現代精神医学大系』所収、中山書店、1981)「人間学派1 現象学的人間学」(『異常心理学講座』所収、みすず書房、1988)『現象学的人間学と妄想研究――関忠盛著作集』(星和書店、1994)。訳書 ラカン『二人であることの病い』(共訳、1984)『パラノイア性精神病』(共訳、1987、以上朝日出版社)『家族複合』(共訳、哲学書房、1986)、ビンスワンガー『妄想』(共訳、みすず書房、1990)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。