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九津見房子、声だけを残し 斎藤恵子(著/文) - みすず書房
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九津見房子、声だけを残し (クツミフサココエダケヲノコシ)

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発行:みすず書房
四六判
重さ 405g
304ページ
定価 3,600円+税
ISBN
978-4-622-08925-4   COPY
ISBN 13
9784622089254   COPY
ISBN 10h
4-622-08925-4   COPY
ISBN 10
4622089254   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0021  
0:一般 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年8月17日
書店発売日
登録日
2020年6月23日
最終更新日
2020年8月6日
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紹介

日本初の女性社会主義団体赤瀾会を結成、多くの労働運動や産児制限運動に参加し、治安維持法初の女性検挙者となり、ゾルゲ事件に連座した九津見房子(くつみ・ふさこ 1890-1980)。社会主義のために自らの良心に従って生きつづけた九津見房子の生涯は、しかし、あまり知られていない。奔放に自分のために生きた金子文子や伊藤野枝とも、知識の女性であった山川菊栄とも違い、著作も派手な活動もない九津見房子は、ひたすら行動し、非合法の政治活動ではメモも残さないようにしていた。
本書は、文を残していない九津見房子の生涯と活動、その思いなどを、晩年の聞き書きや長女の著書はじめ、多くの関連資料を読み込んで再構成するものである。
岡山の女学校時代の社会主義との出会い、郷里出身の福田英子を頼っての上京にはじまり、治安維持法初の女性検挙者となり5年間の札幌刑務所での獄中生活、ゾルゲ事件に連座したため和歌山刑務所で過ごした敗戦後までの日々、そして戦後の人生。共に活動した女性たちはむろん、山川均、石川三四郎、高田集蔵、山本宣治、三田村四郎、宮城与徳、安田徳太郎ら近くにあった男性も含め、当時の現場の様子が、九津見房子の視点から生き生きと描かれる。
「これが日本で女が初めて参加したメーデーです」「いつも親が子どもに迷惑のかけどうしです」「わたしがしなくて、だれがするのか、という気持ちでしょってしまったんです」「自分たちのやったことが、どれだけの値打ちがあるのか、わからないのです」。今では顧みられることの少ない、社会主義のために行動した女たちの一端を映す。

目次

はじめに

I 社会主義へ
生い立ち  母うた  社会主義への関心  山川均との出会い  霜山楳乃の紹介状  出奔  福田英子の家  福田英子との別れ  石川三四郎  母の死  高田集蔵と結婚  松屋に勤める  離婚  ふたたび社会主義へ  元祥麒と金子文子  赤瀾会  メーデー参加  橋浦りくとはる子  赤瀾会の消滅  三田村四郎と結婚

II 労働運動のころ
出口王仁三郎  印刷工になる  岡山県藤田農場争議応援  産児調節運動  総同盟の闘いのなかで  産児制限の労働組合での取り組みに反対する  大阪評議会へ――女の役割に甘んじて  ソビエトのレプセ来る  婦人部問題  浜松楽器争議

III 非合法の運動へ
労働運動から離れる  地下生活へ  隠れ住む家では  北海道へ  『北海労働者』の発行  三・一五検挙  三田村のピストル事件  四・一六検挙  札幌刑務所へ  転向  救援活動  二・二六事件

IV ゾルゲの仕事、戦後
宮城与徳  検挙  安田徳太郎検挙  和歌山刑務所  戦後  「わたしはへたに歩きました」

主要参考文献
あとがき

著者プロフィール

斎藤恵子  (サイトウケイコ)  (著/文

1950年岡山県生まれ。岡山大学法文学部史学科卒業。企業勤めを経て2008年から2014年まで私立高校講師。詩人。エッセイスト。日本文藝家協会会員、日本現代詩人会会員、日本詩人クラブ会員。岡山県詩人協会会員。詩集『樹間』『夕区』『無月となのはな』(第50回晩翠賞)『海と夜祭』『夜を叩く人』『熾火をむなうちにしずめ』。岡山市文化奨励賞、岡山芸術文化賞グランプリなど受賞。そのほか著書に『九津見房子、声だけを残し』(みすず書房、2020)。

上記内容は本書刊行時のものです。