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ゲーデルの悪霊たち ピエール・カスー=ノゲス(著/文) - みすず書房
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ゲーデルの悪霊たち (ゲーデルノアクリョウタチ) 論理学と狂気 (ロンリガクトキョウキ)

哲学・宗教
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発行:みすず書房
四六判
重さ 565g
456ページ
定価 5,500円+税
ISBN
978-4-622-08916-2   COPY
ISBN 13
9784622089162   COPY
ISBN 10h
4-622-08916-5   COPY
ISBN 10
4622089165   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1010  
1:教養 0:単行本 10:哲学
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年7月16日
書店発売日
登録日
2020年5月22日
最終更新日
2020年7月14日
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紹介

「不完全性定理」を発表し、アリストテレス以来最も偉大な論理学者といわれるクルト・ゲーデル(1906-78)とは、いったい何者か。本書は、ゲーデルが公にすることのなかった多くの考察が含まれる「ゲーデル文書」(プリンストン大学図書館に遺贈された大量の草稿類)に長年取り組んできた著者の成果である。草稿や書簡の下書きだけでなく、断片的メモ、走り書き、図書カード、ホテルの請求書に至るまで、ゲーデル自身がその痕跡を残したものを、著者はゲーデルの人的交流、発表された論文、書簡などと照合することによって、ゲーデルの(ゲーデルがその中で生きた)世界を浮き彫りにしていく。
実生活上でのゲーデルの奇異な振る舞いや妄想癖のようなもの(著者はそれを《狂気》と呼ぶ)は、彼の論理学とどう関係しているのか。ゲーデル自身の不完全性定理への理解、数学的プラトニズム(実在論)、数学的対象を知覚するという脳内の器官の主張、時間旅行を可能にする相対性理論の解釈、神の存在証明についてのその言動を、われわれはどう考えればよいか。ゲーデルのいう「時代精神」とは? ライプニッツやデカルト、さらには同時代の論理学者エミール・ポストやアラン・テューリングの思考のあり方とも絡み合わせつつ、著者は数々の疑問や謎を紐解いていく。
ときにフィクションを織り込みながら、20世紀という時代と思想を生きた一人の天才の真実に迫った、類のない書である。

目次

凡例
略語

プロローグ

第一部 ゲーデルの《狂気》
1 《狂気》の論理学者
2 ゲーデル文書
3 源泉
4 生涯と真理
5 ゲーデルと女性たち
6 《狂信的に合理的であること》
7 モナドロジーと過剰感覚
8 精神の世界
9 偶然に委ねられているものは何一つない
10 いかなる世界の中に我々は生きているのか
11 ゲーデルは《狂気》の人なのか、それともたんにライプニッツ信奉者であるだけなのか
12 断片
13 空想的なもの、ないし神秘的なもの

第二部 非物質的対象の実在性
1 松果眼
2 プラトニズム
3 さまざまな種類の対象
4 数学者とワトソン博士
5 ゲーデルの議論
6 デカルトと精神分析家
7 ボルヘス、夢およびフィクションの実在性
8 夢としての数学
9 思考の眼に戻る
10 種々の思索
11 突然の天啓

第三部 不完全性
1 不完全性と催眠
2 ウィーンのカフェ
3 言明
4 テューリングの機械
5 ディレンマ
6 イメージをめぐる問い
7 合理主義的楽観論
8 数学の発展
9 パラドクスと精神の反省性
10 論理学者は人間なのか
11 精神と脳
12 死後の生
13 不完全性、悪そして悪魔
14 機械の世界の狂人

第四部 ポストの事例――短い余論
1 もう一人の《狂気》の論理学者
2 星
3 文書そして出会い
4 ポストの夢
5 労働者と機械
6 精神のイメージ

第五部 形而上学の基本原理
1 論理学者たちの《狂気》
2 ゲーデルのいだく怖れ――小さな物体と分身
3 論理学の罪
4 ホテルの部屋
5 なぜライプニッツなのか
6 運命の宮殿
7 予定調和
8 最善の世界
9 モナドロジーと時間
10 物体の不動性
11 ではなぜ時間なのか
12 神の永遠性と天使の時間
13 数ある中の我々の時間
14 時間旅行のパラドクス
15 時間旅行の別の困難
16 旅行者たち
17 エピローグ――少なくとも一人の亡霊

謝辞
あとがき
訳者あとがき
図版リスト

著者プロフィール

ピエール・カスー=ノゲス  (ピエールカスーノゲス)  (著/文

1971年生まれ。パリ第8大学哲学教授。フランスの数学者カヴァイエス研究から出発したが、Les demons de godel. Logique et folie, 2007(『ゲーデルの悪霊たち』新谷昌宏訳、みすず書房)以降、意想外の、時に奇怪な設定の、一人称で語られるフィクションによって哲学的・科学思想史的考察を展開していくという独自のスタイルを確立していき、多数の著作を発表している。

新谷昌宏  (シンタニマサヒロ)  (翻訳

1951年、山口県宇部市に生まれる。1978年、東京医科歯科大学医学部卒業。東京都立広尾病院部長、東京都立松沢病院副院長などを歴任。神経医学・精神病理学専攻。訳書 ジャン=ピエール・シャンジュー『ニューロン人間』(みすず書房、1989)エドワード・メスナー他編『治療者はいかに自分自身を分析するか――オートグノーシス』(共訳、金剛出版、1996)アンリ・エー『幻覚 2 精神病と神経症の幻覚』(金剛出版、2001)ジュール・スーリィ『中枢神経系』(全2巻、共訳、みすず書房、2017-8)ピエール・カスー=ノゲス『ゲーデルの悪霊たち――論理学と狂気』(みすず書房、2020)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。