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万物創生をはじめよう ジャロン・ラニアー(著/文) - みすず書房
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万物創生をはじめよう (バンブツソウセイヲハジメヨウ) 私的VR事始 (シテキブイアールコトハジメ)

コンピュータ
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発行:みすず書房
四六判
重さ 540g
496ページ
定価 3,600円+税
ISBN
978-4-622-08907-0   COPY
ISBN 13
9784622089070   COPY
ISBN 10h
4-622-08907-6   COPY
ISBN 10
4622089076   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1040  
1:教養 0:単行本 40:自然科学総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年6月16日
書店発売日
登録日
2020年4月22日
最終更新日
2020年6月16日
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書評掲載情報

2022-04-09 日本経済新聞  朝刊
評者: 稲見昌彦(東京大学教授)
2020-09-05 日本経済新聞  朝刊
2020-07-18 毎日新聞  朝刊
評者: 伊藤亜紗(美学者)
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紹介

平凡な会社員の生活がバーチャルリアリティ(VR)空間と現実世界にまたがる──こんな時代の到来を、40年前に誰が確信していただろう……この人以外に。 
第一次VRブームの立役者であるラニアーが、VRの来歴と次世代への展望を(意外にも初めて)書き尽くした真骨頂の一冊。人間とVRの関係の本質について、先駆者ならではの思索を綴る。異能の者たち(男性ばかりではない)がひしめく80年代~90年代初頭のシリコンバレーの情景も、アップルやマイクロソフトのようなIT覇者とは異なる視点からいきいきと振り返る。
VRは人間の“主観”に軸足を置くテクノロジーだ。個人が主観的に経験している世界全体(いわば環世界)を拡張し、他人のそれと融け合わせることさえ可能にする。本書が語るその体験はまるで楽器の演奏のように身体的で、人間とは何かを再確認させ、考えさせる。
ラニアーはVR史の最初期からそこに未来を見ていた稀代のプロモーターだった。この型破りな本の中には、どんな読者にとっても、VRだけでなくテクノロジー全般への認識を塗り変えられるような発見があるだろう。
ニューメキシコの砂漠の隅っこにドームの自宅を建てた少年としてはじまる著者のキャリアは、文句なしに非凡でおもしろい。徒手空拳のエンジニアたちがガレージでイノベーションを生み出していた、かつてのアメリカの底力を体現している。

目次

前書き――バーチャルリアリティの新時代がはじまる

はじめに
VRとは何か?/少なくとも今のところはVRにできないことで、本にできることは何か?/この本の読みかた/若き日の自分に会う

第一章 1960年代――エデンで起こった恐ろしい出来事
境界/窓/3点セット/気分/回転/記憶の壁/音/執拗ないじめ/初めての実験/焼失

第二章 救難宇宙船
新しい土地/宇宙のどこに?/エラリーの来歴/許可が下りる/建てる/生息環境

第三章 バッチ処理
原子から宇宙まで/アクセス可能/風に舞うパンチカード/ヤギ/ピクセルとのかかわり/書架/宝物が見つかった!/アイヴァンのことで、見知らぬ人々を困らせる

第四章 私がVRを大好きなわけ(基本的な事柄について)
鏡が明らかにする/名詞ではなく動詞/VRのリアルさとは/自分自身への気づきをもたらすテクノロジー

第五章 システムの中のバグ(VRの暗黒面について)
パラノイド・アンドロイド/恐怖の方程式/バイポーラ・ビット

第六章 旅路
ドーム完成/映画談義/初めてのNYC/螺旋を下る/ふたたび炎の中へ/アステカの前哨地、そして車/追及/コンセンサスと良識

第七章 西海岸
モグリの学生/その街はしらふではない/虹の重力/グーグルの原型/オーディエンス/講演の記録

第八章 粋狂の谷
サイバーな業界への第一歩/最適な私たち、最適な彼ら/有限ゲームと無限ゲーム/ループ・スカイウォーカー/行動主義者になることを避けるためには、とんでもなく変てこな人にならねばならない/着地/私をメンバーにしてくれるクラブ/コード・カルチャー

第九章 エイリアンとの遭遇
どうしようもないバグ/母ちゃん貸出サービス/寂しさ教の若き導師/気づき/抗いがたい衝動/寂しさと戦う数学?

第十章 没入感
社会的幹細胞だった女性たち/VRと子どもたち/三連祭壇画/リアリティ・エンジンのエンジン/タッチの重要性/ハプティクス狂騒曲

第十一章 新しい万物を身にまとい(ハプティクスについて、そしてアバターについても少々)
視覚偏重/手袋だけに手品のようなデモ――デジタルインターフェース/受動的ハプティクス/グローブは腕にこたえる/VRの中での学習/最初の消費者向け製品/胃の中のハプティクス/タコ執事ロボット/デバイスとしての舌/はるか遠くに旅するタイムマシン/ハプティックな知性/ひとつのものに取り憑かれるのでは不十分であるかのように/害と癒し

第十二章 日の出前
そのほかのため息/そのほかの「万物に抱く夢」/先行の「万物」/見本市へ/正統性、髪、巨人の肩/南部のフューチャリズム/蟻たちのミッション/軌道に乗せる

第十三章 六つの自由度(センサとVRデータについて少々)
目はさまよわなくてはならない/脳は統合する/感動的な体験/VR酔い/バーチャル・リアリズム対バーチャル・アイデアリズム

第十四章 見いだされる
釣り糸を投げる前に手応えが/小湖南の助言者たち/会社設立/資金調達/スーツ組の助っ人/製造設備/出荷した!

第十五章 あなたのピラミッドのてっぺんにあるもの(VR用ビジュアルディスプレイについて)
アイフォン(EyePhone)回想/あんたの頭のあれ/今は選べない道/私たちの周りの空中に浮かぶばかばかしい間違い/ガジェットのスペクトル/スペクトル上の内側の極/外側の極/ヘッドセットは捕えがたい/エタンデュのように考える/双方向性が絡む難題

第十六章 VPL体験
渦巻き/ヴィープル/VRを役立てる:手術訓練;貿易風;国内プロジェクトのいくつか;兵士とおばけ;キャラクター;スピンオフ

第十七章 内側から見たり聞いたりするためのさまざまな球(「映像」と音響について少々)
映像球/オーディオスフィア

第十八章 シーン
沸騰するデモ/デモの技術/世界をつくる技術/VRデザイナー、アーティストへのアドバイス/たくさんの旗が立っている/言葉のひとり歩き/パーティーシーン/流れ弾が当たって貫通/暗い系譜/鏡よ、鏡

第十九章 私たちはいかにして未来に希望を託すに至ったか
バーチャルな権利は、バーチャルな経済的権利とは違う/世界制覇への安直な道/微重力状態/アバターの手として可視化されるとき、見えざる手は進歩する/宗教の誕生/神話ではなく、研究を愛そう/エイリアン・バーチャルリアリティ

第二十章 1992年、外へ
マイクロコズム/映画がとらえたVR/膨大な可能性が失われた/巧妙に、密やかに/片手の音楽/有限ゲームの終わり

第二十一章 コーダ――リアリティの挫折

結び
謝辞

補遺 相争う半神たち
付録1 ポストシンボリック・コミュニケーション(私の古典的VR講演のひとつで描かれたさまざまな夢想について)
付録2 フェノトロピック熱(VRソフトウェアについて)

注記
索引

著者プロフィール

ジャロン・ラニアー  (ジャロンラニアー)  (著/文

科学者/エンジニア/ミュージシャン/作家。80年代にVRテクノロジーのスタートアップであるVPLリサーチ社を創業。VPL社はVRを世界で初めて商業製品化した企業の一つとなり、アバターやマルチパーソナルなVR体験、外科手術シミュレーションなど、主要なVRアプリケーションの原型を開発した。その功績から「VRの父」とも呼ばれ、VPL社を退いて以降もVRテクノロジーの唱導やデジタル環境のあり方への提言を続けている。シリコングラフィックス社の客員研究員などを経て、2006年よりマイクロソフト社の社外研究者、およびカリフォルニア大学バークレー校起業家・技術センター(CET)客員教授などを務める。2009年よりマイクロソフトリサーチ所属。09年、IEEE(米国電気電子学会)のLifetime Career Awardを受賞。ニュージャージー工科大学で名誉博士号を取得したほか、カーネギーメロン大学のWatson Awardを受賞。

谷垣暁美  (タニガキアケミ)  (翻訳

翻訳者。訳書に、アーシュラ・K・ル=グウィン『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』、〈西のはての年代記〉シリーズ、『ラウィーニア』(以上、河出書房新社)、ウィリアム・トレヴァー『恋と夏』(国書刊行会)、ジェフリー・フォード『言葉人形』(東京創元社)、ジェルジ・ブザーキ『脳のリズム』(渡部喬光監訳)、ジョン・コーエン『流産の医学』(藤井知行監修)、デイヴィッド・ヒーリー『抗うつ薬の功罪』(田島治監修)、ジョゼフ・ルドゥー『シナプスが人格をつくる』(森憲作監修)、ジャロン・ラニアー『万物創生をはじめよう』(以上、みすず書房)、ほか多数。

上記内容は本書刊行時のものです。