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出版者情報
反穀物の人類史
国家誕生のディープヒストリー
- 初版年月日
- 2019年12月19日
- 書店発売日
- 2019年12月21日
- 登録日
- 2019年10月30日
- 最終更新日
- 2019年12月16日
書評掲載情報
2020-12-12 |
毎日新聞
朝刊 評者: 鹿島茂(仏文学者) |
2020-03-01 |
毎日新聞
朝刊 評者: 中村桂子(JT生命誌研究館館長) |
2020-02-15 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 松村圭一郎(文化人類学者) |
2020-02-01 |
朝日新聞
朝刊 評者: 柄谷行人(哲学者) |
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紹介
世界観を真に変革する、稀な書だ。
――A. サリヴァン(『ニューヨーク・マガジン』)
われわれの農業に偏った歴史観は、見直しを迫られるだろう。
――S. シャブロフスキー(『サイエンス』)
人類が文明と政治的秩序のために支払った大きな代償を、ずばり明らかにしている。
――W. シャイデル(『暴力と不平等の人類史』)
「ある感覚が要求してくる――わたしたちが定住し、穀物を栽培し、家畜を育てながら、現在国家とよんでいる新奇な制度によって支配される「臣民」となった経緯を知るために、深層史(ディープ・ヒストリー)を探れ、と…」
ティグリス=ユーフラテス川の流域に国家が生まれたのが、作物栽培と定住が始まってから4000年以上もあとだったのはなぜだろうか? 著者は「ホモ・サピエンスは待ちかねたように腰を落ち着けて永住し、数十万年におよぶ移動と周期的転居の生活を喜んで終わらせた」のではないと論じる。
キーワードは動植物、人間の〈飼い馴らし〉だ。それは「動植物の遺伝子構造と形態を変えてしまった。非常に人工的な環境が生まれ、そこにダーウィン的な選択圧が働いて、新しい適応が進んだ…人類もまた狭い空間への閉じこめによって、過密状態によって、身体活動や社会組織のパターンの変化によって、飼い馴らされてきた」
最初期の国家で非エリート層にのしかかった負担とは? 国家形成における穀物の役割とは? 農業国家による強制の手法と、その脆弱さとは? 考古学、人類学などの最新成果をもとに、壮大な仮説を提示する。
目次
はじめに
序章 ほころびだらけの物語――わたしの知らなかったこと
国家と文明の物語のパラドックス/国家の正しい位置づけ/手短な行程表
1 火と植物と動物と……そしてわたしたちの飼い馴らし
火/集中と定住――湿地仮説/湿地と定住/なぜ無視されてきたのか/ギャップに注目する/そもそもなぜ植えるのか
2 世界の景観修正――ドムス複合体
新石器時代の植え付けから百花繚乱へ――耕作の影響/進化のモジュールとしてのドムス/狩猟民の獲物から農民の囲い物へ/人間の類似点に関する推論/わたしたちの家畜化
3 動物原性感染症――病理学のパーフェクトストーム
苦役とその歴史/後期新石器時代複数種再定住キャンプ――病理学のパーフェクトストーム/多産と人口に関する注釈
4 初期国家の農業生態系
国家作りの農業地理/穀物が国家を作る/壁が国家を作る――防御と閉じこめ/文字が国家を作る――記録と識字力
5 人口の管理――束縛と戦争
国家と奴隷制/メソポタミアの奴隷制と束縛/エジプトと中国/「人的資源」戦略としての奴隷制/略奪的資本主義と国家建設/メソポタミアの奴隷制および束縛の特殊性/飼い馴らしと重労働と奴隷制に関する推測的覚書
6 初期国家の脆弱さ――分解としての崩壊
初期国家の罹患率――急性疾患と慢性疾患/病気――過度の定住、移動、国家/環境破壊――森林破壊と塩類化/政体の消滅――戦争とコアの搾取/崩壊万歳
7 野蛮人の黄金時代
文明とその野蛮な周辺部/野蛮人の地理、野蛮人の生態系/略奪/交易ルートと課税可能な穀物コア/闇の双生児/黄金時代だったのか?
索引/原注/参考文献
上記内容は本書刊行時のものです。