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松田正平 飄逸の画家 安井雄一郎(著/文) - みすず書房
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松田正平 飄逸の画家 (マツダショウヘイヒョウイツノガカ)

芸術
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発行:みすず書房
A5判
重さ 500g
272ページ
定価 4,200円+税
ISBN
978-4-622-08864-6   COPY
ISBN 13
9784622088646   COPY
ISBN 10h
4-622-08864-9   COPY
ISBN 10
4622088649   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0071  
0:一般 0:単行本 71:絵画・彫刻
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年12月10日
書店発売日
登録日
2020年10月22日
最終更新日
2020年12月4日
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紹介

「飄逸」「無頓着」「狷介」「韜晦」「隠者」、美術ジャーナリズムが氏を評して使ってきたその種の言葉のすべては、実は収束するところ己が信じる油絵を求めて画事以外のなにものも打ち捨ててきた画家自身のいま述べてきたような生活姿勢に起因するものだったのである。(本文より)

単純化された描線、透明感のマチエル、そして何よりもその飄々とした画風で高い評価を得ている松田正平(1913-2004)は、洲之内徹、白洲正子など同時代の美術愛好家に愛されながら、1984年に日本芸術大賞を受賞するまではほとんど無名に近い画家であった。
受賞後、松田の郷里・山口の県立美術館学芸員として初の回顧展を企画担当した著者は、作品や画家本人との対話を重ね、画家の魅力に迫ろうと考察をつづけた。その集大成でもある本書では、同郷で美校同窓のライヴァル、香月泰男との対比や、コレクターとして名を馳せた福島繁太郎との師弟関係、画家と深く交わった知己に取材するなど、戦後洋画史に独自の画境をひらいた松田正平の本質に迫る第一級の評伝となっている。
周防灘の穏やかな風土、表情豊かな犬や魚、戦後の焦土で出会った可憐なバラを描き続け、「日本人にとっての油彩」を追究した松田正平の芸術と生涯。カラー口絵、詳細な年譜を付す。

目次

はじめに

一 絵かきの誕生
三つの出来事  津和野の眺望

二 少年時代
出生と環境  旧制宇部中学時代

三 東京美術学校時代
浪人時代  東京美術学校に入学  美術学校時代の制作

四 パリ留学
留学を新田に相談  パリでの新生活  コローとの出会い  ネル・コレのこと  戦争、帰国

五 帰国、戦中期
しばらく東京に住む  緑屋百貨店での滞欧作展  国画会への参加  短かった教師生活  結婚  横浜での新生活  帰国後から戦中期にかけての制作

六 宇部への帰郷と島根への疎開
空襲下にバラの美しさに開眼  親戚の家に身を寄せる

七 光時代
戦後のスタート  防長美術家連盟への参加  松田と香月

八 松田洋画の原型形成期
試行錯誤の明け暮れ  福島繁太郎  福島と香月、松田  福島の眼  ある確かな方向性をもつ変化

九 東京時代
友人の勧めで上京  ペスタロッチ画の制作依頼  明幸堂画廊  福島繁太郎の展評  国際具象派展への参加

十 鶴舞時代
新たな制作の場をもとめて  マチエルの確立と周防灘シリーズ

十一 松田正平のマチエル
マチエルの生成  マチエル研究の原点にあったもの

十二 日本芸術大賞受賞と洲之内徹
一躍、全国区へ  出会いのきっかけ  「気まぐれ美術館」などから

十三 松田正平と洲之内徹
出会いまで  ふたりの歩いた道  戦争がのこしていった影

十四 点鬼簿と回想――三好正直宛て書簡を中心に
三好正直  書簡にうかがえる近況、絵画観など  身近な人の死

十五 祝島と周防灘シリーズ
島からの便り  島との出会い  松田正平と祝島

十六 最晩年――宇部時代
松田人気の静かなスタート  宇部での最晩年  画業顕彰の再スタート

十七 結びに代えて
人はなぜ描くのか  最晩年の画境と心境

あとがき
松田正平略年譜
松田正平作品一覧/写真・図版出典

著者プロフィール

安井雄一郎  (ヤスイユウイチロウ)  (著/文

1949年宮崎県生まれ。九州大学文学部美学美術史学科博士課程単位取得満期退学。山口県立美術館で学芸業務に就く。在職中に現代日本彫刻展審査員、美術館連絡協議会理事などを務める。副館長で定年退職後、宮崎県高鍋町美術館長、宮崎公立大学非常勤講師などを経て、現在、南九州大学非常勤講師。山口県立美術館在職中は企画展、論文、記事、テレビ出演等多数。主な著作に、『香月泰男画集 命の讃歌』(小学館、2004)、『香月泰男 シベリア画文集』(共著、中国新聞社、2004)、『香月泰男の絵手紙』(小池邦夫編、二玄社、2003)、『香月泰男 凍土の断層――「シベリア・シリーズ」を読み解く』(東京美術、2017、第28回宮日出版文化賞)、『松田正平 飄逸の画家』(みすず書房、2020)など。

上記内容は本書刊行時のものです。