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出版者情報
野蛮のハーモニー
ホロコースト史学論集
- 初版年月日
- 2019年11月1日
- 書店発売日
- 2019年11月5日
- 登録日
- 2019年9月25日
- 最終更新日
- 2019年10月29日
紹介
冷戦終結後、ポーランド・ルーマニア・ハンガリーなど旧社会主義国だった東ヨーロッパの文書保管所の資料が公開され、ホロコースト史学は大きく様変わりした。ホロコーストはアウシュヴィッツに象徴されるナチス・ドイツのユダヤ人絶滅計画に収まらない、ヨーロッパ各国の体制や地域住民が関わる複雑な現象として見直しが進んでいる。
本書では物語理論や文化史、比較ジェノサイド論などの影響が追跡される。ホロコーストをいかに語るのかは、「記憶をめぐる戦争」が進行中のヨーロッパでは死活問題なのである。
アウシュヴィッツの死体処理施設で働かされたユダヤ人=ゾンダーコマンド(特別労働班)がひそかに撮影した写真や地下に埋めた書き物は、「表象」以上に倫理の問題を提示している。そのひとりだったグラドフスキは、収容所内でオーケストラの演奏する音楽を聴いたときの驚きを書き遺した。
「ここではなにもかもが可能である。これは野蛮のハーモニーである」。
歴史についてどれほど多くのことが知られていても、ものごとの核心には暗くて不透明なものが残っている。同じ過去を表象するのにも多数のやり方がある。「限界に位置する出来事」であったホロコーストをどのように語るのかは、社会の状態を測るバロメータとなるだろう。歴史の方法論と思想史の最前線に立つ論考集である。
目次
日本語版への序言 ダン・ストーン
第一章「アウシュヴィッツ・シンドローム」を超えて――冷戦後のホロコースト史学
第二章 ホロコーストと「人間」
第三章 物語理論とホロコースト史学
第四章 ホロコースト史学と文化史
第五章 ダン・ストーン編『ホロコーストと歴史の方法論』序論
第六章 過去を破門する?――ホロコースト史学における物語論と合理的構築主義
第七章 ゾンダーコマンドの撮った写真
第八章 野蛮のハーモニー――「アウシュヴィッツの巻物」をホロコースト史学のなかに位置づける
編訳者あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。