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水の構造と物性 新装版 W・J・カウズマン(著/文) - みすず書房
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水の構造と物性 新装版 (ミズノコウゾウトブッセイ)

自然科学
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発行:みすず書房
A5判
重さ 550g
322ページ
定価 7,200円+税
ISBN
978-4-622-08805-9   COPY
ISBN 13
9784622088059   COPY
ISBN 10h
4-622-08805-3   COPY
ISBN 10
4622088053   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C3040  
3:専門 0:単行本 40:自然科学総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2019年4月10日
書店発売日
登録日
2019年1月28日
最終更新日
2019年4月4日
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紹介

水は地球上にもっとも多量にある化合物であり、すべての生体系の主要成分であるが、その構造と物性は十分に解明されていない。今日の物理化学の立場からの水、氷、水溶液の研究は、“水素結合”の考えが次第に定着しつつあった時点でバナールとファウラーが1933年に発表した論文が原動力となったと言えるであろう。以来、水、氷、水溶液の研究、或いは無機界、生物界において水が果たす重要な役割についての研究が続々行われ、基礎的研究の見地からだけでなく、応用の立場からも最近では環境問題と結びついて、ますます関心が高まり、広義の水に関する種々の国際会議が毎年のように開かれている。

本書は、水に関するおびただしい文献の中から、もっとも重要で信頼のおけるデータを要約し、またこれらのデータを関連づけるような有効な理論を示し、水の物性をその構造と関連づけることを目標としている。さらに最近、さまぎまの分野の科学者や技術者の水に対する関心が激増していることを考慮して、主題の論点を理解する上で必要な物理化学的知識を本文に含ませて、初等的な物理化学のコースをおえた人なら誰でも本文が理解できるように配慮されている。したがって、本書は極めてバランスのとれた入門的な標準教科書であるとともに、専門家の知識の整理にも大いに役立つであろう。

目次

日本版への序文
緒言
記号の説明

1. 水分子
1.1. 水分子:実験にもとづく記述
組織/生成エネルギー/分子の大きさ/分子振動/電気的性質/分子エネルギーの比較
1.2. 水分子:理論にもとづく記述
静電気モデル/分子軌道論/電子密度分布/正確な波動関数と物理的性質の計算/電荷分布:まとめ

2. 水蒸気
2.1. 水分子の間に働く力
力の起因と書き表わし方/ビリアル係数/水分子の間に働く力:まとめ
2.2. 熱力学的性質
圧力‐体積‐温度関係/熱エネルギー

3. 氷
3.1. 氷Iの構造
酸素原子の位置/水素原子の位置/熱振動の振幅/氷Iの構造:まとめ
3.2. 氷の多形の構造
氷II、IIIおよびV/氷VI、VIIおよびVIII/ガラス状氷と水Ic/氷の多形の構造的特徴:まとめ
3.3.熱力学的性質
相関係/熱エネルギー/氷IのP-V-Tデータ
3.4. 電気的性質と自己拡散
誘電定数と双極子モーメント/誘電分極と緩和/電気伝導度/自己拡散
3.5. 分光学的性質
氷Iの振動スペクトル/氷の多形の振動スペクトル/核磁気共鳴
3.6. 水素結合
水素結合エネルギーの実験値/水素結合で結ばれた分子のポテンシャル関数/氷における水素結合の理論的な記述/水素結合によって規定されている氷の性質:まとめ

4. 液体としての水の性質
4.1. はじめに
水における「構造」という術語の意味/液体の構造と実験方法
4.2. X線回折
動径分布関数/V-構造にもとづく動径分布関数の解釈
4.3. 熱力学的性質
熱エネルギー/圧力-体積-温度関係
4.4. 静的誘電定数とNMR化学シフト
静的誘電定数/NMR化学シフト
4.5. 光学的性質
屈折率/光散乱
4.6. 分子の移動速度に依存する性質
誘電緩和/核磁気緩和/自己拡散/粘性/イオンの解離と移動/分子の移動:まとめ
4.7. 振動分光
スペクトル帯の同定/O-HおよびO-D伸縮帯/分子間振動/倍音と結合音
4.8. 水の構造:物性から導かれる結論
水素結合にもとづいて水の性質を記述するときの問題点/水のV-構造:まとめ/水のD-構造:まとめ

5. 水のモデル
5.1. 小集合体モデル
5.2. 混合物モデルとわりこみ分子のモデル
基本的な仮定/いくつかのモデルの詳細/混合物モデルと実験データの整合性
5.3. 歪んだ水素結合のモデル

補遺
文献
訳者あとがき
事項索引

著者プロフィール

W・J・カウズマン  (カウズマン)  (著/文

1916-2009。ニューヨーク州マウント・バーノンに生れる。1937年コーネル大学で化学のB. A.を受け、1940年にプリンストン大学で物理化学のPh. D.を受けた。1940年から42年までペンシルバニア州ピッツバーグのWestinghouse電機会社の研究員となり、1942-46年の間、政府関係の研究に従事した。1946年プリンストン大学化学科助教授、1963年教授に就任。1963-82年David B. Jones化学科教授。1982年退官。1966年Linderstrom-Lang金メダルを受賞した。36年にわたり物理化学の研究と教育に専心し、引退後も引き続き水の構造とたんばく質の性質に関心を抱いた。

D・アイゼンバーグ  (アイゼンバーグ)  (著/文

1939年シカゴに生れる。1961年ハーバード大学で生化学のB. A.を受け、1964年オックスフォード大学からPh. D.を受けた。オックスフォード在学中、Rhodes奨学生。1964年より66年までプリンストン大学においてアメリカ科学基金(NSF)の博士研究員であった。1966-68年の間カリフォルニアエ科大学の研究員。1968年カリフォルニア大学ロスアンジェルス校(UCLA)の化学および生化学科の教員となり、現在同学科教授。UCLAハワード・ヒューズ医学研究所研究員およびUCLA‐DOE構造生物学および分子医学研究所所長。生体高分子の構造および水の構造と物性を研究。アメリカ科学アカデミー会員。

関集三  (セキシュウゾウ)  (翻訳

1915年西宮市に生れる。1938年大阪大学理学部化学科卒業。理学博士。大阪大学理学部教授、関西学院大学理学部教授を経て、大阪大学名誉教授。日本学士院会員。2013年歿。著書『純物質の物性化学』(共著、東京化学同人)「氷および水」(『物性物理学講座11』所収、共立出版)『分子集合の世界』(なにわ塾叢書・ブレーンセンター)ほか。訳書 カウズマン/アイゼンバーグ『水の構造と物性』(共訳、みすず書房)ポーリング『一般化学』(共訳、岩波書店)クールソン『化学結合論』(共訳、岩波書店)カークウッド/オッペンハイム『化学熱力学』(共訳、東京化学同人)ほか。

松尾隆祐  (マツオタカスケ)  (翻訳

1939年池田市に生れる。1963年大阪大学理学部化学科卒業。1965年大阪大学大学院理学研究科修士課程修了。理学博士。大阪大学大学院理学研究科教授を経て、大阪大学名誉教授。訳書 カウズマン/アイゼンバーグ『水の構造と物性』(共訳、みすず書房)。

上記内容は本書刊行時のものです。