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ヴィータ ジョアオ・ビール(著/文) - みすず書房
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ヴィータ (ヴィータ) 遺棄された者たちの生 (イキサレタモノタチノセイ)

社会科学
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発行:みすず書房
四六判
重さ 700g
696ページ
定価 5,000円+税
ISBN
978-4-622-08786-1   COPY
ISBN 13
9784622087861   COPY
ISBN 10h
4-622-08786-3   COPY
ISBN 10
4622087863   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2019年3月22日
書店発売日
登録日
2019年2月9日
最終更新日
2019年3月15日
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書評掲載情報

2019-07-14 読売新聞  朝刊
評者: 藤原辰史(京都大学准教授、農業史研究者)
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紹介

ブラジル南部の保護施設「ヴィータ」――そこは行き場をなくした薬物依存症患者・精神病患者・高齢者が死を待つだけの場所だった。
現地で調査中だった著者は1997年にそこで精神病とみなされていたカタリナという女性に出会う。「言葉を忘れないために」と言って詩のような言葉を書き続ける彼女は何者で、なぜヴィータに収容されたのか。それを探るうちに、新自由主義の影響のもと、国家・経済・医療・家族の網の目のなかで、生産性という基準で人間を選別し、遺棄する現実が明らかになっていく。著者の粘り強い調査のすえカタリナの真の病名に辿りついた時、彼女の綴った言葉の意味は明らかになり、尊厳は回復される。
周縁化された人々の生きられた経験を復元し更新し続けるために、現代において人類学の果たすべき使命は何かを問い直す話題作。本書は、マーガレット・ミード賞ほか数々の賞を受賞した。

目次

はじめに 「生きているのに死んでいる――外は死んでいるけれど、内は生きている」

第一部 ヴィータ
社会の遺棄地帯
ブラジル
「市民」なるもの

第二部 カタリナと文字
精神の生活
身体の社会
不平等
元・人間
家とけもの
「愛は遺棄された者たちの幻」
社会的精神病
時間の病気
神、セックス、主体性(エージェンシー)

第三部 医療記録
公的な精神医療
典型的な患者としてのカタリナの生
民主化と健康の権利
経済的変化と精神疾患
医学
人生の終わり

ケアと排除
移住とモデル政策
女性、貧困、社会的死
「わたしは人生のせいでこうなった」
症状の意味
薬を与えられるだけの存在

第四部 家族
つながり
運動失調症
カタリナの家
弟たち
子どもたち、義理の両親、元夫
養父母
「わたしの身体は薬のためにある、わたしの身体が」
日々の暴力

第五部 生物学と倫理
痛み
人権
価値判断
遺伝子発現と社会的遺棄
家系
遺伝学的な集団
失われたチャンス

第六部 辞書
「その下にはこれがあった、わたしが名づけを引き受けようとせぬもの」
第1巻/第2巻/第3巻/第4巻/第5巻/第6巻/第7巻/第8巻/第9巻/第10巻/第11巻/第12巻/第13巻/第14巻/第15巻/第16巻/第17巻/第18巻/第19巻

おわりに 「言葉への道」

後記 「わたしは始まりの一部、言葉だけじゃなく、人びとの」

あとがき
ヴィータへの回帰

2013年版への謝辞
謝辞
原注
訳注

訳者あとがき

参考文献
索引

著者プロフィール

ジョアオ・ビール  (ジョアオビール)  (著/文

南ブラジルで生まれ育つ。ブラジルで神学とジャーナリズムの学士号および哲学の修士号を取得。1999年にカリフォルニア大学バークレー校で文化人類学の博士号を取得。カリフォルニア州バークレーにある宗教学総合研究センターで1996年に宗教学の博士号も取得している。専門は医療人類学。1998-2000年には博士研究員としてハーヴァード大学に所属。現在はプリンストン大学人類学部教授および同大学の「グローバル・ヘルスと健康政策」プログラムの事務局長およびブラジル研究所の事務局長を務める。

桑島薫  (クワジマカオル)  (翻訳

シカゴ大学大学院修士課程、東京大学大学院博士課程修了。名城大学経営学部准教授。博士(学術)。文化人類学専攻。著書Intimate Japan:Ethnographies of Closeness and Conflict(共著、University of Hawai’i Press, 2018)『婦人保護施設と売春・貧困・DV問題』(共著、明石書店,2013)ほか。訳書 キャサリン・ニューマン『親元暮らしという戦略――アコーディオン・ファミリーの時代』(共訳、岩波書店、2013)、ジェームス・ロバーソン「第10章 戦後日本における『仕事』の意味と男性性」『仕事の人類学――労働中心主義のむこうへ』(世界思想社、2016)、ジョアオ・ビール『ヴィータ――遺棄された者たちの生』(共訳、みすず書房、2019)。

水野友美子  (ミズノユミコ)  (翻訳

ロンドン大学ゴールドスミス校大学院修士課程、一橋大学大学院修士課程修了。訳書 マイケル・タウシグ『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』(共訳、水声社、2016)、ティム・インゴルド『メイキング――人類学・考古学・芸術・建築』(共訳、左右社、2017)、アルフォンソ・リンギス『暴力と輝き』(共訳、水声社、2019)、ジョアオ・ビール『ヴィータ――遺棄された者たちの生』(共訳、みすず書房、2019)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。