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出版者情報
タコの心身問題
頭足類から考える意識の起源
- 初版年月日
- 2018年11月16日
- 書店発売日
- 2018年11月17日
- 登録日
- 2018年10月4日
- 最終更新日
- 2018年11月15日
書評掲載情報
2019-01-19 |
朝日新聞
朝刊 評者: 野矢茂樹(立正大学教授・哲学) |
2019-01-12 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 吉川浩満(文筆家) |
2018-12-16 |
読売新聞
朝刊 評者: 伊藤亜紗(東京工業大学准教授、美学者) |
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紹介
心は何から、いかにして生じるのだろう。進化は「まったく違う経路で心を少なくとも二度、つくった」。一つはヒトや鳥類を含む脊索動物、もう一つがタコやイカを含む頭足類だ。哲学者であり練達のダイバーでもある著者によれば、「頭足類と出会うことはおそらく私たちにとって、地球外の知的生命体に出会うのに最も近い体験だろう」。人間とはまったく異なる心/内面/知性と呼ぶべきものを、彼らはもっている。本書は頭足類の心と私たちの心の本性を合わせ鏡で覗き込む本である。
海で生まれた単細胞生物から、現生の頭足類への進化を一歩ずつたどれば、そこには神経系の発達や、感覚と行動のループの起源、「主観的経験」の起源があり、それは主体的に感じる能力や意識の出現につながっている。「タコになったらどんな気分か」という問題の中には、心とは何か、それは物理的な身体とどう関係するのかを解き明かす手がかりが詰まっている。
知能の高さゆえの茶目っ気たっぷりの行動や、急速な老化と死の謎など、知れば知るほど頭足類の生態はファンタスティック。おまけに著者の見つけた「オクトポリス」(タコが集住する場所)では、タコたちが社会性の片鱗を示しはじめているという。味わい深く、驚きに満ちた一冊。
目次
1 違う道筋で進化した「心」との出会い
二度の出会い、そして別れ
本書の概要
2 動物の歴史
始まり
ともに生きる
ニューロンと神経系
エディアカラの園
感覚器
分岐
3 いたずらと創意工夫
カイメンの庭で
頭足類の進化
タコの知性の謎
オクトポリスを訪ねる
神経革命
身体と制御
収斂と放散
4 ホワイトノイズから意識へ
タコになったらどんな気分か
経験の進化
「新参者」説vs「変容」説
タコの場合
5 色をつくる
ジャイアント・カトルフィッシュ
色をつくる
色を見る
色を見せる
ヒヒとイカ
シンフォニー
6 ヒトの心と他の動物の心
ヒュームからヴィゴツキーへ
言葉が人となる
言語と意識的経験
閉じたループへ
7 圧縮された経験
衰退
生死を分かつ問題
老化の進化理論
長い一生、短い一生
幽霊
8 オクトポリス
タコが集住する場所
オクトポリスの起源
平行する進化
海
謝辞
訳者あとがき
原注
索引
上記内容は本書刊行時のものです。