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出版者情報
共食いの島
スターリンの知られざるグラーグ
発行:みすず書房
四六判
重さ 360g
224ページ
定価
3,500円+税
- 初版年月日
- 2019年2月8日
- 書店発売日
- 2019年2月9日
- 登録日
- 2018年12月19日
- 最終更新日
- 2019年2月1日
紹介
「強制収容所」のほかに、第二のグラーグといわれた「強制移住・遺棄」の地が、シベリアには多数あった。その実態がはじめて明らかになる。
発端となったのは、1933年早春、シベリアのオビ川に浮かぶナジノ島へ、モスクワとレニングラードから6000人が着のみ着のまま移送・遺棄され、そこで起きた事件だった。
スターリンが「上からの革命」(富農階級の撲滅、農業集団化、第一次重工業化)に着手したのは1929年。その結果、穀倉地帯ウクライナは大飢饉におそわれ、農民は大挙して都市へ流入した。都市では犯罪が激増する。秘密警察は1930年前半、「大都市の浄化」と称して、流入した元富農や「社会的有害分子」の一掃を決め、西シベリアへは1933年に13万2000人が強制移住させられた。
ナジノ島の6000人という規模は、シベリアに送られた犠牲者総数の、ほんの芥子種一粒にすぎない。しかし著者は、発掘した「事件」関係の資料から、強制移住政策の全容を知ることになった――「壮大な計画」の立案、拙速な長距離移送が原因の大混乱、送られた人たちの運命まで。
フランスの代表的なソ連史研究者ヴェルトは事実を淡々と語り、画期的な研究を実らせた。さらにこの「ミクロヒストリー」をとおして、スターリンの恐怖政治、収容所群島、秘密警察、ソビエト官僚制の実像までが見えてくるだろう。
目次
まえがき
第1章 「壮大な計画」
第2章 強制移住地、西シベリア
第3章 交渉と準備
第4章 トムスク中継収容所で
第5章 ナジノ島
むすび
エピローグ 1933-1937
謝辞
訳者あとがき
注
索引
上記内容は本書刊行時のものです。