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ブルジョワ フランコ・モレッティ(著/文) - みすず書房
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ブルジョワ (ブルジョワ) 歴史と文学のあいだ (レキシトブンガクノアイダ)

文芸
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発行:みすず書房
四六判
304ページ
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-622-08723-6   COPY
ISBN 13
9784622087236   COPY
ISBN 10h
4-622-08723-5   COPY
ISBN 10
4622087235   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2018年8月10日
最終更新日
2018年9月11日
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書評掲載情報

2018-11-24 朝日新聞  朝刊
評者: 都甲幸治(早稲田大学教授・アメリカ文学)
2018-11-17 日本経済新聞  朝刊
評者: 小野正嗣(作家)
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紹介

「世界文学」の旗手として、またデジタル・ヒューマニティーズの創案者として名を馳せた著者が、〈歴史〉に挑戦する。選んだ主題は、「ブルジョワ」。かつてはマルクス主義批評だけでなく広く社会分析において不可欠であった、この死滅していた概念を、著者は見事に甦らせる。
ロビンソン・クルーソーの孤島での労働、フェルメール絵画の時空間、ゲーテにおける複式簿記、オースティンの自由間接話法、ヴィクトリア時代の形容詞の用法、ドストエフスキー『罪と罰』における金銭――イギリス、フランス、ドイツから、スペイン、シチリア、ポーランド、ロシアまで、18世紀と19世紀の多種多様な小説、詩、絵画から引き出した主題を、モレッティは、大胆に、かつ精密に分析する。また、アウエルバッハ、ウェーバー、ルカーチなどの文学批評や社会思想のテクストも縦横無尽に引用する。そしてその華麗な博覧強記のページを横切るブルジョワという亡霊は、色彩ゆたかな生気を放つようになる。しかし、その行方は?
誰もが知っている文学作品を素材として、独自の歴史記述を編み出す著者は、人文学の危機の時代にあって、新たな人文学のかたちを提示する。「文学批評の偶像破壊者」(ジョン・サザーランド)と称されたモレッティが、社会科学の方法論との融合を目指して打ち立てた、新時代の文学研究と歴史研究の理想型。

目次

序章 いくつもの捉え方、いくつもの矛盾
一 「私はブルジョワ階級の一員である」
二 不調和
三 ブルジョワジー、中流階級
四 歴史と文学のあいだ
五 抽象的な英雄
六 散文とキイワード──予備的考察
七 「ブルジョワは消え去る……」

第1章 働く主人
一 冒険、起業、「フォルトゥーナ」
二 「これがぼくが怠けなかったことの証拠になる」
三 キイワード I──「役に立つ」
四 キイワード II──「効率」
五 キイワード III──「快適」
六 散文 I──「持続のリズム」
七 散文 II──「精神の生産性を発見した……」

第2章 真剣な世紀
一 キイワード IV──「真剣」
二 埋め草
三 合理化
四 散文 III──現実原則
五 記述、保守主義、「レアルポリティーク」
六 散文 IV──「主観の中への客観の転位」

第3章 霧
一 裸で、恥ずかしげもなく、露骨に
二 「ヴェールに隠されて」
三 「出来合い」としてのゴシック
四 ジェントルマン
五 キイワード V──「影響」
六 散文 V──ヴィクトリア時代的形容詞
七 キイワード VI──「真面目」
八 「知を愛さないものなどいない」
九 散文 VI──「霧」

第4章 「各国での変形」──半周縁における変容
一 バルザック、マシャード、金銭
二 キイワード VII──「ローバ」
三 旧体制の持続 I──『人形』
四 旧体制の持続 II──『トルケマダ』
五 「算術からいっても明瞭じゃないか!」

第5章 イプセンと資本主義の精神
一 灰色の領域
二 「指示と指示が折り合わない」
三 ブルジョワの散文、資本主義の詩

原註
訳者あとがき
図版クレジット
文献一覧
索引

著者プロフィール

フランコ・モレッティ  (フランコモレッティ)  (著/文

1950年イタリア、ソンドリオ生まれ。現在 米国スタンフォード大学名誉教授、スイス連邦工科大学ローザンヌ校顧問。主な著書に、『ドラキュラ・ホームズ・ジョイス――文学と社会』(1983/邦訳、新評論、1992)『世の習い――ヨーロッパ文化における教養小説』(1987)『近代の叙事詩――ゲーテからガルシア=マルケスにいたる世界システム』(1995)『ヨーロッパ小説の地図帳 1800-1900』(1998)『グラフ、地図、樹――文学史の抽象モデル』(2005)『ブルジョワ――歴史と文学のあいだ』(2013/邦訳、みすず書房、2018)『遠読』(2013/邦訳、みすず書房、2016)など。

田中裕介  (タナカユウスケ)  (翻訳

1972年生まれ。現在 青山学院大学文学部准教授。専攻は19世紀イギリス文学・文化。主な著訳書に『講座文学9 フィクションか歴史か』(共著、岩波書店、2002)、P・ゲイ(単独訳)『シュニッツラーの世紀――中流階級文化の成立 1815-1914』(岩波書店、2004)、R・ウィリアムズ(共訳)『共通文化にむけて――文化研究 I』(みすず書房、2013)、F・トレントマン(共訳)『フリートレイド・ネイション――イギリス自由貿易の興亡と消費文化』(NTT出版、2016)、F・モレッティ『ブルジョワ――歴史と文学のあいだ』(みすず書房、2018)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。