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出版者情報
二〇二一年衆院選
コロナ禍での模索と「野党共闘」の限界
- 初版年月日
- 2022年9月20日
- 書店発売日
- 2022年9月22日
- 登録日
- 2022年8月1日
- 最終更新日
- 2024年1月24日
紹介
コロナ禍で行われた2021年衆院選で、本格的な選挙協力を行った立憲民主党や共産党などの野党は、岸田自公政権にどう立ち向かったのか。与党にとって堅調な結果となったこの総選挙について、全国各地の注目選挙区での実態を描き出す。
◎立憲民主党と共産党を中心に行われた本格的な選挙協力は、なぜうまくいかなかったのか?
◎全国の動向とは異なる、選挙区レベルでの現場実態を描く。
◎「第Ⅲ部 代議士たちの苦闘」では、特に動向が注目された選挙区の代議士たちにスポットを当てる。
目次
はしがき
序 章 二〇二一年衆院選の位相 [白鳥 浩]
1 野党の変容
「九三年体制」下の基軸野党―ポスト冷戦期の日本
基軸野党の消滅―「百合子フィーバー」と野党第一党の分裂
野党共闘へ向けて―二〇二〇年東京都知事選と立国合流
2 リモート・デモクラシーの出現
デモクラシー概念の変容―リモート・デモクラシーの出現
政治システムの変動―リモート・デモクラシーにおける参加
集団の機能不全―コロナ禍の情報提供と動員
3 選挙過程の変化
コロナ禍の世代別投票率―「シルバー・デモクラシー」を超えて
政治活動の変容―リモート・デモクラシーの影響
4 政治リーダーの変化
政党リーダー―「選挙のカオ」としての資質
野党共闘―衆院選の前哨戦としての東京都議選
退陣に追い込まれる菅首相
地方選の影響―コロナ禍の選挙と衆院選直前の首相交代
5 二〇二一年衆院選の結果
選挙の結果―自民党は勝利したのか
コロナ禍の選挙―リモート・デモクラシーの深化
新たな「凍結」?―日本におけるクリーヴィッジ概念
◆第Ⅰ部 複合選挙としての衆院選
第1章 コロナ禍の野党共闘と第三極の躍進―東京五区・八区・神奈川一三区 [白鳥 浩]
1 地方選挙、国政選挙と小選挙区制、比例代表制―選挙の位相
2 衆院選の背景として地方選挙
国政選挙の前哨戦としての地方選挙―不適合となった旧来の政治様式
二〇二〇年東京都知事選―小池都知事によるリモート・デモクラシーの実践
二〇二一年東京都議選―「二つのスウィング」と都民ファーストの会の勢力維持
二〇二一年横浜市長選―「コロナの専門家」対「菅政権閣僚」
3 「政権選択」としての小選挙区―一対一の対決構図
4 「政党選択」としての比例代表―野党共闘と比例復活
東京・神奈川における維新進出―トリプル・ウィナー現象とスプリット・ウィナー現象
トリプル・ウィナー現象とスプリット・ウィナー現象の背景
5 二つのセットの「二つのスウィング」―「小選挙区と比例代表」と「国家と地域」
第2章 候補者全員の当選―奈良一区 [丹羽 功]
1 二〇一〇年代以降の奈良一区をめぐる政治
奈良県の政治状況
今回総選挙までの奈良一区の動向
告示前後までの情勢
2 選挙戦の経過と選挙結果
選挙の焦点としての生駒市
静かな選挙運動―小林・馬淵の選挙活動
政党が前面に出た選挙運動―前川の選挙運動と公明党・共産党の活動
候補者全員の当選
3 野党共闘と市長選
野党共闘の効果
市長選と総選挙における維新支持
4 個人中心の選挙と有権者
有権者の投票理由と候補者側の動機
選挙の図式は変化するのか
第3章 知事選・参院補選との複合選挙―静岡三区・五区・八区 [白鳥 浩/黒木 美來]
1 二〇二一年静岡知事選―「川勝フィーバー」と劇場型政治
「川勝フィーバー」と「いのちの水」
劇場型政治としての「川勝劇場」
2 二〇二一参院補選―「静岡ショック」
選挙戦の展開
選挙結果と影響
3 「保守分裂」静岡五区の構造
静岡五区における着目点
細野の勝因、吉川の敗因
4 野党共闘による与党の敗北
静岡三区・八区の選挙結果
複合選挙と「静岡ショック」
◆第Ⅱ部 「野党共闘」の実態
第4章 「野党共闘」成立の条件―北海道二区・五区 [山本 健太郎]
1 共闘の原点
2 北海道における野党共闘
3 「元祖」共闘はなぜ崩壊したか―北海道五区
共闘の原点―二〇一六年衆院補選
さらに肉薄―二〇一七年衆院選
二〇二一年衆院選まで
共闘の崩壊―二〇二一年衆院選
4 継続した共闘―北海道二区
不戦勝―二〇二一年衆院補選
共闘の継続―二〇二一年衆院選
5 共闘の条件
第5章 一騎打ち構図の形成―福岡五区 [出水 薫]
1 福岡県下小選挙区結果の概要
自民独占のほころび
一騎打ち選挙区の結果
維新候補
2 五区の選挙結果と、検討における注目点
3 公認をめぐる自民内の対立
公認をめぐる自民現職と県議団の対立
自民党県連による調整の行き詰まり
自民党本部の介入と対立の継続
4 野党の候補調整と自民の分裂回避
野党候補の競合と一本化
自民の分裂回避
自民分裂と野党候補一本化の選挙過程における影響
5 示された検討課題
第6章 自公政権に敗れた「オール沖縄」―沖縄三区 [久保 慶明]
1 沖縄三区の議席変動
オール沖縄の得票減と自公の得票増
一騎討ちでの議席変動
得票構造の変化
2 政策争点の変化
辺野古埋め立ての既成事実化
コロナ禍による沖縄経済の疲弊
衆院選の争点
3 選挙協力の変化
オール沖縄の縮小と不安定化
自公選挙協力の安定化
オール沖縄と自公の逆転
4 「オール沖縄」対「自公」のゆくえ
第7章 与野党激突型なき選挙戦における野党勝利―京都一~六区 [芦立 秀朗]
1 京都府内六選挙区の概要と野党共闘の難しさ
2 京都一区の選挙戦
京都一区の選挙戦の歴史―中選挙区時代から
維新の躍進と京都一区―「トリプル・ウィナー」の誕生
選挙区「すみ分け」とその成果―共闘の温度差
3 立憲民主党に加わらなかった元「希望の党」候補者の選挙戦―維新支持層との関係
二〇一七年衆院選から二〇二一年衆院選へ―野党再編と候補者の動向
維新支持層からの支持―二〇二〇年京都市長選から継続する流れ
京都四区の選挙戦
4 二〇二二年参院選への示唆―非自民非共産は一本化するのか
第8章 「民主党王国・愛知」の落日―愛知一一区 [後 房雄]
1 総選挙結果からみる「民主党王国・愛知」の盛衰
2 愛知県一一区の選挙結果
3 全トヨタ労連の新方針の他小選挙区への影響
4 愛知一一区トヨタ議員の不出馬の深層
全トヨタ労連の方針転換
不出馬事件の真相
連合会長の交代と発言の変化
5 かつての「民主党王国・愛知」の今後
◆第Ⅲ部 代議士たちの苦闘
第9章 なぜ君は小選挙区で勝てたのか―香川一区 [堤 英敬/森 道哉]
1 七度目の対決前史
香川一区の特徴と小川・平井のプロフィール
香川一区における小川と平井の対決
2 二〇一七年以降の動き―向上した知名度
統計不正問題の追及
「なぜ君は総理大臣になれないのか」
平井の失言問題と接待問題
3 選挙戦の構図―日本維新の会の候補者擁立と野党共闘
香川一区における野党共闘
崩れる一騎打ちの構図
4 二〇二一年衆院選の選挙キャンペーン
小川の新たな選挙キャンペーン―青空対話集会とSNSの活用
小川による「地上戦」―小豆島と企業への浸透
平井の選挙キャンペーン
5 なぜ小川は小選挙区で勝てたのか
香川一区の有権者の投票行動
小川の勝因と今後の展望
第10章 一七年ぶりの国政返り咲き―宮城二区 [河村 和徳]
1 衆議院議員辞職、そして流浪の選挙遍歴へ
候補者公募の功罪
苦難の道の発端となった選挙違反事件
流浪の末に
2 秋葉に肉薄した二〇一七年衆院選
無所属での出馬
秋葉陣営が抱えていた課題
3 予想よりも僅差であった二〇二一年衆院選
緊急事態宣言等の解除の影響
足を引っ張った民主党OG
4 鎌田の返り咲きからの気づき
第11章 現職復興副大臣はなぜ小選挙区で勝てなかったのか―福島一区 [河村 和徳/竹田 香織]
1 福島一区の状況
2 亀岡の得票はなぜ伸び悩んだか
支持固めに影響した新型コロナウイルスの感染拡大
選挙スケジュールの綾
延期された復興五輪
ALPS処理水の海洋放出
3 金子はなぜ勝ちきれたのか
4 福島で野党共闘は必要だったのか
第12章 「小沢王国」の落日―岩手三区 [伊藤 裕顕]
1 小沢一郎小選挙区落選の衝撃
世代交代待望論が主因か
挑戦四回目での勝利
2 選挙戦の実相
旧態依然とした選挙手法
可視化できる活動に乏しかった小沢
牙城を崩した藤原、忠誠度が揺らいだ小沢
3 盛り上がりを欠いた政策論争
示されなかった世代間の対立軸
震災復興を語らなかった復興政務官
4 世代交代を突きつけられる小沢王国
三つの敗北と岩手政界の今後
組織選挙に取り残された無党派層
第13章 辻元の敗北と維新の躍進―大阪一〇区 [善教 将大]
1 大阪一〇区における辻元の敗北
2 分析枠組みと仮説
候補者重視から政党重視へ
受け皿として機能した維新
3 変わらなかった辻元人気
辻元へのインタビュー調査
自然実験による辻元人気の検証
4 投票選択―責任帰属と業績評価
関西圏における比例相対得票率の変動
責任帰属と業績評価
立民支持の凋落の帰結
5 立民不支持の帰結としての辻元落選
個人投票を凌駕した政党投票
政党投票の行く末
第14章 新人候補の強みと弱み―石川一区 [岡田 浩]
1 選挙の概要
2 前職はなぜ強いのか
前職の強さ
先行研究の検討
3 有権者の投票行動は前職と新人でどう違ったか
4 候補者についての有権者の意識
認知度
イメージ
好感度
5 新人への交代が及ぼした影響
第15章 候補者と有権者はネットをどのように使ったのか―二〇二一年衆院選調査による概観 [岡本 哲和]
1 二〇二一年衆院選における候補者のネット利用状況
ウェブサイト
ツイッター
フェイスブック
2 政党・地位ごとに見たネット利用状況
政党ごとのネット利用状況
候補者の地位ごとのネット利用状況
3 候補者によるネット利用のタイプ
インターネット利用のタイプ
ネット「非利用」タイプの特徴
4 インターネットを介した有権者による選挙情報との接触状況
調査の概要
接触経験率
5 インターネット選挙情報に接触した理由とその影響
インターネット選挙情報に接触した理由
インターネット選挙情報への接触が与えた影響
インターネット選挙情報への接触と投票との関係
人名索引
上記内容は本書刊行時のものです。