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アブラヤシ農園開発と土地紛争 中島 成久(著) - 法政大学出版局
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アブラヤシ農園開発と土地紛争 (アブラヤシノウエンカイハツトトチフンソウ) インドネシア、スマトラ島のフィールドワークから (インドネシアスマトラトウノフィールドワークカラ)

社会科学
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A5判
378ページ
上製
価格 5,400円+税
ISBN
978-4-588-37718-1   COPY
ISBN 13
9784588377181   COPY
ISBN 10h
4-588-37718-3   COPY
ISBN 10
4588377183   COPY
出版者記号
588   COPY
Cコード
C3036  
3:専門 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年9月20日
書店発売日
登録日
2021年7月21日
最終更新日
2021年10月18日
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書評掲載情報

2022-03-05 図書新聞
評者: 岡本正明
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紹介

私たちの食生活と消費文化に不可欠となったパーム油。しかし、グローバルな生産量の約6割を誇るインドネシアではいまなお、オランダ植民地時代のプランテーション経営や、開発独裁政治に淵源する土地紛争、違法な入植行為や環境破壊、先住民や移民労働者の人権をめぐるトラブルが後を絶たない。集団間の暴力や排除が生じるメカニズムを、長期にわたる現地調査から明らかにする人類学の成果。

目次


用語・略語解説

序章 アブラヤシ農園開発と土地紛争

第1節 研究の目的──インドネシアの土地政策、共有地権、ヘゲモニー関係

第2節 研究の背景、方法
 1 土地紛争から見えるインドネシアのポスト・コロニアリズム的状況
 2 共有地権をめぐる理念と現実

第3節 土地紛争を誘発するアブラヤシ農園開発
 1 アブラヤシ農園の面的拡大
 2 土地の収奪
 3 土地紛争の現状

第4節 本書の構成

第Ⅰ部 土地紛争の淵源

第1章 共有地権の歴史的展開

第1節 改革時代の共有地権
 1 改革時代以前──共有地権の承認と否定
 2 改革時代──共有地権の承認への動きとその限界
  2–1 土地関連法改革の流れ
  2–2 先住民族なのか、慣習法共同体なのか──用語をめぐる混乱

第2節 西スマトラ州における共有地利用と管理主体の変遷
 1 カパロ・ヒラランの闘い
  1–1 永借地権の設定から軍による支配まで
  1–2 人々の闘いと共有地利用の混乱
  1–3 カパロ・ヒラランの最近の動きについて
 2 ミナンカバウ社会における共有地権の歴史的変遷
  2–1 ミナンカバウにおける三つの共有地
  2–2 共有地への永借地権の設定
  2–3 オンビリン炭鉱での永借地権
  2–4 ナガリ条例
  2–5 一九七九年村落法(西スマトラ一九八三年施行)
 3 改革時代、一九九九年地方自治法によるナガリの復活

第2章 大農園に有利な土地分配政策への転換

第1節 インドネシアにおけるアブラヤシ産業の発展

第2節 中核農園方式から提携政策への転換
 1 PIR方式の変遷
  1–1 PIR方式変遷の過程
  1–2 寛大な土地配分から面倒な方式への転換
 2 小農と大農園との力関係
 3 国営農園の場合

第3節 増大する小農
 1 ジャンビ州におけるアブラヤシ農園開発
 2 ブンゴ県における小農の増加と紛争
  2–1 フェイントレニー報告
  2–2 小農の生産性の低さ
  2–3 小農の階層化
 3 ムランギン県の小農

第Ⅱ部 アブラヤシ農園開発をめぐる土地紛争の実態

第3章 狩猟採集民族オラン・リンバの土地権──巨大アブラヤシ企業への抵抗と生存戦略

第1節 アブラヤシ農園開発とインドネシアの先住民族の現状
 1 パプア州の場合
 2 二〇〇七年「先住民族の権利に関する国際連合宣言」とインドネシア
 3 アマンの結成

第2節 オラン・リンバにとっての土地
 1 オラン・リンバの現状
 2 オラン・リンバのリーダーシップ
 3 オラン・リンバにとっての移動
 4 森の野生動物の利用

第3節 土地を奪われるオラン・リンバ
 1 SAL社の操業とそれへの抵抗
 2 ブキット・ドゥアブラス国立公園の成立
 3 土地の返還を主張するオラン・リンバ

第4節 オラン・リンバの外的世界
 1 宙に浮くオラン・リンバの法的地位
 2 先住民族、マシャラカット・アダット──ワルシによる支援活動
 3 アマンとの共闘をめざさないスコラ・リンバ(KMB)の活動
 4 定住化を推進する政府
 5 住民証問題

第5節 タリブ氏の生存戦略──ライフヒストリーの分析
 1 誕生から結婚まで
 2 トゥムングンとしての活躍
 3 知識人としての認知
 4 イスラームとSAL社の受容

第6節 論点の整理
 1 オラン・リンバの先住民族権
 2 タリブ氏の生存戦略の評価
 3 オラン・リンバの直面する諸問題の解決に向けて

第4章 共有地権をめぐる闘い──西パサマン県の事例より

第1節 西パサマン県でのアブラヤシ農園の拡大

第2節 アブラヤシ農園開発と共有地権
 1 共有地利用における同意の形成
 2 キナリ郡での事例

第3節 PHPⅠ社をめぐる紛争、カパの事例より
 1 紛争の発端、合意形成の困難さ
 2 紛争の展開、深まる内部対立
 3 主流派対PHPⅠ社
 4 紛争の新段階
 5 カパのマシャラカット・アダット

第4節 ゲルシンド・ミナン社の紛争

第5節 頻発する土地紛争

第6節 ナガリ・デサバル、共有地権のない村での土地紛争

第5章 アブラヤシ農園開発とニアス人違法入植者排斥事件

第1節 ニアス人移住者のマージナリティ
 1 西スマトラのニアス人
 2 アブラヤシ農園開発で急増するニアス人労働者

第2節 オフィール山山麓部のニアス人違法入植者

第3節 二〇〇九年西パサマン県知事選挙

第4節 政治的報復

第5節 「長期の占有に基づく土地権」

第6節 襲撃事件後のニアス人違法入植者

第6章 違法入植者に土地権はあるのか──クリンチ・スブラット国立公園の事例分析

第1節 開発で危機に瀕するクリンチ・スブラット国立公園
 1 クリンチ・スブラット国立公園の成立
 2 地方分権で悪化する状況
 3 迫るアブラヤシ開発

第2節 スンガイ・トゥバルの違法入植
 1 スンガイ・トゥバルの入植史
 2 地元民との軋轢
 3 SPI指導者の逮捕

第3節 解決策はあるのか?

第Ⅲ部 アブラヤシ農園をめぐるヘゲモニー関係

第7章 土地紛争と治安機構

第1節 農園内の治安機構

第2節 紛争のコスト
 1 目に見えるコスト、見えないコスト
 2 紛争の原因、経緯、影響

第3節 抵抗の諸相
 1 抵抗の声域
 2 SAD113の闘いにおける抵抗の諸相
 3 カリマンタンにおける抵抗の諸相

第8章 アブラヤシ農園ニアス人労働者をめぐるヘゲモニー関係

第1節 インドネシアにおけるアブラヤシ農園労働者の実態

第2節 AAGの労働者管理
 1 エイシャン・アグリ・グループについて
 2 威嚇の体系
 3 ジェンダー問題
 4 待遇改善を求めるデモ

第3節 ヘゲモニー関係の連鎖

終章 土地紛争解決への提言
 1 共有地権に関する提言
 2 事業権の透明化に関する提言
 3 用語の統一に関する提言
 4 土地収用方法と補償についての提言
 5 調停機関としてのRSPOに関する提言

あとがき
表・地図一覧
図版一覧
参考文献
索引

著者プロフィール

中島 成久  (ナカシマ ナリヒサ)  (

1949年鹿児島県屋久島生まれ、高校卒業まで屋久島に居住。1978年九州大学大学院教育学研究科博士課程(文化人類学専攻)中退。1978年九州大学教育学部附属比較教育文化研究施設助手。1982年法政大学第一教養部助教授、教授を経て、2000年国際文化学部教授。2020年大阪大学博士(国際公共政策)、法政大学名誉教授。退職後屋久島に帰郷。
主著:『ロロ・キドルの箱──ジャワの性・神話・政治』(風響社、1993年)、『森の開発と神々の闘争──改訂増補版 屋久島の環境民俗学』(明石書店、2010年)、『インドネシアの土地紛争──言挙げする農民たち』(創成社新書、2011年)、編著『グローバリゼーションのなかの文化人類学案内』(明石書店、2003年)、訳書:ベネディクト・アンダーソン『言葉と権力──インドネシアの政治文化探求』(日本エディタースクール出版部、1995年)、アン・ローラ・ストーラー『プランテーションの社会史──デリ、1870–1979』(法政大学出版局、2007年)。

上記内容は本書刊行時のものです。