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近世の村と百姓
- 書店発売日
- 2021年8月31日
- 登録日
- 2021年7月28日
- 最終更新日
- 2021年7月28日
紹介
近世社会において、百姓たちは領主や他の諸身分、また、周辺の地域社会とどのように関わり、折衝を行ってきたのか。
災害など不慮の事態に如何に対応を講じてきたのか。
各所に伝わる一点一点の史料を丁寧に読み込むことで、近世日本社会を生き抜いてきた村と百姓の底力を照射する。
多くの新稿・新知見を盛り込んだ、近世村落史研究を長年にわたり領導してきた著者による待望の最新著書。
目次
序 章
一 本書の目指すもの
二 出羽国村山郡の地域特性
三 両総の地域特性
四 本書の前提となる私の研究について
五 本書各章の概要
第一部 出羽国村山郡の村と百姓
第一章 郡中議定からみた村と地域社会
はじめに
一 郡中議定をめぐる研究史
1 安孫子麟氏の研究
2 青木美智男氏の研究
3 梅津保一氏の研究
4 岩田浩太郎氏の研究
5 平川新氏の研究
二 郡中議定の諸特徴
1 郡の全域を覆うタテとヨコの連携
2 郡内における諸対立
3 治安維持
4 郡中議定をめぐる諸論点
5 幕末の郡中議定―郡中議定の最終型
6 郡中惣代についての異なる見方
7 松前藩領の郡中惣代
8 小 括
三 村の土地問題と解決のための取組み
1 高抜地という問題
2 観音寺村の場合
3 片谷地村の場合
4 小前と地主のせめぎ合い
5 小 括
おわりに―地域自治の到達点と課題
第二章 年貢納入をめぐる村と領主―松前藩領の酒田買替米を事例として―
はじめに
一 万延・文久期の酒田買替米
二 元治元年と慶応元年の酒田買替米
三 酒田買替米をめぐるトラブル
四 村方騒動の決着
五 慶応二年分以降の酒田買替米
おわりに
第二部 両総地域(上総・下総両国)における村と百姓
第三章 両総における旗本知行所と相給村落―川村優氏の業績によせて―
はじめに
一 川村優氏の旗本領研究の成果と課題
1 川村氏の問題関心と研究手法
2 旗本知行所支配の特質
3 旗本家政改革の研究
4 知行所村々の動向
5 自主的な組合村の形成
二 川村優氏の旗本領研究の継承・発展を目指して
1 旗本支配と知行所百姓との関係をめぐって
2 相給村落における知行所間の関係
3 旗本知行所における災害対策
おわりに
第四章 備荒貯蓄にみる百姓・領主関係―「積石一件」を事例として―
はじめに
一 研究史の整理
1 領主政策論の立場から
2 村落の現場から
3 近代への展望
二 河野知行所における積石の開始と中止
三 嘉永七年の「積石一件」
1 河野氏の勝手向き仕法替をめぐる一件
2 「積石一件」の経過と結果
おわりに
第五章 無年季的質地請戻し慣行を再考する
はじめに
一 質地請戻し慣行をめぐる論点
二 幸谷村とはどういう村か
三 幸谷村における無年季的質地請戻し慣行の実態
1 万蔵の場合
2 庄右衛門の場合
四 庄右衛門・庄兵衛両家の事例からわかること
五 無年季的質地請戻し慣行をめぐる論点について
おわりに
第六章 幸谷村にみる相給村落の特質
はじめに
一 村掟の世界
二 村の財産と施設
三 村の寺と神社
四 村内の争いの解決法
五 江戸川・坂川の普請をめぐる幸谷村内の対立
おわりに
第三部 近世の村と百姓―村山郡と両総地域を中心に―
第七章 土地と日本人―近世の村から、近代以降の土地所有を再考する―
はじめに
一 村の耕地は交換されるもの―割地
二 所有欲と割地の両立
三 質流れになった土地でも取り戻せる―無年季的質地請戻し慣行
四 村の土地は誰のものか?―近世の土地所有の特質
五 慣行にはらまれた矛盾
六 土地所有における明治維新―高抜地という問題
七 慣行同士のせめぎあい
おわりに
第八章 土地問題をめぐる百姓の意識―中林真幸氏の論文によせて―
はじめに
一 武蔵国の事例
二 下総国千葉郡南生実村の事例
1 事例の紹介
2 史料1、2の解釈について
三 出羽国村山郡の事例
1 観音寺村の場合
2 片谷地村の場合
3 日和田村の場合
4 補足と小括
四 肥後国天草郡の事例と先行研究との関連
1 肥後国天草郡の事例
2 先行研究との関連から
おわりに
終 章
一 小松賢司氏の批判に答える
二 本書の基礎にある研究スタイル
あとがき
索 引
上記内容は本書刊行時のものです。