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日本人と中国故事
- 書店発売日
- 2018年9月28日
- 登録日
- 2018年9月12日
- 最終更新日
- 2018年9月12日
紹介
日本の文学作品に多種多様に取り入れられてきた漢故事(=中国故事)。
本文に直接依拠したもののみだけでなく、逸脱・展開した形でも用いられるが、出典の明記がなされないことも多く、その故事が人々に知られていることが前提となっている。漢故事は、規範や例証として絶対的な価値をもって用いられながら、変化しつづけ、それでいて共有の知的基盤たり得ている。
漢故事は日本においてどのように語られ、どのように学ばれ、そしてどのように拡大していったのか。時代やジャンルを超えた様々な視点から見つめることで、融通無碍に変奏する〈知〉の世界とその利用を切り拓く。
目次
はじめに 森田貴之
第一部 歌われる漢故事―和歌・歌学
「春宵一刻直千金」の受容と変容 大谷雅夫
亀の和歌に見られる「蓬莱仙境」・「盲亀浮木」などの故事について 黄一丁
初期歌語注釈書における漢故事―『口伝和歌釈抄』を中心に 濵中祐子
中世和歌における「子猷尋戴」故事の変容 阿尾あすか
第二部 語られる漢故事―物語・説話・随筆
『伊勢物語』第六十九段「狩の使」と唐代伝奇 小山順子
『源氏物語』胡蝶巻における風に吹かれる竹 瓦井裕子
西施・潘岳の密通説話をめぐって―『新撰万葉集』から朗詠古注まで 黄昱
延慶本『平家物語』の李陵と蘇武 森田貴之
第三部 座を廻る漢故事―連歌・俳諧・俳文
故事と連歌と講釈と―『故事本語本説連歌聞書』 竹島一希
「負日」の系譜―「ひなたぼこ」の和漢 河村瑛子
其角「嘲仏骨表」に見る韓愈批判―「しばらくは」句の解釈をめぐって 三原尚子
俳諧の「海棠」―故事の花と現実の花 中村真理
第四部 学ばれる漢故事―日本漢文・抄物・学問
平安朝の大堰川における漢故事の継承 山本真由子
中世後期の漢故事と抄物 蔦清行
桃源瑞仙『史記抄』のことわざ「袴下辱」について 山中延之
五山文学のなかの故事─邵康節を例に 堀川貴司
第五部 拡大する漢故事―思想・芸能
花園院と「誡太子書」の世界 中村健史
李広射石説話と能『放下僧』―蒙求古注からの展開 中嶋謙昌
浄瑠璃作品と漢故事―近松が奏でる三国志故事 朴麗玉
漢故事から和故事へ―『本朝蒙求』に見える詩歌の文学観 クリストファー・リーブズ
日本人と中国故事 木田章義
あとがき 小山順子
上記内容は本書刊行時のものです。