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出版者情報
聖と俗 対話による宮台真司クロニクル
- 初版年月日
- 2024年10月
- 発売予定日
- 2024年10月11日
- 登録日
- 2024年9月6日
- 最終更新日
- 2024年9月18日
紹介
「面白いことを言おうとしたりといった意識はまるでない。このひと、どんな話題にも真正面から立ち向かっていってしまうたちなのだ。そのいちいちの〝愚直さ〟が見ていて聞いていてなんとも愛おしい! とは当代随一の社会学者にして各方面に多大なる影響力を発揮する著名な論客でもある人間をつかまえていうには失礼千万な感想だとは百も承知の上で申すが、とにかく私はそんな宮台さんの、人を警戒するということを全く知らないような隙だらけの対応に接しているうち、なんだかたまらなく可愛いく思えてきてしまったのである。
そして、「そうだ! このことをばこそ世に知らしめねば」。そう直観したのだった。そこがいわばこの企画のスタート地点/原点なのである。(中略)
今回、宮台さんには自身の今日に至るまでの人生のなかでその時々に思ったこと、感じたこと、考えたことを自在に語っていただいたのであるが、そこには何か通底する本質があるようにも思えた。それは「心の優しさ」なのかも知れない。話が進むにつれ私はそう強く確信するに至ったのである。」(中略)
宮台真司の魅力とは、結局無類のともいえるほどの誠実さの持ち主、言い替えるのならあきれるほどの正直者だということに尽きるのではあるまいか。」
―― 近田春夫
「本書は、1960年代の幼少期から2006年頃(40歳代半ば)に結婚するまでの自伝だ。自伝を出すなど考えたこともなかった。近田春夫さんと壇上で大喧嘩をした後、僕を気に入ってくれた近田さんが楽屋で僕の自伝をプロデュースしたいとおっしゃり、偶然そこに編集者が居合わせたことで文字通り気付いたら本書を出すことになっていた。近田さんが聞き手になった対話は延べ十数時間。それを何とか一冊に収まるようにしたのが本書である。(中略)
映画批評のキーフレーズは25年間変わらず、『ここではないどこか』『どこかに行けそうで、どこへも行けない』『社会から世界へ』『世界からの訪れ』『一緒に屋上に上がって同じ世界で一つになる』。本文を読んでお分かりのように、旅も、恋も、ハイデガーを起点とする理論研究も、援助交際や色街のフィールド研究も、これらキーフレーズが指し示す通奏低音が鳴っていた。今も鳴っている。それに気付けたことが最大の収穫だったように思う。」―― 宮台真司
当代一、ヤバい社会学者が、幼少期から結婚するまでの知られざる私生活を語り尽くした。宮台真司は、どうやって〝生きる術〟を獲得してきたのか。宮台学入門者からマニアまで、必読の一冊。
目次
まえがき 近田春夫
序章
「切り付け事件」とは何だったのか
「事件」を振り返る
「命に別状はない」の軽さ
驚異の「8日で退院」の真相
事件は想定外ではなかった
若者たちの分断と孤立
「死ななかったこと」が神からのメッセージ
第1章
「独裁者になったら……」ー幼少期~小学校時代
「多士済々」の家系
母の3月3日出産計画
小学校受験と転校生活の始まり
ドキュメンタリーで育まれた正義感
演技的な「なりすまし」を身につける
「祭り」の喪失と中学受験
第2章
「革命家を志す以上、勉強に時間を割くわけにいかない」― 中学・高校時代
無法地帯で自閉モードから社交モードへ
思想的立場を守るための空手部入部
アングラ黄金時代を享受する
ジャーマン・プログレッシブと日本の音楽表現の共通点
麻布生の「嫌なやつごっこ」と「シャレからオシャレへ」の変遷
ドキュメンタリー作家になるための東大受験
第3章
アングラ卒業、性愛の享楽 ― 大学生時代
「光はまやかしで、闇こそが真実だ」
映画製作のためのアルバイト
365日、性愛の享楽に浸る
ゼミでの失望
大学院入試面接前日の大喧嘩
第4章
研究、ナンパ、学生起業 ― 大学院生時代
記憶の捏造 ―― 失恋は劣等感のせいだった
ゲーマー「SIM」
数理社会学者の振りをして博士号取得
学生企業―「宮台は産業界に媚びを売って学問を堕落させている」
自己啓発セミナーで気づいた「終わりなき日常」
第5章
「新進気鋭の社会学者」誕生 ― 助手~非常勤講師時代
博士論文『権力の予期理論』
悪しき権力が日本経済を終了させる
東大教養学部助手に着任
第二の失恋
聴衆を魅了した「部会クラッシャー」
第6章
求道者としてのテレクラ修行 ーナンパ師時代
「同じ世界に入る」能力獲得のためのナンパ修行
なぜ専業主婦たちは夫以外と性交したがったのか
「ナンパ地獄」―「本当の恋愛」を探し続けた11年
「政から性へ」から「性から聖へ」のシフト
テレクラにみる「日本が大規模に壊れ始めた」1991年
スワッピングパーティの隆盛と終焉
ヒルギの森で得た気付き
第7章
援助交際ブームとは何だったのか ― 援交フィールドワーク時代
「援交少女」の告白
愛人契約、娘代行から援交へ
モードの変化――第一世代=全能系、第二世代=自傷系、第三世代=財布系
少女たちを擁護した理由
第8章
「終わりなき日常は地獄である」 ― メディアの寵児に
80 年代から始まった「新住民化」
家族とは何か
「微熱の時代」の終焉
『サブカルャー神話解体』で描いた人格類型論
「空気を読んでも迎合しない」年長者と「迎合しちゃう」若年者
「型を知り、型を越える」
生涯に一度の「お見合い」
TVドキュメンタリー「シブヤ 音楽 世紀末」
宮台VS全員を仕掛けた「朝まで生テレビ!」
テレビからの撤退、ラジオに重心を移す
終章
聖なる存在 ― 結婚、子供、家族
「違和感を抱えた苦難の恋愛時代」からの脱却
〈社会〉の外の〈世界〉を思え
二人きりの初デートで…
「カトリックなので、離婚はできません」
子供という「聖なる存在」と内なる変化
性愛とは何か ――「恋愛ワークショップ」の目的
子育て―― 失われたリソースをどう実装するか
言外・法外・損得外の力を強めるための「コンテンツ実践」と「虫採り実践」
あとがき 宮台真司
上記内容は本書刊行時のものです。