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ミステリーで読む戦後史 古橋 信孝(著/文) - 平凡社
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ミステリーで読む戦後史

発行:平凡社
新書判
288ページ
定価 940円+税
ISBN
9784582859010
Cコード
C0236
一般 新書 社会
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2018年11月30日
最終更新日
2019年1月9日
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書評掲載情報

2019-03-17 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 権田萬治(文芸評論家)
2019-02-24 読売新聞  朝刊
評者: 東えりか(書評家)
2019-02-09 朝日新聞  朝刊

紹介

敗戦後の復興の光と影のなかで、『点と線』『ゼロの焦点』が書かれ、爆発的な人気を博し、推理小説に社会派という新たな流れをつくり出す。さらに、高度成長期へと続く時代のなかで、『海の牙』や『人喰い』、騒音公害を告発する『動脈列島』などの作品が生み出されていく――。ミステリーは謎解きが終われば、それで一応の役目は終わりとなるが、歴史のなかに位置づけることで、時代が抱える問題が鮮明に浮かび上がる。はたして、ミステリーは戦後社会をどう捉えてきたか。まったく新しい読み方で、一〇年ごとに時代を振り返る。

目次

《目次》
はじめに 11
序 章 ミステリーとは何か
1 ミステリーはなぜ生まれたか
探偵小説の最初期/負の共同性/科学小説/犯罪への関心と鎮魂/社会派と本格派
2 戦前の探偵(推理)小説
初期の探偵小説/江戸川乱歩と夢野久作
第1章 戦後の社会を書く─― 一九五〇年代まで
1 新しい社会と古い社会 横溝正史『本陣殺人事件』『獄門島』
2 思想の転向 多岐川恭の短編集『落ちる』
3 戦後の閉塞感 香山滋『海鰻荘奇談』
4 国家は何もしてくれない 大藪春彦『野獣死すべし』
5 推理の楽しみ 坂口安吾『不連続殺人事件』・高木彬光『能面殺人事件』
6 時代を書き込む 鮎川哲也『黒い白鳥』
7 女流作家の登場 仁木悦子『猫は知っていた』
8 競合する新聞記者 島田一男『社会部記者』
第2章 戦後社会が個人に強いたもの── 一九六〇年代
1 敗戦後の影 松本清張『ゼロの焦点』『顔』
2 公害告発 水上勉『海の牙』
3 サラリーマンは気楽な稼業 笹沢佐保『人喰い』
4 豊かな生活を求めて 藤村正太『孤独なアスファルト』
5 戦後は終わったか 西東登『蟻の木の下で』
6 ハードボイルドな生き方 河野典生『殺意という名の家畜』・結城昌治『夜の終わる時』
第3章 高度成長した社会の矛盾── 一九七〇年代
1 豊かになった社会の影 森村誠一『人間の証明』
2 列島改造 清水一行『動脈列島』
3 近郊の開発 大岡昇平『事件』
4 世代間の断絶 栗本薫『ぼくらの時代』
5 人間蒸発 夏樹静子『蒸発』
6 もう一つの王国 天藤真『大誘拐』
7 別の戦後国家 檜山良昭『スターリン暗殺計画』
第4章 新たな世代の価値観と家族の再生── 一九八〇年代
1 この世には価値がない 辻真先『アリスの国の殺人』
2 日本をはみ出して戦う個人 船戸与一『山猫の夏』・志水辰夫『背いて故郷』
3 テロはいけない 逢坂剛『カディスの赤い星』
4 生活文化への関心 西村京太郎『終着駅殺人事件』
5 繋ぎとめる家族の絆 小杉健治『絆』・原尞『私が殺した少女』
6 原発は恐ろしい 長井彬『原子炉の蟹』・真保裕一『連鎖』
7 心の神秘へ 宮部みゆき『魔術はささやく』
第5章 時代に取り残された個人── 一九九〇年代
1 もうイデオロギーはいらない 藤原伊織『テロリストのパラソル』
2 正義はあるのか 高村薫『マークスの山』
3 新宿は怖かった 馳星周『不夜城』・大沢在昌『新宿鮫』
4 この世は不確かなもの 東野圭吾『白夜行』
5 郊外主婦のバイトは死体解体業 桐野夏生『OUT』
6 老人の居場所はどこに 森純『八月の獲物』
7 強い女、戦う女 梅原克文『ソリトンの悪魔』・乃南アサ『凍える牙』
8 神秘を暴く 京極夏彦『魍魎の匣』
第6章 グローバルな社会、そして問われる歴史──二〇〇〇年代
1 少年は怖い 湊かなえ『告白』・薬丸岳『天使のナイフ』
2 家族は血で繋がるのか 笹本稜平『時の渚』
3 国家は国民を救えるか 垣根涼介『ワイルド・ソウル』
4 オリンピックで殺される者 奥田英朗『オリンピックの身代金』
5 奴隷解放も商売になる 戸松淳矩『剣と薔薇の夏』
6 組織と個人 横山秀夫『動機』・今野敏『隠蔽捜査』
7 書物がなければ善悪もない 北山猛邦『少年検閲官』
第7章 世界はどこへ向かうのか──二〇一〇年代
1 健康志向の果て 山田宗樹『百年法』
2 新人類の誕生 高野和明『ジェノサイド』
3 私は生きていく価値があるか 早見和真『イノセント・デイズ』
4 結婚に愛はいらない 阿部智里『烏に単は似合わない』
5 最下層の人々に生きる価値はない 宇佐美まこと『愚者の毒』
終 章 ミステリーが語る戦後社会
1 駐在さんは庶民とともに 佐々木譲『警官の血』
2 戦後三代 堂場舜一『雪虫』
3 世界はおかしなもの 桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』
4 一九六八年とは 米澤穂信『氷菓』
5 戦後ミステリーの語る歴史

「戦後社会史&ミステリー史」年表
あとがき

著者プロフィール

古橋 信孝  (フルハシ ノブヨシ)  (著/文

1943年東京都生まれ。東京大学文学部国文科卒業、同大学院博士課程修了。武蔵大学名誉教授。1984年「古代のうたの表現の論理」の業績により、第一回 上代文学会賞を受賞。1999年「和文学の成立」で東京大学文学博士。
著書に『古代の恋愛生活』(NHKブックス)、『吉本ばななと俵万智』(筑摩書房)、『万葉集 歌のはじまり』(筑摩新書)、『誤読された万葉集』(新潮新書)、『日本文学の流れ』(岩波書店)、『文学はなぜ必要か 日本文学&ミステリー案内』(笠間書院)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。