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中国の愚民主義
「賢人支配」の100年
- 書店発売日
- 2014年4月16日
- 登録日
- 2015年8月13日
- 最終更新日
- 2015年8月13日
紹介
民主化という課題が相変わらず放置されつづけ、人民不満がいつ爆発してもおかしくない状況にある中国。中国共産党はこれまでも民主化を口にしながら、人民大衆を政治から排除した国家建設を押し進めてきた。こうした一党独裁、エリート主義の根底には伝統的な支配形態として、人民大衆を愚民と決めつけ、彼らに政治的権利を与えない「愚民思想」がある。辛亥革命以降、一〇〇年にわたる中国政治の内実を「愚民主義」の視点で検証する。
目次
序 中国における愚民主義
「愚民主義」というエリート中心の政策/「党皇帝」「帝王の思想」
現代中国が抱える危険な爆弾
第一章 民主主義を棄てた孫文
アジアで最初の共和国誕生/武昌起義の混乱/アメリカ連邦型憲法/立憲政治のスタート
孫文の段階的民主化構想/宋教仁暗殺で変わった流れ/袁世凱と孫文は同罪
敗北の後の沈痛な闇/武力闘争に明け暮れる孫文/混迷の一九二〇年代
「新文化運動」の発動/中国の伝統思想にたいする武器/中国共産党の創設
第二章 孫文の憲政論
デモクラシーとは異質の「三民主義」/孫文の四つのスローガン/孫文の「三序」構想
独裁は独裁によって解体されるという論理/「人民を皇帝にする」
人間の優劣をランク付け/「権」と「能」を区別しろ/アメリカ議会を批判
瞿秋白が「聖権主義」と批判/胡適が孫文の愚民論を批判/「訓政」とは何か
一党独裁の「以党治国」論/孫文が死んで、国民政府が樹立される
蒋介石の天下統一と「訓政綱領」/「訓政時期約法」の制定
第三章 国共内戦と「中華民国憲法」
「以党治国」から「還政於民」という大義/さまざまな党派が独自な国家論を展開
国民党の「憲政」か、共産党の「連合政府」か/かき消された厭戦ムード
ついに「中華民国憲法」が誕生/戦火のもとでの国政選挙/踏みにじられた憲法の精神
中華人民共和国の成立
第四章 毛沢東の急進的改造――「反右派闘争」から「文化大革命」
連合政府独裁/毛沢東の新政権構想/過渡期としての「新民主主義段階」
「中華人民共和国憲法」の制定/共産党統治の道具
「スターリン批判」と「ハンガリー動乱」の影響/儲安平が「党の天下」を批判
「反右派闘争」という名の弾圧へ/「毒蛇を穴からあぶり出せ」/大躍進政策の失敗
「反党分子」というレッテル/「中ソ論争」におけるフルシチョフ、チトー批判
資本の自由化路線は間違っている/「文化大革命」とは何だったのか
「昨日の友は、今日の敵」/文革批判の公的総括/大衆動員による革命手法
文化は政治に屈した/文化大革命を賛美した論調
第五章 絶えない民主化への叫び――「改革・開放」政策から「天安門事件」「零八憲章」
「改革・開放」政策の登場/「共産党員も憲法を守ろう」/あくまで共産党指導を堅持
「政は正なり」という伝統的意識/人民を排除した国家主義
インターネットは変革の原動力になるか/弾圧された省無連の主張
「李一哲の大字報」/つかの間の「北京の春」と魏京生/きたる天安門事件を予告
武力弾圧された「天安門事件」の悲劇/「動乱」規定にハンガーストライキで対抗
劉暁波の「六・二ハンスト宣言」/趙紫陽の回想/劉暁波「零八憲章」とノーベル平和賞騒動
党の天下を全面的に否定/深刻な階層格差、地域格差/『南方周末』事件
言論の自由化を求める老幹部/「五四精神」への回帰
あとがき
参考文献
上記内容は本書刊行時のものです。