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出版者情報
ゲーム障害
ゲーム依存の理解と治療・予防
- 初版年月日
- 2020年8月25日
- 書店発売日
- 2020年8月17日
- 登録日
- 2020年7月9日
- 最終更新日
- 2020年8月7日
紹介
DSM-5、ICD-11に収載されて注目を浴びるゲーム障害(IGD)。その理論とモデルを解説し、スクリーニングやアセスメントなども含めた臨床の全体像を総説する。
目次
第1章 はじめに――ゲーム使用とIGD
導入と概要
ビデオゲームとは何か
MMO、MOBAとは何か
人気のある他のゲームタイプ
ゲームにまつわる最近の革新的な動き
「サービス」としてのゲーム/収益化の手法/eスポーツとストリーミング/バーチャルリアリティ/拡張現実/ソーシャルメディアやスマートフォンとの統合/携帯性
IGD研究の方法論
問題のあるゲーム使用とIGDの有病率
なぜIGDが問題になるのか
IGDケアに関するスキル不足への対応
本書の目的と範囲
要約:シミュラークルの進出
第2章 IGDの理論とモデル
導入と概要
嗜癖の定義
嗜癖の構成要素:フリーサイズで十分だろうか
嗜癖としてのゲーム使用:アーケードゲーム期の研究
ギャンブル行為の研究手法によるゲーム使用の研究
問題のあるゲーム使用:「時間」をめぐる議論の歩み
DSM-5におけるIGDの分類
嗜癖概念の適用にまつわる困難:「耐性」の場合
原型となるIGDモデル
初期の認知行動モデル/神経認知モデル/多次元的な生物心理社会モデル
モデルの比較
私たちは過補償を起こしているのか
行動分析の必要性
IGDとゲーム使用に対するスタンス
要約:ヒトのモデリング
第3章 IGDの危険因子と防御因子
導入と概要
ゲームはどのような害を引き起こすのか
個人差
ジェンダー/年齢/パーソナリティ特性と個人的特徴/併存障害/不十分な自己制御と意思決定/低い自尊感情と自己効力感/低い学業成績とゲーム以外への関心の乏しさ
外部因子
仲間の影響/ゲーム環境/家族の影響/対人関係のトラウマ
ゲームに関連する因子
ゲームのタイプ/ゲームの諸特徴
問題のあるゲーマーのプロフィール
プロフィールに応じた人間中心の治療
要約:ロボットのリスク
第4章 IGDの認知的特徴
導入と概要
IGD:第一の基準
ゲームとギャンブルはどのように異なるのか
ゲームは合理的な選択か
人とゲームの相互作用
ゲーム使用と意思決定バイアス
他の認知的アプローチ
ゲーム使用に固有の信念の導入
ゲーム使用に関する信念をとらえる新たな枠組み
ゲーム内報酬の価値と実在性に関する信念/ゲーム行動に関する不適応的で硬直したルール/ゲーム使用に対する過剰な信頼と自尊感情の充足/社会的受容を得る方法としてのゲーム使用
デジタル所有物の標準化
ゲームに保存された記憶
IGDにおけるメタ認知
ゲームをやめることにより関連の信念に生じる変化
要約:性急で巧みな思考
第5章 IGDのスクリーニングとアセスメント
導入と概要
「過度の病理化」の回避
初期のスクリーニングにみられた不整合
インターネットゲーム障害――DSM-5 IGD基準(再掲)
ゲーム障害――ICD-11の記述
ゲームの危険な使用――ICD-11の記述
ゲーム使用のパターンと付随する問題のアセスメント
ゲーム行動の頻度/ゲーム使用の状況とゲームのタイプ/ゲームに関する信念/ゲーム使用の動機/ゲーム使用を支える活動/ゲームに関する出費/ゲーム使用をとりまく社会環境/家族の影響やその他の問題/学業や仕事に関する問題/健康上の問題と心理的な問題/併存障害
機能的分析
発達プロフィール
治療を求める理由
治療上の目標と期待
治療歴とその結果
事例定式化
ゲーム使用の問題:乱用か不真面目か
スクリーニング:適正なツールの選択
スクリーニングに多くみられる落とし穴
推奨されるスクリーニングツール
Internet Gaming Disorder Scale
Gaming Motivation Scale(GAMS)
Gaming-Contingent Self-Worth Scale(GCSW)
Internet Gaming Cognition Scale(IGCS)
Internet Gaming Withdrawal Scale(IGWS)
要約:白鳥たちの哀歌
第6章 IGD の事例定式化
導入と概要
分類
IGDの中核的な精神病理は何か
ゲーム障害に関するモデルの再検討
CBTに関する既知の不明点
事例定式化の枠組み
若年期の体験と家族因子
中核信念:自己、世界、他者
媒介信念:条件つきの思い込み、ルール、構え
誘因:なぜゲームに限定した嗜癖を起こすのか
IGDが果たす機能とは何か
ゲーム使用の個人内機能
コントロール/達成/安全/逃避/役割の回避
ゲーム使用の個人間機能
社会的区別/安全なコミュニケーション
他の持続因子
ゲーム使用に関連する信念/離脱症状
臨床例
シェーン:IGDの青年クライエント
クリス:IGDの成人クライエント
要約:ゲーム使用を枠づける
第7章 IGDの治療
導入と概要
治療エビデンスの全体像
投薬かセラピーか:有効な治療法を求めて
いかにしてエビデンスの質を向上させるか
治療目標:ゲーム使用のコントロールとは
変容を阻む障壁
心理教育:主なテーマ
ゲーム使用の標準化/ゲーム産業/ゲームデザイン/変化に伴う感情の標準化/問題の発生について話し合う
ゲームを減らすにあたってゲーマーは何を思うか
「置いてきぼりへの恐怖」に対する取り組み
個人に合わせた治療の実施
IGDに対する行動アプローチ
自己モニタリング/活動スケジュール法/随伴性マネジメント/曝露反応妨害法
IGDに対する認知アプローチ
ソクラテス式問答法/日常思考の記録
行動実験
現実的な信念の管理
再発予防
家族を主体とした青年向けアプローチ
施設入所またはキャンプによる治療
要約:理想のケアを求めて
第8章 IGDの予防とハームリダクション
導入と概要
ライフスタイルとしてのゲーム
予防の種類
一次予防または全体的な予防法/二次予防または選択的な予防法/三次予防または介入・回復支援
予防エビデンスの解明に関する世界的動向
学校ベースのプログラムに関する研究結果
技術的対策の検討
政策による対応:当局の役割
親の役割
親が把握しておくべきこと
現在の規制方法
ゲーム機器の規制に対する障壁
透明性の高い倫理的なゲームデザイン
実際の予防:各地域の取り組み
韓国/中国/日本/ドイツ/米国、英国、オーストラリア
政府が検討すべき事項
ハームリダクション戦略
環境を調整する/制限を設ける/現実への意識を高める/ゲームへの没入を妨げる/バディシステム/社会的なつながりを作る/自律神経性の変容を起こす/価値を感じられる活動をみつける/リスクの高いゲームを避ける/終わりなきゲームを終わらせる
ゲーマーの観点
産業界と社会の責任
産業界と学術界の協働
要約:リアルタイム・ストラテジー
第9章 IGDに関する今後の展望
導入と概要
モラルパニックの影響
IGDを信じるか否か
専門家にみられるゲーム使用に関するバイアス
将来の研究の優先度と目標
概念の記述と改善/評価ツールの改良/ビッグデータとプレイヤーの追跡/疫学研究と調査研究/効果的な介入/神経心理学的研究/ゲームデザインと収益化
IGD研究の発展に向けて――その他の方法
要約:エンドゲーム
上記内容は本書刊行時のものです。