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ボリショイ秘史
帝政期から現代までのロシア・バレエ
発行:白水社
四六判
570ページ
定価
6,600円+税
- 書店発売日
- 2021年4月6日
- 登録日
- 2020年12月24日
- 最終更新日
- 2021年3月23日
紹介
国家と芸術のアマルガム
「ロシアといえばバレエ、バレエといえばボリショイ」―ロシアをとりまくイメージが多様化した今日においても、このような常套句を想起する人は少なくないだろう。だが、いったいなぜ芸術の一ジャンルが、その一劇場が、国家を代表する存在にまでなりえたのだろうか。ボリショイの華麗な舞台裏で紡がれてきた、劇場、国家、人々をめぐる物語を繙くことで、この疑問に答えんとするのが本書である。
たとえば、本書の導きの糸となる、劇場のバレエ監督であったセルゲイ・フィーリンが襲われた2013年の事件。世界のバレエ・ファンを騒然とさせたこの醜聞はしかし、「ひとつの恐ろしい突然変異というよりも、むしろボリショイの豊かで複雑な歴史の中になにがしかの先例がある」と著者はいう。そこから本書は、18世紀の劇場の前身にまで遡り、劇場内外の人間模様やスキャンダルという視点も盛り込んで、ボリショイの歴史を丹念かつ大胆に辿っていく。
その物語を通して読者は同時に、国家を象徴するまでになった芸術機関であるボリショイ劇場のもつ凄み、鑑賞者をはるかな高みへといざなうその上演の崇高さ、それら魅力の秘密の一端を垣間見ることになるだろう。
上記内容は本書刊行時のものです。