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冬将軍が来た夏
発行:白水社
四六判
410ページ
定価
2,400円+税
- 書店発売日
- 2018年6月19日
- 登録日
- 2018年5月5日
- 最終更新日
- 2018年6月11日
書評掲載情報
2019-02-10 | 東京新聞/中日新聞 朝刊 |
2018-08-19 |
毎日新聞
朝刊 評者: 張競(明治大学教授・比較文学) |
2018-08-18 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 福嶋亮大(文芸評論家) |
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紹介
台湾の鬼才が紡ぐ、人生を癒す終活小説
大河巨篇『鬼殺し』で好評を博した、台湾の若手実力派作家、甘耀明の最新作。台中を舞台に、身寄りのない老人など社会的弱者に着目し、主な登場人物は全員女性という新境地となる長篇小説である。
主人公の「私」は、大規模な幼稚園に勤める二十代の女性保育士。ある年の夏、十数年音信不通だった祖母が、私に会いにやってきた。末期の肺がんに冒された祖母は、気がかりだった孫娘に、死ぬ前に会う責任があると思い、自らが営む小型の共同ホームの老女たち五名と老犬一匹と共に私の家に姿を現した。ちょうどその時、私は自宅で幼稚園の園長の息子にレイプされ、祖母は唯一の目撃者となる。私の心は傷つき、園長の息子を告訴し、幼稚園を退職、祖母を含めた共同ホームの老女たちと行動を共にするようになる。祖母の終活に寄り添いながらひと夏を過ごした私は自己回復していく……。
女性問題、独居老人、同性愛など、現代の台湾社会が抱える問題を捉えつつ、著者のまなざしは、社会的弱者の心を温めて〝生〟をいろどる〝記憶〟に注がれる。それが厳しい現実を生き抜く支えになるというメッセージをユーモア溢れるタッチで描いた傑作。解説・髙樹のぶ子
上記内容は本書刊行時のものです。