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鉱山のビッグバンド
発行:白水社
四六判
253ページ
定価
2,200円+税
- 書店発売日
- 2016年7月27日
- 登録日
- 2016年5月27日
- 最終更新日
- 2016年7月26日
書評掲載情報
2016-10-02 |
読売新聞
朝刊 評者: 松山巖(評論家、作家) |
2016-10-02 |
朝日新聞
朝刊 評者: 斎藤美奈子(文芸評論家) |
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紹介
廃墟から聞こえる幻の楽団の響き
梶田隆章のノーベル物理学賞受賞で湧く、岐阜県飛騨市神岡町にあるスーパーカミオカンデ。その1000メートル上には、かつて東洋一の採掘規模を誇り、同時に「イタイイタイ病」の原因企業ともなった三井金属神岡鉱山の集落が、廃墟となって静かに眠っている。
昭和30年代、鉱山が好景気に沸き返っていたころ、この地区には約800世帯、4000人が暮らしていた。社宅にはテレビ、冷蔵庫、洗濯機はもちろん、水洗トイレまで完備されており、まさに「天空の楽園」だったという。
あるときそこに、「音楽は好きだけれど、楽器もない、譜面も読めない」鉱山労働者たちが集まり、「神岡マイン・ニュー・アンサンブル」なるビッグバンドが結成された。三交代制のなか猛練習を重ね、彼らは集落の人々を楽しませるばかりでなく、企業の音楽部等がその実力を競う産業音楽祭中部大会で13回連続優秀賞受賞という大記録を打ち立て、東京でも公演を行う玄人はだしの集団となっていった。
本書は廃墟の風景から聞こえてくる幻の音楽と彼らの熱い思いを、生存者への取材等から浮かび上がらせる、「昭和」のドキュメントである。
上記内容は本書刊行時のものです。