..
【利用不可】
書店員向け情報 HELP
終わりのない日々
発行:白水社
四六判
278ページ
定価
3,400円+税
- 書店発売日
- 2023年6月2日
- 登録日
- 2023年3月31日
- 最終更新日
- 2023年5月23日
書評掲載情報
2023-07-01 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 栩木伸明(アイルランド文学者) |
MORE | |
LESS |
紹介
語り手は、十九世紀半ばの大飢饉に陥ったアイルランドで家族を失い、命からがらアメリカ大陸に渡ってきたトマス・マクナルティ。頼るもののない広大な国でトマスを孤独から救ったのは、同じ年頃の宿無しの少年ジョン・コールだった。美しい顔立ちに幼さの残る二人は、ミズーリ州の鉱山町にある酒場で、女装をして鉱夫たちのダンスの相手をする仕事を見つける。初めてドレスに身を包んだとき、トマスは生まれ変わったような不思議な解放感を覚える。やがて体つきが男っぽくなると、二人は食いっぱぐれのない軍隊に入り、先住民との戦いや南北戦争をともに戦っていく――。
西部劇を彷彿とさせる銃撃戦、先住民の少女と育む絆、はらはらする脱走劇、胸に迫る埋葬場面などが、勇敢な兵士でありながら女としてのアイデンティティーに目覚めたトマスによって、生き生きと語られる。
カズオ・イシグロは、「一言一句にいたるまでこれほど魅力的な一人称の語りには数年来出会ったことがない」と、本書に賛辞を寄せている。個性的な〈声〉の力強さと詩的な響きに満ちた、「西部小説」再興を示す傑作長篇。
上記内容は本書刊行時のものです。