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タネとヒト
生物文化多様性の視点から
- 初版年月日
- 2022年1月30日
- 書店発売日
- 2022年2月2日
- 登録日
- 2021年12月28日
- 最終更新日
- 2022年1月26日
紹介
日本における種子論議のオピニオンリーダーの一人である、龍谷大学経済学部教授・西川芳昭氏の編著書。①農家vs企業という単純な図式を超えた、種子をめぐる複雑な現実に光をあて、②日本だけでなくアジアの小農・家族農を対象に農家の生き方や言葉にならない感覚を重視し、③生物文化多様性の視点からタネとヒトとの持続的な関係を提言している。タネを播き育て次代に引き継いできた農家の現実・実感・思いから語る本書は、経済的、政治的な視点で語られがちな種子論議に一石を投じるものといえる。
【目次】
第1章 生物文化多様性の視点からタネとヒトとの関係の豊かさを研究するとは
第2章 タネを採るヒトはタネとどのような関係を築いているのか
第3章 地域品種の継承とその多様な意味――中山間集落の全農地通年調査から
第4章 農家の庭木果樹にみる民衆の生存・生活価値――無償労働にみる「いきいきと生きる」ことの意味
第5章 豊かな食は遺伝資源から――ワサビが教えてくれること
第6章 アジアの小農とタネとの関係①――ミャンマーの国民野菜CHINBAUNG(チンバオ)のタネをめぐる仕組み
第7章 アジアの小農とタネとの関係②――ネパールにおけるソバとカラシナの調査からみえてきたもの
第8章 東アジアの種子管理組織とそのメカニズムの特性とは何か――日韓台の政府系ジーンバンクと非営利組織の活動から
第9章 「支配」の観点から捉えた大手種苗会社と農業者の関係性
第10章 “人類共通の遺産”としての種子に関する国際社会の努力と利害関係者の協力に向けて
第11章 種子を共的世界に取り戻すことは可能か――コモン化(commoning)の視点から
第12章 ヒトとタネの多層的関係を基盤とした農の営みの持続を目指して
■編著者
西川芳昭 龍谷大学経済学部教授
■著者(執筆順)
宇根 豊 百姓・農と自然の研究所代表
小林邦彦 総合地球環境学研究所研究員
河合史子 総合地球環境学研究所研究員(非常勤)
広田 勲 岐阜大学応用生物科学部助教
大和田興 茨城県農業総合センター農業研究所研究員
山根京子 岐阜大学応用生物科学部准教授
長嶋麻美 東京農業大学博士課程修了(農学博士)
渡邉和男 筑波大学生命環境系教授
河瀨眞琴 東京農業大学農学部教授
Ohm Mar Saw 元農業・畜産・灌漑省(ミャンマー連邦共和国)農業研究局バイオテクノロジー・植物遺伝資源・植物保護部主席研究員
入江憲治 東京農業大学国際食料情報学部教授
冨吉満之 久留米大学経済学部准教授
Bimal Dulal NPO法人ラブグリーンジャパン・プログラムオフィサー
吉田雅之 農業・元ネパール派遣青年海外協力隊員
坂本清彦 龍谷大学社会学部准教授
岡田ちから 特許業務法人秀和特許事務所弁理士
田村典江 総合地球環境学研究所上級研究員
目次
権利論と農本論の乖離を超えて/西川芳昭
西川さんへの手紙/宇根 豊
第1章 生物文化多様性の視点からタネとヒトとの関係の豊かさを研究するとは/西川芳昭
[解説]
「生物文化多様性」の考え方と、その本書における意味(西川芳昭)
種子の持続的な保全・利用に関係する主な国際条約(小林邦彦)
参加型開発と持続可能な生計アプローチ(SLA)の視点(西川芳昭)
Ⅰ 「農」の営みからみたタネとヒトとの関係
第2章 タネを採るヒトはタネとどのような関係を築いているのか/河合史子
■コラム:タネ採りの現代的意義(河合史子)
第3章 地域品種の継承とその多様な意味――中山間集落の全農地通年調査から/広田 勲
第4章 農家の庭木果樹にみる民衆の生存・生活価値――無償労働にみる「いきいきと生きる」ことの意味/大和田 興
■コラム:「いきいきと生きる」とは――I・イリイチの3概念(大和田 興)
第5章 豊かな食は遺伝資源から――ワサビが教えてくれること/山根京子
Ⅱ 海外にみるタネとヒトとの関係
第6章 アジアの小農とタネとの関係①――ミャンマーの国民野菜CHINBAUNG(チンバオ)のタネをめぐる仕組み/長嶋麻美・西川芳昭・渡邉和男・河瀨眞琴・Ohm Mar Saw・入江憲治
第7章 アジアの小農とタネとの関係②――ネパールにおけるソバとカラシナの調査からみえてきたもの/冨吉満之・西川芳昭・Bimal Dulal
■コラム:ネパール国バグルン郡で農家による作物品種の選択から学んだこと(吉田雅之・西川芳昭・入江憲治)
第8章 東アジアの種子管理組織とそのメカニズムの特性とは何か――日韓台の政府系ジーンバンクと非営利組織の活動から/冨吉満之
第9章 「支配」の観点から捉えた大手種苗会社と農業者の関係性/坂本清彦・岡田ちから
Ⅲ タネとヒトとの関係の将来像を描く
第10章 “人類共通の遺産”としての種子に関する国際社会の努力と利害関係者の協力に向けて/小林邦彦
第11章 種子を共的世界に取り戻すことは可能か――コモン化(commoning)の視点から/田村典江
第12章 ヒトとタネの多層的関係を基盤とした農の営みの持続を目指して/西川芳昭
上記内容は本書刊行時のものです。