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米中分断の虚実
デカップリングとサプライチェーンの政治経済分析
- 書店発売日
- 2021年6月9日
- 登録日
- 2021年4月15日
- 最終更新日
- 2021年6月2日
紹介
対立する米中。世界1位と2位の経済大国同士の分断が世界に及ぼす影響は大きい。日本を含め、世界のほとんどの国は米中双方と貿易や投資で深く結びついているためです。多くの企業にとって、米中の二者択一の踏み絵を踏まされるのは悪夢ですが、両国のデカップリングの度合いに応じてサプライチェーンの見直しなどを迫られています。技術やサプライチェーンの米中デカップリングは今後の展開次第で地球的な規模でモノ、カネ、ヒトの流通を妨げ、世界の貿易体制やイノベーションの行方を左右する可能性があります。
半面、米中のデカップリングは言葉が独り歩きしているところもあります。米ソの冷戦時代と違って、いまの米中は経済面で相互依存が進んでおり、切り離そうにも簡単に断ち切れない関係が二重、三重にできあがっているからです。新型コロナ禍で中国の「マスク外交」への批判が高まり、医療品や戦略物資の中国依存への警鐘が鳴らされた2020年ですら、中国の対米輸出は前年比7.9%の増加(中国側統計)となったのです。
本書は『技術覇権』(2020年刊)に続くタイムリーな米中関係分析です。米中のデカップリングの実像と背景、今後の展望に関する分析を行い、日本の対応を考えるうえでの材料を提供します。
目次
序章 米中デカップリング論への視点(宮本雄二)
第1章 米中技術覇権競争と日本の経済安全保障(鈴木一人)
第2章 米中ネットワーク競争と海底ケーブル(土屋大洋)
第3章 コロナ禍とグローバル保健ガバナンス(詫摩佳代)
第4章 米中気候協力の行方(関山健)
第5章 米国の中国脅威論と人的・文化的分断(小竹洋之)
第6章 米中分断下での日本のバリューチェーン(戸堂康之)
第7章 サプライチェーン見直しと中国の新構想(伊藤信悟)
第8章 台湾にみる米中ハイテク分断の最前線(山田周平)
第9章 貿易摩擦下の米中金融交渉(関根栄一)
第10章 米中デカップリングとスタートアップ投資(上原正詩)
終章 日本に求められる重層的アプローチ(伊集院敦)
上記内容は本書刊行時のものです。