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錬金術の終わり
貨幣、銀行、世界経済の未来
- 書店発売日
- 2017年5月29日
- 登録日
- 2017年5月12日
- 最終更新日
- 2017年5月25日
書評掲載情報
2017-12-30 | 日本経済新聞 朝刊 |
2017-12-30 | 日本経済新聞 朝刊 |
2017-08-05 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 藤田康範(慶應義塾大学教授) |
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紹介
★預金者から調達した資金が長期投資のために使われ、新たな価値を生み出すという、歴史的に続いてきた現代金融の仕組みはまさに「錬金術」だ。ところが、錬金術を担うこの「賢者の石」である貨幣と銀行は、ハイパーインフレから金融破綻まで、経済に大惨事をもたらす「アキレス腱」になってしまった。なぜ、そうなってしまったのか。錬金術を終わらせて、健全な金融と経済を築くにはどうすればよいのか。
★著者は、世界金融危機を収拾した立役者のひとりであり、「錬金術師」とも評された前イングランド銀行総裁。その豊かな学識、歴史への洞察、中央銀行総裁としての経験をもとに、現代の貨幣・銀行システムが生み出す危険性に対して痛烈な警告を発する。そして、大恐慌の再来を防ぐための新たなアイデアにもとづく金融システム、経済政策への移行を提示する。主流派経済学とは異なる観点からの大胆な問題提起のため、刊行されるや、メディア、学界などで議論を呼び起こしている。
★著者は、安定した将来見通しが得られない不確実性と経済の不均衡が常に存在する現在、従来の金融の仕組みでは、必ず危機が再来すると警鐘を鳴らす。そこで、中央銀行の果たすべき新たな役割、危機を引き起こさない銀行システムを提案。世界経済の不均衡を原因とする、迫り来る危機に対処するのは、短期的な処方箋である金融の量的緩和政策は効果がなく、新たな思想にもとづく経済学と政策の仕組みが必要だと力説する。
★『ライアーズ・ポーカー』『マネー・ボール』著者、マイケル・ルイスが「この本が十分注目されれば、世界を救うかもしれない」と大絶賛。「経済学の本で、これほど知的興奮を覚える本に出会うことはめったにない――目がくらむほど、本当にすごい」(ジョン・プレンダー、フィナンシャルタイムズ紙コラムニスト)など、高く評価されている。
目次
はじめに
第1章 良いこと、悪いこと、醜いこと
経済成長のそもそも/経済が経験したこと/危機の物語/三つの問題/世界経済の不均衡
第2章 われわれはマネーを信じる
経済が良いときにも悪い時も受け取られる/マネーの価値の安定性/ゴールド対ペーパー/経済学者とマネー/信頼の重要性/マネーと根底的な不確実性/
第3章 失われた純真さ:錬金術と銀行
バジョット以来の銀行の変化/銀行とは何か/システムと連結性におけるリスク/銀行の規模
第4章 根本的な不確実性: 金融市場の目的
確実性という幻想/不確実性のもとで合理的な行動に対応する戦略/金融市場とデリバティブ/離れ小島の市場における金融市場の寓話/流動性という幻想
第5章 英雄と悪漢:中央銀行の役割
価格の安定性:対応戦略としてのインフレターゲティング/古くからの問題と新たな手段/期待とコミュニケーション/新たな問題と古い手段/悪い時の金融政策:緊急の金融支援/中央銀行の未来
第6章 結婚と離婚:マネーと国家
ヨーロッパ通貨統合/湾岸戦争のときのイラクでの経験/スコットランドの独立
第7章 純真さを取り戻す:マネーと銀行を改革する
公的部門の改革/さらに根本的な改革/新しいアプローチ:いつでも使える質屋/マネーの未来
第8章 癒しと傲慢:世界経済のいま
ケインジアンと新古典派のマクロ経済学/筋道の異なった物語:曖昧な予算制約、ナレイティブと不均衡/2008年危機の原因と帰結/危機前の期間についての事実に反する歴史
第9章 ペシミズムを超えて:囚人のジレンマと次の危機
到来する次の危機:債務の免除――必要だが不十分/到来する次の危機:低い実質金利の帰結/囚人のジレンマからの脱出:より広範な国際的な改革/ペシミズムの超克
上記内容は本書刊行時のものです。