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出版者情報
教師の自腹
- 書店発売日
- 2024年5月28日
- 登録日
- 2024年3月29日
- 最終更新日
- 2024年7月27日
紹介
語られてこなかった自己負担――教職員、1,034人の声。
本書の概要
教職員自らによる経済的負担の存在は、関係者間では周知の事実であった。「自腹」には様々な経緯や背景が存在する。本書では全国の公立小・中学校に勤める1,034人の教職員に対し大規模調査を実施。集まった声をもとに、私費に頼らない公立学校の実現を模索する。
本書からわかること
授業の教材費、部活動の審判資格取得費用、家庭訪問の交通費、徴収金未納の立替……うやむやになってきた教職員の自己負担
採点用の文房具、授業のための教材、部活動の審判資格取得費用、大会への交通費、家庭訪問時のガソリン代、各家庭の徴収金未納の立て替え、物品破損の弁償――。教職員が仕事をする上で、必要なものを私費で負担する「自腹」。それは、人や学校により差はあるものの、金額の大小や費目・場面を問わず、これまでも確実に存在し、関係者間では周知の事実でした。
「自腹発生」の背景には、法制度上のマクロな理由に加え、「教育は生もの」という、常に柔軟さが必要とされる学校という場ならではの性質、もしくは各教職員側の意識や各学校の風土などのミクロな理由も複雑に絡み合っています。
本書は、その現状をありのままに映し出し、共有し、教職員が働きやすい公立学校を展望することを目的としています。
積極的自腹、消極的自腹、強迫的自腹。大規模調査でみえてきた枠組みと特徴
「未踏の地」であった自腹という現象に踏み込むため、「教職員の自己負担額に関する調査(2022年度間)」を実施。全国の公立小・中学校に勤務する、現在の職についてから2年目以降の教職員計1,034人に対し、下記のカテゴリについて2022年度に自己負担した名目や金額、その経緯、また、これまでの教職員人生における支出総額などを調査しました。
【調査対象】
校長、教頭、副校長、主幹教諭、指導教諭
教諭(正規雇用)、教諭(非正規雇用)
事務職員
【カテゴリ】
授業
部活動
旅費
弁償・代償
その他
その調査結果をもとに、10人いれば10人それぞれ、10回あれば10回それぞれの経緯や背景が存在する自腹を、「積極的」「消極的」「強迫的」という三つの分析枠組みで整理しながら、発生率・頻度の関係に加え、自腹への意識などについて分析します。また、属性別の傾向や学校の特徴との相関などについて、考察を行います。
こんなみなさまにおすすめ
・自腹の存在に違和感がある小・中学校教職員の方
・自腹を抑制していくための学校財務マネジメントの具体的な実践方法を知りたい学校事務職員の方
・自腹の抑制や教職員のよりよい働き方の実現のために、学校経営を見直していきたい学校管理職の方
・公立小・中学校教職員の自腹の状況について知りたいすべての方
目次
はじめに
序章 自腹という未踏の地
第1節 語られてこなかった、もう一つの私費
第2節 自腹を生み出す背景
第3節 自腹を語る意義
第4節 本書の構成
第1部 自腹の事例
第1章 小学校教員・ミカ先生の自腹フルな一日
自腹の分析枠組み――三つの自腹
第2章 自腹をする理由
第1節 授業に関わる自腹
第2節 部活動に関わる自腹
第3節 旅費に関わる自腹
第4節 弁償・代償のための自腹
第5節 その他の自腹
第3章 自腹に対する声
第1節 自腹の自覚性
第2節 自腹の受容の論理
第2節 自腹への抵抗の論理
第3節 教職員の自腹への対案
コラム 養護教諭の自腹
第2部 自腹のデータ
第4章 調査の概要
第1節 調査の概要
第2節 データをみる上での注意点
第5章 調査から見えた実態
第1節 多くの教職員が経験する自腹
第2節 自腹の頻度と金額
第3節 自腹の理由
第4節 自腹に対する意識
第6章 調査を踏まえた考察
第1節 授業に関わる自腹をしやすい小学校教員
第2節 部活動に関わる自腹を切る中学校教員の特徴
第3節 管理職層で多い自腹
第4節 非正規教員の自腹の実態
第5節 高額自腹の中身
コラム 校長の自腹
第3部 自腹の解決策
第7章 学校財務マネジメントの確立と意識改革
第1節 学校財務マネジメントとは
第2節 マネジメント効果による自腹の抑制
第3節 ヒト、モノ、カネへの意識改革
第8章 学校財務制度の改善と教育行政との連携
第1節 自腹を誘引させる学校財務制度
第2節 自腹を解消させるために教育行政と連携できること(事例・改善)
コラム 事務職員の自腹
終章 自腹からの解放
第1節 自腹問題をどう考えるか
第2節 自腹問題解放に向けた自腹類型の整理
第3節 自腹問題からの解放
小学校教員・ミカ先生のノー自腹な一日
おわりに
巻末資料 教職員の自己負担額に関する調査(2022年度間)
執筆分担一覧・著者紹介
上記内容は本書刊行時のものです。