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出版者情報
魚類行動生態学入門
- 初版年月日
- 2013年12月1日
- 書店発売日
- 2013年11月29日
- 登録日
- 2013年11月7日
- 最終更新日
- 2014年6月11日
紹介
魚類の一夫一婦と一夫多妻、雌雄異体と雌雄同体等、魚類の様々な行動生態を通して「行動生態学」の最前線を紹介し、その面白さを伝える。
目次
はじめに
第1 部 雄間競争と配偶者選択
第1 章 シクリッドの受精をめぐる雄間競争/太田 和孝
1.はじめに
(1)タンガニイカ・シクリット
(2)配偶の機会をめぐる競争と代替繁殖戦術
2.ウォンジー個体群のビッタータス
(1)基礎生態
(2)巣場所
(3)繁殖行動と多様な繁殖戦術
(4)繁殖戦術の切り替え
3.なわばり雄の対抗戦略
(1)戦術間の対立
(2)巣場所選択
(3)戦術の切り替え
4.なわばり雄の対抗戦略2
(1)配偶後の性淘汰:配偶の機会をめぐる競争の延長戦
(2)精子への投資
5.ムトンデ個体群のビッタータス
(1)パイラシー戦術の脆弱性
(2)パイラシー戦術から解放されたなわばり雄
6.まとめと展望
第2 章 グッピーの配偶者選択に応じた雌の産子数と性比調節/佐藤 綾
1.配偶前後の性淘汰
(1)雌の配偶者選択
(2)雌による隠れた選択
(3)配偶前後の性淘汰
2.グッピーの生態
(1)由来
(2)繁殖様式
(3)配偶行動
3.研究のテーマ
4.グッピーにおける雌の配偶者選択
5.雌の産子調節
(1)代替繁殖行動と雌の出産
(2)雄の体色と雌の産子数
6.性比調節
(1)魅力仮説
(2)雄の体色と子の性比
(3)雌による子の性比調節
(4)野生個体での検証
(5)まとめ
7.さいごに
第3 章 ロウソクギンポの雌のコピー戦術と雄による強制産卵/松本 有記雄
配偶者選択とは
(1)配偶者選択とその選択によって得られる利益
(2)ロウソクギンポの雌の配偶者選択
2.他者依存性配偶者選択
(1)雄が卵保護する魚における雌の他者依存性配偶者選択
(2)卵の発生段階がロウソクギンポの雌の配偶者選択に与える影響
(3)雌との配偶が雄の求愛活性に与える影響
3.他個体の配偶行動が配偶者選択に与える影響
(1)群れ行動と配偶者選択
(2)コピー戦術
(3)ロウソクギンポにおける雌のコピー戦術の検証
(4)コピー雌をコピーする雌の存在
(5)好みの伝搬
4.コピー戦術の適応的意義とは?
(1)質が高い相手を確実に選択
(2)配偶者探索時に生じるコストの削減
(3)卵の生残率の上昇
(4)雄による強制産卵の回避
5.他者依存性配偶者選択が性淘汰に与える影響
(1)他者依存配偶者選択が雄間の配偶成功の差に与える影響
(2)好みの伝搬が性的二型の進化に与える影響
(3)ロウソクギンポの雌の他者依存性配偶者選択と雄の性的形質の進化
(4)他者依存性配偶者選択と雄の対抗戦術の進化
6.おわりに
第2 部 配偶システムと性役割
第4 章 一夫多妻社会における逆方向性転換─サラサゴンベを中心に/門田 立
1.はじめに
2.双方向性転換に関するこれまでの研究
(1)双方向性転換の発見
(2)一夫一妻魚の双方向性転換
(3)一夫多妻魚の逆方向性転換
(4)一夫多妻魚における逆方向性転換の3 つの謎
3.サラサゴンベの逆方向性転換
(1)サラサゴンベの配偶システム
(2)サラサゴンベの順方向性転換
(3)サラサゴンベの逆方向性転換のプロセスと適応的意義
(4)独身雄のその他の雌獲得戦術
(5)逆方向性転換とハレム内の雌数
4.ホンソメワケベラとアカハラヤッコにおける逆方向性転換
5.今後の課題
第5 章 ヨウジウオ科魚類の多様な配偶システムとその進化生態的要因/曽我部 篤
1.様々な配偶システム:一夫一妻が成り立つとき
(1)配偶システムのタイプ分け
(2)一夫一妻の定義
(3)一夫一妻の成立条件
2.ヨウジウオ科魚類:配偶システム研究のモデル生物
(1)ヨウジウオ科魚類の多様な配偶システム
(2)イシヨウジの生涯にわたる一夫一妻
3.希薄なようで親密なイシヨウジのペア関係
(1)毎朝の挨拶行動
(2)挨拶行動の機能
(3)希薄なペア関係=安定した一夫一妻
4.イシヨウジが一夫一妻になる究極要因
(1)雄にとっての利益
(2)雌にとっての利益
(3)配偶システムに対する系統的制約
5.おわりに
第6 章 協同繁殖シクリッドの配偶と子育てをめぐる同性・異性間の駆け引き/安房田 智司
1.協同繁殖とは?
(1)鳥類や哺乳類の協同繁殖
(2)魚類の協同繁殖
2.ジュリドクロミス属の社会構造と協同繁殖
3.オルナータスは協同繁殖種か?
4.DNA を用いた親子判定
(1)親子判定法とは?
(2)オルナータスの親子判定
5.雄間の闘争と精子競争
(1)闘争と精子競争
(2)配偶システム,社会的地位と精巣投資量
(3)精子量と精子特性の調節
(4)精巣投資に伴うコスト
6.協同繁殖における雌による父性操作の重要性
(1)繁殖の偏りモデル
(2)雌による父性の操作仮説
(3)雌による父性の操作仮説の検証実験
7.子の保護における雌雄の対立
(1)保護行動における雌雄の役割
(2)野外におけるオルナータスのペアの保護役割分担と保護努力量
8.おわりに
第3 部 他分野の取り込みと展望
第7 章 シクリッドの捕食被食関係における左右性の役割/竹内 勇一
1.はじめに:動物行動の成り立ちと学問分野
2.魚類の捕食被食関係
3.魚類の左右性
(1)鱗を食べる魚
(2)他の魚の左右性
4.エビ食魚の左右性
(1)捕食行動における利き
(2)形態の非対称性と行動の左右性との対応
5.甲殻類の左右性
(1)エビの形態的左右非対称性
(2)エビの逃避行動における利き
(3)腹部の左右性タイプの遺伝性
6.エビ食魚とエビの捕食被食関係に影響する左右性
7.行動の左右性の至近要因
(1)脳の左右差
(2)鱗食魚の捕食行動の高速度撮影
(3)捕食行動の運動上の左右差
(4)鱗食と逃避の屈曲運動の比較
(5)屈曲運動を生み出す神経基盤
8.おわりに:今後の行動生態学
第8 章 適応進化を追求するための生理学/竹垣 毅
1.行動生態学者と生理学者
2.行動生態学者にとっての生理メカニズム研究
3.適応進化を理解するための生理学の1 例
4.統合的アプローチの潜在的有効性
5.さいごに
第9 章 行動生態ゲノミクス─適応進化の遺伝基盤を探る/小北 智之
1.はじめに
2.遺伝基盤を探るための基本的アプローチ
(1)候補遺伝子解析
(2)比較トランスクリプトーム解析
(3)QTL 解析
3.具体的な研究を考える
4.おわりに
第10 章 行動生態学の歴史と使命/桑村 哲生
1.動物行動学の発展
2.行動生態学の誕生
3.日本における普及
4.行動生態学の現状
5.行動生態学の使命
索引
上記内容は本書刊行時のものです。