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中里介山『大菩薩峠』とその時代 紅野 謙介(著) - 筑摩書房
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【利用可否不明】

中里介山『大菩薩峠』とその時代 (ナカザトカイザンダイボサツトウゲトソノジダイ) 生成・受容・変換のクロニクル

文芸
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発行:筑摩書房
A5判
512ページ
定価 6,000 円+税   6,600 円(税込)
ISBN
978-4-480-82385-4   COPY
ISBN 13
9784480823854   COPY
ISBN 10h
4-480-82385-9   COPY
ISBN 10
4480823859   COPY
出版者記号
480   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2026年7月13日
書店発売日
登録日
2026年5月12日
最終更新日
2026年8月4日
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書評掲載情報

2026-08-15 毎日新聞  朝刊
評者: 三浦雅士(評論家)
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紹介

学術書なのに面白い!――スタジオジブリ 鈴木敏夫

各界から多大な支持を得ながらも文学史的な位置を与えられなかった希代の長篇小説を、作家・作品論的視点に同時代史的視点を加味して多面的・俯瞰的に考察する。

「『大菩薩峠』との出会いは、小学生の時に観た内田吐夢監督の映画だった。机龍之助が見せる「音無しの構え」に、子どものぼくは息を呑んだ。以来、この未完の大長編を二度読んだ。そして死ぬ前に、もう一度、読んでみようと思っている。なぜ、この終わりなき物語は、人をこれほど惹きつけるのか。なぜ、目的もなく漂泊をつづける龍之助に、日本人は自分を重ねてしまうのか。紅野謙介さんは三十年をかけて、その謎に挑んだ。本書を読むと、『大菩薩峠』とは単なる剣豪小説ではなく、日本人の精神の深いところに触れてしまった作品なのだと、あらためて気づかされる。(鈴木敏夫)」

目次

はじめに

序章 生成・受容・変換のクロニクル
◇初出の時系列 ◇連続と切れ目 ◇私家版『大菩薩峠』
◇商業出版としての成功 ◇演劇・映画における変換のゆくえ
◇戦後の受容 ◇反復する受容と変換

第一章 言葉が言葉を誘発する
1 読書の作法と個人雑誌
◇介山の読書作法 ◇独学と編集力 ◇『独身』と『親様』
◇個人雑誌『手紙の代り』 ◇言葉の運動へ
2 介山文庫と「一介の愚人」
◇中里介山文庫 ◇和漢書の傾向 ◇書き込みの痕跡
◇「一介の愚人」という署名 ◇長谷川芳之助を追悼する
◇岡田虎二郎の「静坐」
3 投書・懸賞・新聞
◇投書家時代 ◇『平民新聞』の懸賞小説
◇社会主義と俚謡への関心 ◇平民社からの離脱
◇ 説話から創作へ ◇読むことと編集すること
◇読書人・介山 ◇旅する言葉
4 ジャンルの掟と運動する言葉
◇新聞小説への挑戦 ◇講談落語からの改革 ◇ 職人作家・渡辺霞亭
◇場面、会話、冗長性 ◇『氷の花』とキャラクター
◇『高野の義人』の劫火 ◇ジャンルとの葛藤

第二章 語りと文体
1 改変されるテクスト――初出から初版へ
◇全体と部分 ◇改変のグラフ ◇小説における語り
◇書き出しはどう違うか ◇時間のずれ ◇説話的な文体へ
◇机龍之助の登場シーン ◇物語における改変
2 「カルマ曼陀羅」の話法
◇作者による自注 ◇群像劇あるいはアンサンブル
◇「甲源一刀流の巻」から「龍神の巻」まで
◇「間の山の巻」と拡散する主体 ◇交差と切替え
◇物語の多元宇宙 ◇「カルマ曼荼羅」の話法
3 紙上のユートピア
◇分有される「悪」 ◇『夢酔独言』を読む ◇ 女王の理想郷
◇無名島の幻想と農本主義 ◇議論につぐ議論
◇語り手もまた脱線する ◇紙上のユートピア
4 流れ出す音、越境する声
◇宮城道雄と内田百閒 ◇入り口としての「間の山節」 
◇音と声の多様性 ◇流れ出す音、越境する声
◇起源への探究と終わりなき旅 ◇氾濫する歌謡/音曲

第三章 「文学場」の変容
1 岡千代彦「自由活版所」と印刷のネットワーク
◇文学と印刷技術 ◇『大菩薩峠』を印刷する 
◇ 労働運動史における岡千代彦 ◇「自由活版所」という旗標
◇『月に吠える』と前田夕暮
2 田川大吉郎と新聞ジャーナリズムの変容
◇「新聞人」と「知識人」 ◇田川大吉郎と『都新聞』
◇「新聞人」の文体と実践的知性 ◇ジャーナリズムの変容と筆禍
◇独立メディアをつくる ◇独立王国と文学的「知」の可能性
3 新聞小説と挿絵のインターフェイス――石井鶴三との協働と対立
◇挿絵と近代小説 ◇中里介山と石井鶴三の論争 ◇新聞挿絵の大正期
◇グラフィズムの時代 ◇反古/美術としての挿絵
4 演劇化と「文学場」の変容――澤田正二郎と喜多村緑郎
◇『大菩薩峠』の初演 ◇演劇界の再編と「新国劇」の誕生
◇演劇半歩主義 ◇介山の憤慨 ◇演劇人たちの困惑
◇喜多村緑郎と高田実 ◇ふたたび「新国劇」へ

第四章 変換されるテクスト
1 「小説の筋」論争と新宗教運動――物語が世界をおおう
◇芥川龍之介の問い ◇「小説の筋」論争
◇田中智学と『大菩薩峠』 ◇国柱会への接近と距離
◇大本教と扶桑教ひとのみち教団 ◇物語が世界をおおう
2 映画化をめぐる介入と軋轢のドラマ――時代劇映画の転機
◇テクストをめぐる応答 ◇大菩薩峠』とその映画化
◇伊藤大輔の挫折 ◇稲垣浩の挑戦 ◇映画を知らない原作者
◇時代劇映画の転機 ◇映画をめぐる経済
3 内田吐夢の中国体験と下座音楽
◇三味線が聞こえる ◇時代劇の禁止と解除
◇『血槍富士』の独自性 ◇縦の構図と時代劇への批評
◇映画『大菩薩峠』前史 ◇空間の広がりと密室性
◇見出された「間の山節」
4 戦後における受容と変換の文脈
◇介山、復活? ◇彩光社版『大菩薩峠』と梁取三義
◇寺島柾史と北のユートピア ◇「新国劇」と映画化をめぐるトラブル
◇笹本寅と角川文庫 ◇「国民文学」という呼称
◇戦後的文脈と再解釈 ◇転移する言葉
本書の初出一覧
あとがき

資料編――大菩薩峠』関連資料集
1 主要登場人物の紹介
2 『大菩薩峠』各巻あらすじ
3 予告・緒言・自序など
4 中里介山年譜

索引

著者プロフィール

紅野 謙介  (コウノ ケンスケ)  (

紅野 謙介(こうの・けんすけ):1956年、東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。麻布高等学校教諭を経て日本大学文理学部教授、学部長を歴任。専攻は日本近代文学。メディア環境や多様な文化の広がりの中で文学を捉える試みを続けている。著書に『書物の近代』(ちくま学芸文庫)、『投機としての文学』(新曜社)、『検閲と文学』(河出ブックス)、『物語岩波書店百年史 1「教養」の誕生』(岩波書店)などがある。ちくま文庫版『大菩薩峠』全20巻全巻の注釈を一人で担当した。現在、日本大学名誉教授。

上記内容は本書刊行時のものです。