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原発事故被災自治体の再生と苦悩――富岡町10年の記録 高木竜輔(著/文) - 第一法規
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原発事故被災自治体の再生と苦悩――富岡町10年の記録 (ゲンパツジコヒサイジチタイノサイセイトクノウトミオカマチジュウネンノキロク)

社会一般
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発行:第一法規
A5判
412ページ
定価 3,500円+税
ISBN
978-4-474-07612-9   COPY
ISBN 13
9784474076129   COPY
ISBN 10h
4-474-07612-5   COPY
ISBN 10
4474076125   COPY
出版者記号
474   COPY
Cコード
C2032  
2:実用 0:単行本 32:法律
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2021年10月18日
最終更新日
2021年12月15日
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紹介

原発事故被災地ではどのような復興政策がなされたのか。その復興政策の帰結として、住民ならびに被災地はどのような状況に置かれているのか――東日本大震災に伴う原子力発電所事故により全町避難を余儀なくされた福島県富岡町の10年にわたる復興の過程を、長期現地調査をもとに描き出す。

○除染事業や被災者支援、復興政策や帰還政策など、国による復興政策が同時多発的に動くなか、富岡町は自治体としてどのように住民に向き合い、復興施策を展開してきたのか。原発事故被災者の避難状況と避難元自治体の復興政策はどう関連しているのか。長期にわたる現地調査をもとに、原発事故被災からの自治体の再生とその苦悩を明らかにする。
○第一部では、被災者への支援策、除染事業、国の復興政策の下で、自治体としての富岡町でどのような復興施策がなされてきたのかを論じる。第二部では、富岡町の復興施策が住民にどのような影響を与えたのか、避難生活、福祉サービス、再生可能エネルギー、当事者団体の活動などに焦点を当てながら、復興施策の影響を確認する。
○従来、「現地(原地)主義」で進められてきた日本の災害復興制度の歪みを明らかにするとともに、被災者を起点にボトムアップ的に復興を作り上げていくことの必要性、復興パラダイムの再構築を訴える。
○自治体の災害対策担当者、必読の書籍。

目次

地図

序章 原発事故被災地の苦悩(高木竜輔・佐藤彰彦・金井利之)

はじめに

第1節 「復興」オリンピックと被災地復興
第2節 「没入シナリオ」のその後
第3節 本書の目的
 1 本書の目的
 2 なぜ富岡町か
第4節 各章の構成

第1章 原発被災自治体・富岡町10年の軌跡(山本薫子)

はじめに

第1節 震災と原発事故の概要
 1 東日本大震災の被災概要
 2 政府対応の経緯
 3 原発事故の概要
第2節 避難指示と解除
 1 事故発生からの概要:緊急避難から避難生活の長期化へ
 2 警戒区域の指定
 3 避難生活の長期化
 4 賠償問題と生活再建の困難
 5 警戒区域解除と区域再編
 6 避難指示解除と特定復興再生拠点
第3節
 1 大震災・原発事故発生前の富岡町
 2 第1期:事故発生から区域再編まで(2011年3月~2013年3月)
 3 第2期:区域再編から避難指示解除まで(2013年3月~2017年3月)
 4 第3期:避難指示解除以降

おわりに

第一部 国の政策の中での町の復興施策

第2章 避難者/被災者への支援策(高木竜輔)

はじめに

第1節 問題の所在
第2節 提供されたもの
 1 一時提供住宅
 2 避難先での行政サービス
 3 福島県家賃等支援事業
 4 復興公営住宅
 5 コミュニティ形成支援事業
 6 被災家屋の解体
第3節 免除されたもの
 1 各種税金の免除ならびに軽減措置
 2 国民健康保険料・介護保険料の免除
 3 高速道路の無料化
第4節 補償されたもの
 1 精神的賠償
 2 財物賠償
 3 東京電力による家賃賠償制度
 4 就労不能賠償・営業損害賠償

おわりに

第3章 除染と住民──「除染」幻想に振り回された10年(礒野弥生)

はじめに

第1節 除染の目標・目的
 1 ICRP勧告と除染の目標
 2 帰還のための除染
第2節 国の除染政策の展開と富岡町における除染
 1 国直轄除染と除染ロードマップの富岡町への適用
 2 国の除染=帰還政策と町の対応
 3 除染の実施
第3節 除染に関わる廃棄物の処理
 1 家屋の解体
 2 最終処分場と焼却施設
第4節 富岡町による検証
 1 除染検証委員会
 2 検証委員会と情報公開
第5節 除染をめぐる国・自治体の住民との関わり
 1 国と住民
 2 町と住民
 3 国・町と議会
第6節 除染と復興
 1 人々は戻ってきたか
 2 農業は順調に再開されているか
 3 除染は復興に寄与したか

おわりに

第4章 イノベーション・コースト構想の展開過程(横山智樹)

はじめに

第1節 本章の目的
第2節 原発事故後の復興政策における「イノベ」の位置付け
 1 「イノベ」理念の形成:研究/産業の2つの構想
 2 事業内容の具体化
 3 推進体制の構築
第3節 浜通り/富岡町における「イノベ」の展開
 1 浜通り地方自治体における事業の展開:2015年から2019年までの経緯
 2 「イノベ」の展開が富岡町「第二次復興計画」に与えた影響
 3 富岡町における「イノベ」関連事業の展開
第4節

おわりに

第5章 「復興」に込められた意図(佐藤彰彦)

はじめに
第1節 被災地・被災者が抱えた問題
第2節 第二次復興計画の概要──前提条件など
 1 解体した町を再建する唯一の手段としての〈対話〉
 2 計画着手の背景に潜む構造的問題とその解消
 3 第二次復興計画策定の前提条件
 4 多様な立場を超えた議論と合意形成を目指して
 5 検討委員会の開催概要
 6 基本理念としての「第三の道」
第3節 検討委員会での議論と復興に込められた意図
 1 部会編成とその根拠など
 2 検討委員会が目指した復興とそこに込められた意図
第4節 事故後10年を経て存在し続ける故郷との関わり

おわりに

第6章 復興計画と町政構造の「復興」(金井利之)

はじめに

第1節 前史
 1 第三次長期総合計画
 2 未完の第四次長期総合計画
第2節 第1期の復興計画
 1 災害復興ビジョン
 2 災害復興計画(第一次)
 3 復興まちづくり計画
第3節 第二期の復興計画
 1 災害復興計画(第二次)資料編と検討委員会
 2 災害復興計画(第二次)と政策化会議
第4節 第三期の復興計画
 1 「まち・ひと・しごと創生」の総合戦略
 2 帰町検討委員会
 3 避難指示解除・帰町

おわりに
1 復興の軌道
2 町政構造の再生産と「復興」

第二部 町の復興施策と住民生活の再編

第7章 長期化する避難生活と生活再建(高木竜輔)

はじめに

第1節 避難生活と生活再建
 1 原発事故後の富岡町民
 2 帰還意向と住宅再建
 3 データと分析方針
第2節 富岡町民の避難生活の変化 
 1 避難先の変化
 2 帰還意向の変化
 3 住宅再建の変化
第3節 長期化する避難生活の中の富岡町民
 1 2014年における対象者の基本的特徴
 2 属性と避難先との関係
第4節 帰還意向の分析
第5節 住宅再建の分析
第6節 どのような人が避難先で住宅を再建したのか

おわりに

第8章 避難指示解除と避難生活の再編(高木竜輔)

はじめに

第1節 避難指示解除と生活再建
 1 本章における問い
 2 富岡町における復興施策と避難指示解除
 3 データと分析方針
 4 帰還意向と住宅再建の変化
第2節 避難指示解除後の帰還意向の分析
第3節 避難指示解除後の住宅再建の分析
第4節 帰町者の分析

おわりに

第9章 長期避難の下での2つの地域包括ケアシステムの模索(沼尾波子)

はじめに

第1節 被災地域の介護・地域包括ケアシステム構築
 1 公的介護保険制度と自治体
 2 被災地における暮らしの再生とケア
 3 被災地域における介護保険と地域包括ケアシステムの運営体制
第2節 東日本大震災後の富岡町の復興計画と福祉
 1 富岡町民の避難状況と生活支援体制
 2 社会福祉協議会の役割
 3 富岡町の復興計画と社会的紐帯の再構築
第3節 富岡町の高齢者を取り巻く状況と介護保険制度
 1 富岡町の人口とその居住地
 2 介護保険事業計画に見る富岡町の介護サービス需要の推移
 3 富岡町の介護保険事業者ならびにサービス供給体制の状況
 4 介護保険料の動向
第4節 介護保険制度の運営と地域包括ケアシステムの再編
 1 介護のニーズ把握とサービス提供体制
 2 住民の状態像把握と「トリアージ」方式の導入
第5節 2つの地域包括ケアシステムの模索
 1 富岡町内の医療・介護・福祉の連携と拠点整備
 2 地域包括ケアシステムと地域ネットワークの将来──「第3の道」の可能性

おわりに

第10章 “復興”メガソーラー事業成立の構造と今後への課題(伊藤香苗)

はじめに

第1節 問題の所在
第2節 原発事故被災地への再エネ導入
 1 国の再生可能エネルギー推進政策──主エネルギーの置換をめざして
 2 福島県の政策と沿岸被災地への対応
第3節 富岡町の関心と対応
 1 富岡町における関心と初動
 2 復興政策における「第三の道」という選択肢
 3 富岡町の地域内で企画されたメガソーラー事業
第4節 地権者たちの状況と受容
 1 事業対象地の概要と地権者農家らの従前の価値観
 2 交渉
 3 土地を守る使命感と農業復興の現実
 4 高津戸・清水前ソーラー事業例──反対・迷いと受容への流れ
 5 成立の構造
第5節 事業の結果と今後の復興への影響
 1 事業の結果──現況に見る事業の帰結と是非の二側面
 2 今後の復興への影響と課題

おわりに

第11章 被災当事者によるコミュニティづくり──その軌跡を振り返る(市村高志・高木竜輔・佐藤彰彦)

はじめに

第1節 TCFの発足から法人化まで
 1 被災・避難経験~TCFの発足──市村の経験から
第2節 TCFのこれまでの主な取り組み
 1 TCFの基本的な活動方法と資金源
 2 タウンミーティング事業
 3 むさしの福島ともだちプロジェクト
 4 おせっぺ とみおか
 5 その他の取り組み
第3節 TM事業ととみおか未来会議
 1 TM事業で成しえたこと/成しえなかったこと
 2 「とみおか未来会議」という試み
 3 TCFの法人化と県外避難者支援事業
第4節 これまでの活動をふり返って
 1 市民団体とは何か
 2 依存構造と再生産
 3 TCF内で生じた認識のズレ
 4 TCFの再編
第5節 TCFの存在意義は何だったのか
 1 中間集団としてのTCF
 2 オルタナティブな復興のあり方づくり
 3 空間なきコミュニティの構築

おわりに

終章 原子力災害からの復興とは何だったのか(高木竜輔)

はじめに

第1節 原発被災自治体における復興政策とその課題
 1  原地主義としての帰還政策
 2  帰還政策と帰還環境整備事業
 3  原発被災自治体が関与できない復興政策
 4  「第三の道」と長期避難者生活拠点形成事業
第2節 復興政策と被災者の生活実態
 1  復興政策に追い詰められる被災者
 2  コミュニティの喪失
 3  「第三の道」の陥穽
第3節 原発事故における復興パラダイムの転換へ
 1  復興パラダイムの転換
 2  原発事故からの復興と中間集団の役割
第4節 残された課題
 1  自治体財政の持続可能性
 2  廃炉事業のゆくえ

あとがき

年表
参考文献一覧
索引
執筆者一覧

上記内容は本書刊行時のものです。