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北海道200年構想 久保 信彦(著/文) - 柏艪舎
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北海道200年構想 (ホッカイドウニヒャクネンコウソウ)  〈2068年〉までに北海道の価値を倍加させるための方策 (ニセンロクジュウハチネンマデニホッカイドウノカチヲバイカサセルタメノホウサク)

社会一般
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発行:柏艪舎
発売:星雲社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ20mm
重さ 400g
340ページ
並製
定価 1,700円+税
ISBN
978-4-434-27818-1   COPY
ISBN 13
9784434278181   COPY
ISBN 10h
4-434-27818-5   COPY
ISBN 10
4434278185   COPY
出版者記号
434   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年8月27日
書店発売日
登録日
2020年6月18日
最終更新日
2020年9月4日
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紹介

本書は、2068年の北海道開道200年に向けて、北海道振興のために何をすべきかを多角的に論じた書籍となります。農業、林業、酪農、水産業、食品業、観光業、エネルギー関連、現状ではそれぞれに足りない部分があり、どうすればより良くなるのか、海外の事例なども絡めて、今後の方策を提言いたします。

目次

「はじめに」 北の大地 自立・再生の答を求めて
第一章 歴史に学ぶ(「解」を求めて)
第二章 自立・再生への「解」はある(ないのは、変革への覚悟)
第三章 農業・林業
第四章 酪農・畜産
第五章 食品産業(オランダのフードバレーから学ぶ)
第六章 観光・エネルギー・ZEH
第七章 関連・立地産業
最終章 「ハピネス」

前書きなど

「はじめに」 北の大地 自立・再生の「解」を求めて


北の大地が沈みかけている(第三の国難)
松下電工株式会社(現パナソニック)での仕事を終え、三十年ぶりに大好きな北海道に再び居を移す念願が叶ったのは、七十歳を超えて暫くしてからのことでした。
しかし、そこで出会ったのは、将来の夢を語らない多くの現役や若者達、そして問題だらけの経済指標(全国平均を下回る低い生産性、域際収支の大幅赤字など)でした。
私が現役であった往時(五十年前)のフロンティアスピリッツに満ち溢れ、限りなく発展する熱い大地は影を潜めていたのです。

「わくわく」する未来への処方はないのか
私たちの世代に夢と活力を与え挑戦させてくれた北海道が、このままで良い訳はない。
戴いた大恩に少しでも報いる術はないのか、次の世代が「わくわく」して取り組み、多くの人々が「幸せ」を感じる未来への処方はないのか。
思い悩んでいる七年近く前(七十七歳の誕生日のころ)に、人の勧めもあってはからずも北海道の自立・再生と、幸せの実現への「手掛かり」を求める一冊の書に着手することになったのです。
もとより、一介の営業マンにとっては専門外の無謀な挑戦であり、パッチワークの域を出ない未熟な内容ですが、この拙い著作を踏み台にして、一人でも多くの有志の方々が、ベクトルを合わせて未来に挑戦して欲しいと思い続け、壁にぶつかりながら今日まで著作に挑んで来ました。

危機感と覚悟が全ての出発点
今日本は、明治維新・敗戦以来、異質で厄介な「三度目の国難」危機に直面しています。
「障壁なきグローバル化」「限りない情報化」「膨大な公的債務」「人口減少」「担い手不足」「地球の温暖化」など、いずれも一筋縄ではいかない重い課題を背負っています。
北海道は開道150年を迎え、来るべき北海道200年(二〇六八年)を目指して、これらの重い課題に対峙し、自立・再生の「解」への明確なビジョン「グランドデザイン」を描き、覚悟を決めて産業を革新しなければならないのです。

歴史が浅く、足腰の弱い北海道は危機の最先端を歩んでいますが、我々はこれらの厄介な危機を跳ね返すだけの潜在能力を持ち合わせています。
国の丸抱えという「呪縛」を解いて、真のフロンティア精神を発揮する好機なのです。
北海道のポテンシャルは、かつて(開国、敗戦の時に)そうであったように、自らを救うだけではなく、多くの分野(食料・観光・エネルギーなどの分野)で、日本に大きく貢献出来る力を秘めています。また、いたる所に学びの機会に恵まれています。 
日本や世界に貢献し、誰もが「住み・学び・働き・旅したくなる」北海道を実現する「処方」を皆さんとご一緒に探り、本書の主題である北海道の自立・再生の「解」を実現する。
とても大きく「わくわく」するテーマが目の前にあるのです。

「相対優位産業」を磨きあげる
北海道を物心両面で自立・再生し、個々人の「幸せ」を実現する鍵は、北海道の「相対優位産業」(食や観光など)を磨き、国内外との競争力をつけることにあります。
具体的には、相対優位産業と関連産業(教育やITなど)のマトリクスを軸にして、付加価値や所得・税収を倍増すること。移輸出や投資を促進して域際収支やマネーフローを黒字化すること。その成果として、債務の軽減、人口の減少や格差の解消などの課題にハドメを掛けるのです。

北海道の「潜在力」を開花させ、住む人・旅する人にとって「心地よい大地」を実現する。
この大地ほどその可能性を秘めた地域はありません。有志の皆さんとご一緒に、ベクトルを合わせて取り組んで行きたいものです。

若い世代への責務がある
かつて、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた日本が、失われた二十年(三十年)の間に、多くの分野で国際競争力は低下し、世界での地位は沈み続けています。
もう先進国とは言えない瀬戸際にあるのです。

一体だれの責任なのか、原因は何なのか。大きくは国の経営を預かる「政府」或いは政治にありますが、私達の世代が、第一に次の世代を支える産業の育成を怠ったこと。第二に財政の健全化に本気で取り組まなかったことにあります。
これらは国(政治)だけの責任ではなく国を構成する産業界や個々人の問題でもあり、私達には、日本(北海道)の自立・再生への糸口を探り、次世代に引き継ぐ責務があると思うのです。

課題解決の主役は私達道民
その主役は、国ではなく道民の全世代です。先に触れた通り私達の世代にも大きな責任があります。OBの方々も人ごとではありません。
自分達自身のために、そして後世代(子や孫……)のために、皆さんがお得意の分野で、活躍していただきたいのです。そこにはあなたを「幸せ」にするテーマがあるはずです。
そして危機からの脱出だけではなく、国や世界に貢献し個人の幸せにも繋がるとても遣り甲斐のある生き方があります。
各世代がベクトルを合わせ、「わくわく感」を持って北海道(日本)を浮上させたいのです。
                                  
「解」のないパズルは面白くありません。「解」があるからわくわくして課題に取り組めるのです。身辺には、「解」に繋がる「資源」や参考にすべき「学び」が溢れています。
求められる基本姿勢は「肯定」。指針は「理に適う」です。
五十年先(二〇六八年)を睨んだ「わくわく」する目標を立て「解」を探り当てるのです。

新しい価値のある大地へ向けて船出する
目標は大きいほど良いのです。月面着陸を成し遂げた「アポロ計画」に習って、それほどではないにしても大きな目標を立てて「解」を求める。
あるものを最大限に生かし国内外から多くを学び、新しい創意を加えることによって、「ハピネス」= 住み心地№1の北海道 = それぞれの新しい価値を探り当てるのです。
北海道にはあなたを「幸せ」にするテーマがあります。
北海道の価値を倍化し、自立・再生の「解」を求める旅にご一緒に船出できればこの上ない幸いです。


【おわりに】
経済活動の目的はそもそも何のためか、誰のためのものなのでしょうか。
経済的に豊かになることが最終目的ではなく、心の快適性、心地よさを得ることや、国の内外で広がっている格差を少なくして、平和を実現することが何より大切な目的だと思うのです。
ここまで多くの課題を取り上げて来ました。主題は「北海道の自立・再生」を実現するためのさやかな挑戦でしたが、私達の産業を「理に適う」ものに「革新」することが、「ハピネス」に繋がるのです。

①行き過ぎを正すのは私たち自身
人類は数次にわたる産業革命を通じて生産性を飛躍的に高め、少なくとも物質的に豊かになったのは確かです。しかし同時に大量破壊兵器を生み出すなど、多くの禍を生み出してきたのも厳然たる事実なのです。
地球の温暖化、原子力の扱い、格差の拡大、少子高齢化(人口減少)などの今までにない多くの困難な課題を抱え、人々の幸福度や社会の持続可能性など、根本的な問題が問われ始めているのです。
昨今、障壁なきグローバル化に加えて、情報化が急速に進展し、社会はより複雑になり、人類による地球の行く末の制御をより困難なものにしつつあります。
国連では世界共通の課題として、十七のSDGs(持続可能な開発目標・二〇三〇年)を掲げています。それほどに各所で持続可能性が危うくなっていることに気づいたのでしょう。
しかし十年単位の短期間では、少しは改善出来ても、それは我々が望むようなゴールには至りません。人類が進歩だと思って懸命に取り組んで来たことが、「どこか変」になっているのではないでしょうか。
ITやAIで情報を集め診断し対応策を編み出せれば良いのですが、情報化の力が参考になるとしても、技術本位では問題は解決しません。人間本位でなければならないのです。
課題を解決していくのは他ならぬ私たち自身なのです。国から個人に至るまで、それぞれのレベルで行動することが求められています。私達が恩恵を受け生活している北海道も、直面している課題を我がこととして取り組まなければなりません。

②産業なくして医療・福祉はない 
究極の「目標」はハピネスであり、産業はハピネスを実現するための「手段」なのです。
南の島で自給自足しながら幸せを享受している人たちもいることを承知していますが、今の社会でより多くの人々が幸せを自分のものにするには、人類の持続可能性に適う産業を発展させることがベースになります。
しかし皮肉なことに、産業の進展が「理に適う」道からはずれ、地球の温暖化による災害の多発、 未だ処分方法の定まらない放射性汚染廃棄物の問題、人口(産業)の偏重による一極集中の危険、各間格差の拡大、飽食と飢餓、人口減少にまでその影響は及んでいます。産業発展が目的であるはずの「ハピネス」から大きく逸脱し、その実現を阻害しているのです。
主な原因は、経済が多くの国や一部の人達によって目的化したことにあるのではないでしょうか。一方、多くの人口を抱えてしまった現代社会で、「ハピネス」を実現するのに産業の発展が不可欠であることに異論をはさむ余地はありません。「産業」のないところに、「福祉」もないことも事実なのです。
北海道一五〇年を成し遂げた要因(国策、先進諸国からの学び、道民の献身など)から学び、目指すべき目標を地域・北海道・国のレベルで明確にしてそれぞれが請け負い、企業や個人のレベルでも役割を分担しなければなりません。
近年の進歩した知見や技術を生かして「意志」を強く持てば、諸課題の解決は可能だと思うのです。そして北海道から国や世界に働きかけるのです。

③ハピネスを求めて
危機の先進地だからこそ、この北海道を起点に経済を超えて、幸福度ナンバーワンを追求したい。今ハッピーな国や地域はそれぞれの限られた相対優位性を生かして、いやむしろ逆境をバネにして得意な分野で世界№1になり、高い幸福度を手にしています。特に小国や小さな村から学ぶものは多いのです。
北海道一五〇年の世界にも稀な発展は、欧米の列強やロシアからの外圧と国内での社会秩序の崩壊という危機に触発され、開拓使十年計画という「国策」を生み出し、全国からの移住と道民になった先人の壮絶な努力によるものです。
今、日本に危機が迫り、北海道がその最先端にあることを認識して変革への覚悟を決めることが出来れば、新たな「道策」が生まれ、道民の「わくわく」感が再び奇跡を巻き起こすのではないでしょうか。
目標は大きくて解かりやすいほど良い。この著の目標は、「北海道の価値を倍化」し、「北海道の自立・再生」を果たすための、「解」を求めるものです。
それは経済に偏らず、精神的にも「ハッピー」になるための目標なのです。

五つの経済指標をかかげる
概算でも良いので、目標値を明確にすることによって、目標値を達成するために何をすべきかが見えて来るものです。
①人口四百~五百万人、②一人当たりのGDP六百万円、所得三百万円、③収益率一〇%以上、④税収倍増以上、⑤域際収支(MF)黒字化などを目指す必要があるでしょう。
相対優位産業を磨きあげて、時給や企業の収益率を高め税収を倍化すれば、格差の縮小や医療・福祉の充実も可能になります。
理に適う産業を振興しなければ、格差の解消や福祉は改善されないのです。 

理に適う産業の振興
付加価値、特に純付加価値(個人所得、企業収益)、時給(労働時間)、それに持続可能性を念頭においてそれぞれプロジェクトを立ち上げ、理に適う産業の振興に挑むことが人々の幸せ「ハピネス」に繋がります。

心地よい生活環境の確保
自治による政策の主導。地域の資源を生かしご当地産業を深耕すれば、投資や住民の所得・収益が増え税収が高まります。
日常の生活にゆとりが生まれ、まちの環境(教育・医療・福祉など)が整えば、やがて出生率も改善され生産年齢人口の減少にもハドメがかかるのではないでしょうか。
その結果、域内総生産の回復も期待できるのです。いつまでも人口減少に怯え、委縮している暇はありません。
地域の潜在力に見合った人口構成や、地域産業の振興などの長期目標(ビジョン)がないのでは話になりません。各世代が「わくわく」感の持てる目標を住民や産業界が主導して立案し、自ら心地良い生活環境を創り出す。もちろん容易なことではありませんが、座して消滅を待つことはないのです。
産地食品加工、循環型林業、エネルギーの自給自足(地域電力会社)、観光資源の商品化、子育て・教育環境作り、遠隔医療・福祉体制作り、コンパクトシティ(心のかようコミュニティの形成)等々、やるべきことは多岐にわたります。

観光は格別の産業
現在の日本では、にわかに「観光」の産業化が取りざたされ、特にインバウンドを重視し、高い目標が設定されています。
日本全国で二〇二〇年には四千万人(北海道では五百万人)のインバウンド、消費額は八兆円を目指しています。さらに、二〇三〇年には全国六千万人、十五兆円を掲げています。 
目新しい輸出産業に乏しい我が国の経済にとって大きな魅力のある分野ですが、いたずらに数字を追うのではなく、本物の観光先進国に育てることが肝要です。
人と人の心がふれあい、言い知れぬ心地よさを感じる旅、また行きたくなる旅、そしてお互いの友好を深め、世界の平和に繋がる旅になるようにしなくてはなりません。
近隣諸国・世界を理解し友好を深めることが出来れば、インバウンドの目標も達成されるのではないでしょうか。観光は格別の産業なのです。
アウトバウンドによる研修(人材育成)、インバウンドでの友好促進、世界平和への貢献、投資の拡大、域際収支の改善、地域の活性化等々、なすべきことは目白押しです。

④それぞれの価値を見つける
本著では主に経済的な側面から、相対優位産業を中心に「北海道の価値の倍化」「自立・再生」の「解」を求めてきましたが、その上でそれぞれの立場でそれぞれの「価値」を見つけ出すことによって、真の「ハピネス」を実現したと言えるのではないでしょうか。「幸福度の倍化」が真の「解」だと思うのです。
衣食足りて礼節を知る、ではありませんが、産業のあるところに福祉がある。心と懐のゆとりがあってこそ、多くの人々が自己を実現できる「価値」を手に出来るのでしょう。
相対優位産業を軸にして、懐をゆたかにし心のゆたかさに辿り着くのも悪くはないと思うのです。
相対優位産業の各分野で先鞭をつけて国の発展と世界の平和に貢献する。
地域(自治体)や企業、そして各個人が「わくわく」する目標に向かって挑戦し、北海道の「形」を変えることが出来れば、目指す「ハピネス」を手中にできるのです。
懐のゆとりが心のゆとりに波及し、社会や個人が文化・芸術・信仰・旅・スポーツなどで彩られることを願ってやみません。





おわりに 感謝の言葉

この著書が曲がりなりにも終稿を迎えられたのは、多くの方々のお導きによるものです。中でも、大阪市立大学の大先輩、石黒直文様は、終始「勉強しなさい」とハッパを掛けてくださり、石黒政経塾や有志の学習会「無名会」など、身に余る学習の機会と励ましをいただきました。
暗中模索で執筆を始めて以来、多くの方に出合い、温かいご指導をいただいたのです。
ごく一部ですが、ここでご紹介し、感謝の意に代えさせていただきます。

北海道大学大学院経済学研究院長の平本健太先生には、「パッチワーク」のつもりで書けば良いとお勧めいただき、初めての著作を続ける勇気をいただきました。
株式会社デジックの中村真規社長からは、「北海道の産業は一次産業・二次産業だけでの再生はありなえい。『デジタル』は欠かせない」との一言をいただき、相対優位産業と関連産業の「マトリクス」を思い至ったのです。
北海道大学名誉教授の近藤誠司様から伺った、「農業を良くしたいのなら、フランスの農業を見聞しなさい」とのお話が印象深く、本書の柱の一つである「外国から学ぶ」に繋がりました。

ホクレン特任技師の柳山浩之様からは、担い手の確保には、生産者の所得・時間・将来への「3つのゆとり」が、カギだとのお話をいただき、「(純)付加価値」の倍化に拘り、生産者の「ステイタス」を高めることを思い立ったのです。
また、三十年にわたり月刊誌ISMを刊行されている株式会社情報企画の山田勝芳社長の現場に密着した「北海道主義」と鋭い問題の提起に、著作への意欲を大いに掻き立てられました。おかげで七年もの長い期間の著作活動を続けられたのです。

少し話は変わりますが、著作の終盤になって、この書の「提言」は大筋として間違っていないかと自問する中で、道標を示し、出版の意義を正してくださったのは、先に触れた石黒直文様はじめ、横内龍三様、田中義克様、濱田康行様でした。
北海道経済同友会顧問の横内龍三様には、同会の「北海道の未来検討ワーキング」をはじめ、常に北海道の行く末について提言されている中身と熱意に鼓舞されました。
北海道立総合研究機構理事長の田中義克様は、就任一年で一次産業の生産性向上をはじめ、「食」「エネルギー」「地域」を研究テーマに定められ、その強い意思に背中を押されたのです。道総研の七百人の研究者は強力な戦力です。
はまなす財団理事長の濱田康行様には、「あなたの書は他とどこが違うのか、結局は哲学ですね」と直言をいただき、この書を出版すべきかを問われたと感じました。私なりに、①無謀な素人の書、②優位産業の俯瞰、③五十年をグランドデザイン、④指針は「理に適うか」、⑤経済活動の終着点は「ハピネス」、などと勝手に決めこんで、所詮はパッチワークと自認しつつ、出版を決意するに至ったのです。
また、北海道庁や開発局の若い職員方々のご協力はじめ、その他のご指導をいただいた多くの方に心から御礼申しあげます。
出版にあたっては、「柏艪舎」の山本哲平様はじめスタッフの皆さんには、初めての著作を手ほどき下さり、粗稿を纏めていただいたご労苦には感謝の他ありません。
最後に、七年間の長きにわたり、勝手気ままの著作を見まもってくれた、家族に「ありがとう」の気持ちを伝えて筆を置きます。

 二〇二〇年初夏
久保信彦


追記 コロナウイルスの禍が世界を覆っている中で、近未来を見据えて日本をどう変えるかが問われています。
安宅和人氏が、近著「シン・ニホン」の中で指摘されているように、デジタルとAIが支配的な時代になるがゆえに、それらを生かすと同時に人間にしかない感性と創造性を磨くことが大切になるのでしょう。
地域や企業そして個々人が自発的に変革に取り組み、国の形を革新する必要があります。色々な分野で周回遅れなっている二ホン、そして「HOKKAIDO」が、今のままで良い訳はないのです。

著者プロフィール

久保 信彦  (クボ ノブヒコ)  (著/文

1936年(昭和11年)大阪市生まれ。/1960年(昭和35年)松下電工(株)(現パナソニック)に入社。/同年5月から札幌営業所に着任(その後、札幌・釧路・郡山・仙台・大阪本社勤務)。/北海道で17年、東北で10年、大阪で10年間、営業畑でお引き立ていただく。/2006年(平成17年)3月に、念願叶い札幌市に移住。/北海道経済連合会、北海道経済同友会、はまなす財団、北海道再生可能エネルギー振興機構、アニマルウェルフェアー畜産協会などに籍を置き、現在に至る。

上記内容は本書刊行時のものです。