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河合隼雄と子どもの目
〈うさぎ穴〉からの発信
- 初版年月日
- 2019年7月10日
- 書店発売日
- 2019年7月17日
- 登録日
- 2019年5月21日
- 最終更新日
- 2019年7月13日
紹介
1990年にマガジンハウスから刊行された『〈うさぎ穴〉からの発信』の復刊本。
河合隼雄は、児童文学を自らの生きる指針として読み、こよなく愛した心理臨床家の一人である。
臨床家としてクライエントと向き合う中で、著者は「たましい」との関係にしだいに深く気づかされていったという。目に見えず、ふれることもできない「たましい」の存在を、曇りなく澄んだ「子どもの目」ははっきりととらえることができる。だからこそ児童文学は、著者にとって生きる指針となりえたのである。
「たましいの存在について語るのは、ファンタジーという形がもっとも適している」。生き生きとした子どものまなざしは、豊かな感性の輝きを見いだすだけでなく、ときには身近な人の心の中に、言葉にならない深い悲しみをも読み取る。
1990年にマガジンハウス社から刊行された『〈うさぎ穴〉からの発信』の復刊本。子どものこころに温かく寄り添う、繊細で緻密な臨床家としての視点が、カニグズバーグをはじめ、エンデやケストナー、ギャリコ、また宮澤賢治や今江祥智、長新太、佐野洋子と、ファンタジーから絵本までの多彩な作品を、説得力ある言葉で読み解いてゆく。
「児童文学は、子どものためだけのものではなく、われわれが生きてゆく上で必要な深い示唆を多く含む。だから、若者や大人たちにこそ読んでほしいのだ」と言う著者に従って、子どもが主人公の物語を、いま一度読み直してみてはどうだろうか。
目次
まえがき
Ⅰ
読むこと・書くこと
「うさぎ穴」の意味するもの
児童文学の中の「もう一人の私」
Ⅱ
アイデンティティの多層性――カニグズバーグの作品から
少年の内界の旅――『さすらいのジェニー』を読んで
『はてしない物語』の内なる世界
少女の内界のドラマ――アリスン・アトリー『時の旅人』
『グリム童話集』を読む
瀕死体験と銀河鉄道
宮澤賢治の死生観
『ぼんぼん』とトリックスター―今江祥智『ぼんぼん』を読んで
/ファンタジーの素晴らしさ――今江祥智『海賊の歌がきこえる』
大人になることの困難さ――上野瞭『さらば、おやじどの』
長新太の不可解/現実の多層性――絵本『イソポカムイ』を読む
Ⅲ
児童文学のすすめ
小学四年生
子どもの知恵に学ぶ
観覧車
子どもとファンタジー
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。