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礼とは何か 桃崎 有一郎(著/文) - 人文書院
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礼とは何か 日本の文化と歴史の鍵

歴史・地理
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発行:人文書院
四六判
縦188mm 横132mm 厚さ23mm
重さ 360g
320ページ
定価 2,700円+税
ISBN
978-4-409-52083-3   COPY
ISBN 13
9784409520833   COPY
ISBN 10h
4-409-52083-0   COPY
ISBN 10
4409520830   COPY
出版者記号
409   COPY
 
Cコード
C1021
教養 単行本 日本歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年8月7日
書店発売日
登録日
2020年6月17日
最終更新日
2020年7月31日
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書評掲載情報

2020-10-04 読売新聞  朝刊

紹介

日本の核心に迫る



教室での礼、貰い物への返礼など、日本社会に溢れる「礼」。それは古代中国に生まれた、世界を律するための概念であり、今日まで広く深く日本の文化と歴史を規定している。しかし、「礼」とは一体何か、歴史学的に解明し本質を捉える議論はこれまでにされてこなかった。気鋭の日本中世史研究者が中国古代思想に分け入り、「礼」の根源に迫る画期的力作。



「現代日本人が、《礼》を理解し、礼的所作についていかなる立場を表明するか(どう振る舞うか)は、〈現代日本人にとって《礼》とは何か〉を知ることから始めなければならず、それは遡ると、結局、日本に移入された中国の《礼》思想を知る必要があり、そのためには《礼》の遍歴をたどらねばならず、それを突きつめると、まずは《礼》が生まれた段階での姿を探究するのが先決、ということだ。」(本書より)

目次

プロローグ
 ――〝礼儀正しい日本人〟が《礼》を知らない落とし穴

「礼」について思考停止する現代日本文化/利害損得抜きでも礼儀正しくあろうとするのはなぜか/「礼」にはなぜ複数の意味があるのか──敬礼・返礼・儀礼・参賀/日本史家が避けたがる「礼」研究──時代・土地・分野が専門から遠すぎる/日本中世史家がなぜ中国古代思想史に踏み込むのか/〈礼とは何か〉は中国古代思想史でも未解明/本書の視座と照準──日本に移入された段階での〈礼とは何か〉

第一章 『礼記』と《礼》思想
 ──人間関係の根底としての敬譲

『礼記』の成立と沿革/『礼記』と鄭注と謎の儒学史ムラ社会/《礼》は悪を鎮めて善を全うする唯一の術/《礼》を知って実践する者が「君子」/周の身分制度と君子──王・公・卿・大夫・士/賓礼と敬意──煩瑣な所作は敬意の表現/《礼》の真髄は適切な敬意/《礼》の作法は上位者の快適さを優先する/《礼》の煩瑣な作法は上位者の快適さの追求/上位者を優先して下位者は犠牲になれ

第二章 《礼》のメカニズム
 ──相互作用・外形・理性

《礼》は敬意(適切な心情)の双方向的作用(インタラクシヨン)/哭礼と心情──《礼》は心情を重視し形式化する/《礼》は不可視の心情を可視化する外形である/形の大切さ──雨は儀礼の威容を損なうので儀礼を中止する/《礼》とは「仁」の正しい外形/《礼》の根幹は相手に対して最適な感情を形にすること/心情のままの直情径行は《礼》を知らない野蛮人の振る舞い/感情に身を任せると孝や祭祀が完遂しない/《礼》とは理(理性的・論理的)である/《礼》は感情の発露を適切(過不足なし)にする

第三章 《礼》の類別機能
 ──人を禽獣と分ける秩序の大前提

《礼》は「中庸(過不足ない最適バランス)」を実現する堤防/《礼》の根本的機能の一つは〝類別〟/社会では自他の線引きが何より重要/「男女の別」は何のための〝線引き〟か/「男女の別」は「淫乱(男女関係の暴走)」防止のため/「男女の別」で「淫乱」を防ぎ社会崩壊を抑止する/《礼》の類別機能は社会秩序の大前提/《礼》が人を人にする──《礼》の類別がなければ禽獣(動物)と同じ/《礼》がない戎夷(野蛮な異民族)は禽獣と同じ/《礼》は数の等差をつけて人の類別を明示する/冠礼(元服=成人式)により「人と成り」《礼》の秩序に組み込まれる/女性差別と子供差別──〈女性は婚約して人と成る〉〈子供は動物と同じ〉

第四章 社会の持続可能性(サステイナビリティ)を保証する冠昏喪祭
 ──先後絶対主義と根源至上主義

祭祀(吉礼)は「五礼」(吉礼・凶礼・軍礼・賓礼・嘉礼)の最重要事項/祭祀とは〈鬼神(主に昔の聖人・賢人の霊)に奉仕すること〉/祭祀の意義──天や鬼神が正しく扱われ人間社会が福(理想的あり方)を得る/コミュニケーションとしての祭祀と日本人にありがちな誤解/慈しむ奉仕──祭祀は鬼神や先祖を、射・郷飲酒は仲間を、饗応は賓客を/世界を成り立たせる存在(天地・鬼神)を祭って蜜月関係を保つ/《礼》思想の先後絶対主義と根源至上主義/優先順位としての「順逆」は先後絶対主義で決まる/後発のものに理不尽な犠牲を強いる先後絶対主義/「孝(親孝行)」は至高の徳目──功績は親のもの、過ちは子のもの/「父は子の天である」──絶対的な親愛と崇敬の対象/根源至上主義としての「孝」を拡張した祖先祭祀/昏礼(婚礼)の目的──宗廟に奉仕し祖先祭祀を絶やさぬこと/同姓不婚──「男女の別」の徹底/同姓婚は子孫が栄えず祭祀が絶えるので祖先が呪う/冠礼はなぜ人間の《礼》の原点か──祭祀に必要な子孫繁栄の原点

第五章 世界の原点・万物の始原としての「天」
 ──《礼》の絶対性を保証するもの

《礼》と歴史学は『左氏伝』を介して一つの営みに/《礼》の最重要の営み──天子が天を祭る/万物の始原としての「天」が、君主の臣に対する優越を正当化/《礼》の絶対性を保証する先王「周公旦」の周王朝創業史/《礼》は絶対──天に由来し天地の摂理を模し天の絶対性を継承するから/《礼》は絶対──「天子」周公旦が「天」の意思を人語に表現したから/天の絶対性が上位者の絶対性を保証

第六章 戦争で敵を討つ《礼》
 ──軍礼と時機最適主義

時機最適主義──時と場合と立場で最適な振る舞いは変わる/戦時の軍は敬譲精神より威厳が優先/貧者は財力の範囲内、老人は体力の範囲内で《礼》を実践する/殉死は《礼》に反する/日本に根づかず理解できない軍礼/戦争では君主のために敵を殺すことが《礼》/《礼》には身分に応じて殺すべき敵の数がある/春の出征は《礼》に背き、秋の出征は《礼》に適う/出征時と凱旋時には適切な祭祀が必要/戦時の《礼》は職分忠実主義・立場最適主義に即して戦うためのシステム/戦争準備の《礼》──一一月の大閲(大蒐)/戦争準備の《礼》──一〇月の講武(大閲の準備)/戦争準備の《礼》──九月の田猟(講武の準備)/《礼》はなぜ田猟を君主の責務とするか──祭祀と賓礼のため

第七章 射(弓術)と宴会の《礼》
 ──祭祀と秩序の維持管理

郷飲酒の《礼》──定期的な宴会で身分尊卑を教え正す/座席と酌の順序と料理の差で身分を明らかにする/「長幼の序」とその論理的帰結としての敬老を教える/射の《礼》──宴会とセットで身分秩序を再生産する/射は君子が二人一組で的中数を争う/君子は射の負けを恥じる/射は徳を判定する/射の負けは君子が《礼》に沿って君主に奉仕する準備の不足/射の目的──徳の高い(《礼》を実践する)祭祀の適任者を選出する/出生儀礼で天地四方に射を行う──世界との最初のコミュニケーション/平時の射を行うことで戦時の終わりを宣言する/射は音楽に従って射る

第八章 《礼》と《楽》
 ──外と内から立体的に統治する術

人の内心の「楽しみ」が《楽》となる/心が動いて「声」に、それが規律を持って「音」に、それが組み合わさって「楽」に/自然発生する「声」は禽獣と同じ、単発の「音」だけで《楽》を知らないのは庶民/声(感情の自然発露)」は制御せねば天の調和した理を失う/《楽》により「声」を制御して感情を制御する/《礼》は動(外形の正しい形成)、《楽》は静(内心の正しい制御)/《礼》は類別、《楽》は融合──《礼》の節度に節度を与える《楽》/《楽》は一方的発露で調和を目指し、《礼》は双方向的作用で順序づけする/《礼》は地(人間社会の制御)を指向し、《楽》は天(世界の始原)を指向する/君子が《楽》を行う効用──統治と《楽》/《礼》と《楽》は天地のあるべき形に基づき神明にアクセスする/外形を制御する《礼》と内心を制御する《楽》から二方向で統治/「楽」は統治の適否を示すバロメーター/統治の確立が《楽》の制定、《楽》の乱れは統治の乱れ

第九章 《礼》と外交・内政
 ──立場最適主義と職分忠実主義

《礼》と外交──諸国(諸侯)の秩序は《礼》に沿って定まる/《礼》を実践するか否かは国の存亡に直結/《礼》を欠く大国は諸侯の盟主たる資格がない/《礼》は世界観=思考様式を共有し諸国間の円滑な意思疎通を保証する/《礼》と内政──《礼》は君臣上下の関係を確定・徹底させる/立場が高いと責任範囲も高次元──祭祀の主体と対象は厳密に対応/立場最適主義と職分忠実主義──自分の領分だけに徹する最善の規範が《礼》/世襲により天命から外れてゆく天子──天と天子の緊張関係

第十章 君子の成績簿・『春秋左氏伝』
 ──万人を役割に縛る《礼》

春秋の筆法──微妙な表現の違いで歴史的事象の善悪を断じる/職分忠実主義──身分相応にすべきことをし、それ以外をしない/天子・諸侯はそれぞれ固有の責務を踏み外してはならない/天子は正しく暦を管理するのが《礼》である/《儀(形式)》を《礼(真理)》と混同してはならない/《儀》は《礼》の部分集合──《儀》を疎かにする者は《礼》に背き滅びる/天子から民までを立場に縛りつける職分忠実主義の桎梏/臣下の責務──命と引き換えにしても職責に殉じる責務/諸侯の責務──諸侯の身分不相応な振る舞いに対する筆誅/天子の責務──思いつきで行動する天子への筆誅/天子には〈すべきこと〉と〈すべきでないこと〉しかない──中間の不在

エピローグ
 ――《礼》とは何か

参考文献

あとがき

著者プロフィール

桃崎 有一郎  (モモサキユウイチロウ)  (著/文

桃崎有一郎(ももさき・ゆういちろう) 
1978年、東京都生まれ。2001年、慶應義塾大学文学部卒業。2007年、慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(史学)。現在、高千穂大学商学部教授。専門は、古代・中世の礼制と法制・政治の関係史。著書に『中世京都の空間構造と礼節体系』(思文閣出版)、『平安京はいらなかった』(吉川弘文館)、『武士の起源を解きあかす』(ちくま新書)、『室町の覇者 足利義満』(ちくま新書)、『京都を壊した天皇、護った武士』(NHK新書)、『室町政権の首府構想と京都』(文理閣、共編著)、『日本法史から何がみえるか』(有斐閣、共著)、『幻想の京都モデル』(高志書院、共著)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。