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幻想の終わりに
後期近代の政治・経済・文化
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年4月14日
- 書店発売日
- 2023年4月17日
- 登録日
- 2022年12月5日
- 最終更新日
- 2023年4月17日
紹介
「独自性」を追い求める社会は、私たちに何をもたらすのか
社会はより良く進歩しているという「幻想」が潰えた後期近代。生産のオートメーション化、デジタル革命、単純サービス業の増加等、産業構造の転換によって新しい階級社会が誕生している。リベラルでエコロジカル、グローバル志向の新たな中産階級が影響力を振るい、個々人は「独自性」を競い合う。世界規模で起こっているこの変化は、私たちの生活に何をもたらすのだろうか。欧米の最新文献を網羅しながら現代社会の矛盾や両義性を鮮やかに描く、ドイツ発の新たな社会理論。
「公的な議論は、確固たる楽観的な進歩主義からディストピアやノスタルジーへと、すなわち、ある選択的な見方から別の見方へと転換した。だからといって、現代社会の構造を理解し、それに対処することが以前より簡単になったわけではない。とはいえ、幻想の終わりが画一的な悲観主義に行き着く必要はない。幻想がないということは、冷静なリアリズムを可能にし、分析のための空間を開くような美徳でありえるのだ」(本書より)
◎目次
序章 幻想が消えた現代
第一章 文化をめぐる戦いとしての文化間の軋轢(コンフリクト)――ハイパーカルチャーと文化本質主義
第二章 平準化された中間層社会から三つの階級の社会へ――新たな中産階級・古くからの中産階級・不安定な階級
第三章 工業社会を超えて――分極化したポスト工業主義と認知・文化資本主義
第四章 疲弊した自己実現――後期近代の個人とその感情文化のパラドックス
第五章 自由主義(リベラリズム)の危機と新たな政治的パラダイムの探求――開放型自由主義から埋め込み型自由主義へ
目次
序章 幻想が消えた現代
進歩、ディストピア、ノスタルジー
幻想の消失を好機に変える
工業的近代から独自性(シンギュラリティ)の社会へ
第一章 文化をめぐる戦いとしての文化間の軋轢(コンフリクト)――ハイパーカルチャーと文化本質主義
社会的なものの文化化
文化化Ⅰ―ハイパーカルチャー
文化化Ⅱ―文化本質主義
ハイパーカルチャーと文化本質主義――共存と軋轢の間で
普遍性を実践する――オルタナティブとしての一般的なものの文化?
第二章 平準化された中間層社会から三つの階級の社会へ――新たな中産階級・古くからの中産階級・不安定な階級
グローバルなコンテクストと歴史的なコンテクスト
基本的な枠組み――ポスト工業化、教育拡大、価値の転換
三つの階級の社会という循環式エレベーターのなかで
新たな中産階級――成功に満ちた自己実現と都市のコスモポリタニズム
古くからの中産階級――定住、秩序、そして文化的防衛
不安定な階級――急場しのぎと零落
上層階級――資産による隔たり
横断的な特性――ジェンダー、移民、地域、ミリュー
政治的な分極化の傾向、および社会における未来のシナリオ
第三章 工業社会を超えて――分極化したポスト工業主義と認知・文化資本主義
工業フォーディズムの興亡
飽和の危機
生産の危機と分極化するポスト工業主義
グローバル化、新自由主義、金融化
認知資本主義と無形資本
文化的な財と文化資本主義
勝者総取り市場――認知・文化的な財のスケーラビリティと魅力
極端化した資本主義――社会的なものの経済化
第四章 疲弊した自己実現――後期近代の個人とその感情文化のパラドックス
自己規律から自己実現へ
成功に満ちた自己実現――野心的な二重構造
自己実現の文化――ネガティブ感情の発電機
失望スパイラルから脱却する道
第五章 自由主義(リベラリズム)の危機と新たな政治的パラダイムの探求――開放型自由主義から埋め込み型自由主義へ
政治的パラダイムと政治的パラドックス
問題状況と問題解決――規制化パラダイムと推進化パラダイムの間で
社会コーポラテイズムのパラダイムの台頭
過剰な規制化の危機
台頭する開放型自由主義のパラダイム
開放型自由主義の三重の危機
兆候としてのポピュリズム
未来のパラダイムとしての「埋め込み型自由主義」?
埋め込み型自由主義の課題
訳者解説
あとがき
人名索引
事項索引
上記内容は本書刊行時のものです。