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「豊かさ」の農本主義
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年3月20日
- 書店発売日
- 2023年3月20日
- 登録日
- 2022年11月15日
- 最終更新日
- 2023年3月10日
紹介
農がもたらす新しい価値とは?
戦前のファシズム思想の温床とみなされてきた「農本主義」をみなおし、戦後の農業の思想と実践を丹念に追いながら、新たに位置づける試み。ジェンダー思想、市民運動など多様な農業の姿と思想を明らかにする。
「戦時体制と結びついた出来事は、思想の表出実態の全体からみれば部分的な存在でしかなく、今日的な社会的課題を踏まえるならば、近代批判に基づく社会変革の構想という点で、肯定的に評価できる点も少なくないと思われるのである。
そこで本書では、戦後の農的な思想を論じる際に、敢えて農本主義という概念を持ち出すことを試みる。いささか大胆にその理由を述べるならば、農の観点から繰り出される、近代社会への批判という視座が、近代から現代まで時代を超えた効力をもつのではないかと考えるからである。すなわち農本主義概念を、近代期の日本に限定される特殊事象としてではなく、時代性や場所性を問わない普遍的意義をもつ思想として捉え、これを戦後の事例と結び付けながら論じることが本書の目的ということになる。」
これは、農本主義概念のパラダイム転換を図る作業に他ならない。(序章より)
第3回高島國男自遊賞受賞作。
◎目次
序章 農本主義概念のパラダイム転換
一 敢えて農本主義に目を向ける
二 「豊かさ」を模索する時代
三 理念と実践のズレ
四 研究の課題
一章 農本主義概念の射程
一 はじめに
二 農本主義の史的展開と農本主義者
三 「ファシズム」と農本主義
四 定義検討型の研究
五 思想領域探索型の研究
六 視点設定型の研究
七 おわりに
二章 農本思想の戦後史
一 はじめに
二 「農本主義」論
三 「有機農業」
四 「自給」
五 「百姓」
六 農的「コミューン」
七 農村女性の「ネットワーク」
八 その他
九 おわりに
三章 藤本敏夫の自給思想
一 「自給」と自給自足
二 「自給」研究が抱える課題
三 藤本敏夫について
四 近代に対する省察
五 有機農業との出会い
六 「自給」農場での試み
七 「自給」から「自給ごっこ」へ
八 「理念距離」による「自給」の再構想
四章 自給にみる理念と実践の相克─「たまごの会」を中心として
一 はじめに
二 「たまごの会」の実践展開
三 明峯哲夫の「やぼ耕作団」
四 岡田米雄の「自給」農場構想
五 高松修の思想と実践
六 八郷への移住者
七 「自給」の構想力
五章 「ネットワーク」に惹かれた農村女性
一 はじめに
二 戦後農村女性史の転換点
三 農村女性の目指す変革
四 「ネットワーク」を通じた成長
五 プログラムはエンパワーメント
六 見えてきた社会の変革
七 エンパワーメントからオルタナティブへ
六章 理念像としての「百姓」
一 アンビバレントな「百姓」
二 人の成長を捉える
三 農家子弟の進路動向
四 環境との交渉にみる価値観の交錯
五 農業への自己同一化
六 「百姓」の自己規律
七章 宇根豊による「減農薬」から「農本主義」への思想展開
一 はじめに
二 先行研究の硬直性
三 農法比較の分析モデル
四 宇根豊について
五 「減農薬」の思想と実践
六 宇根思想の特質
七 「農本主義」と「有機農業」の違い
終章 成熟社会における農へのまなざし
一 成熟社会期の農本思想の特質
二 農を通じた「豊かさ」の模索
三 伝統と創造
四 「農本主義」と農本主義の今後
五 農本思想の新たな芽
文献
あとがき
目次
序章 農本主義概念のパラダイム転換
一 敢えて農本主義に目を向ける
二 「豊かさ」を模索する時代
三 理念と実践のズレ
四 研究の課題
一章 農本主義概念の射程
一 はじめに
二 農本主義の史的展開と農本主義者
三 「ファシズム」と農本主義
四 定義検討型の研究
五 思想領域探索型の研究
六 視点設定型の研究
七 おわりに
二章 農本思想の戦後史
一 はじめに
二 「農本主義」論
三 「有機農業」
四 「自給」
五 「百姓」
六 農的「コミューン」
七 農村女性の「ネットワーク」
八 その他
九 おわりに
三章 藤本敏夫の自給思想
一 「自給」と自給自足
二 「自給」研究が抱える課題
三 藤本敏夫について
四 近代に対する省察
五 有機農業との出会い
六 「自給」農場での試み
七 「自給」から「自給ごっこ」へ
八 「理念距離」による「自給」の再構想
四章 自給にみる理念と実践の相克─「たまごの会」を中心として
一 はじめに
二 「たまごの会」の実践展開
三 明峯哲夫の「やぼ耕作団」
四 岡田米雄の「自給」農場構想
五 高松修の思想と実践
六 八郷への移住者
七 「自給」の構想力
五章 「ネットワーク」に惹かれた農村女性
一 はじめに
二 戦後農村女性史の転換点
三 農村女性の目指す変革
四 「ネットワーク」を通じた成長
五 プログラムはエンパワーメント
六 見えてきた社会の変革
七 エンパワーメントからオルタナティブへ
六章 理念像としての「百姓」
一 アンビバレントな「百姓」
二 人の成長を捉える
三 農家子弟の進路動向
四 環境との交渉にみる価値観の交錯
五 農業への自己同一化
六 「百姓」の自己規律
七章 宇根豊による「減農薬」から「農本主義」への思想展開
一 はじめに
二 先行研究の硬直性
三 農法比較の分析モデル
四 宇根豊について
五 「減農薬」の思想と実践
六 宇根思想の特質
七 「農本主義」と「有機農業」の違い
終章 成熟社会における農へのまなざし
一 成熟社会期の農本思想の特質
二 農を通じた「豊かさ」の模索
三 伝統と創造
四 「農本主義」と農本主義の今後
五 農本思想の新たな芽
文献
あとがき
前書きなど
「戦時体制と結びついた出来事は、思想の表出実態の全体からみれば部分的な存在でしかなく、今日的な社会的課題を踏まえるならば、近代批判に基づく社会変革の構想という点で、肯定的に評価できる点も少なくないと思われるのである。
そこで本書では、戦後の農的な思想を論じる際に、敢えて農本主義という概念を持ち出すことを試みる。いささか大胆にその理由を述べるならば、農の観点から繰り出される、近代社会への批判という視座が、近代から現代まで時代を超えた効力をもつのではないかと考えるからである。すなわち農本主義概念を、近代期の日本に限定される特殊事象としてではなく、時代性や場所性を問わない普遍的意義をもつ思想として捉え、これを戦後の事例と結び付けながら論じることが本書の目的ということになる。」
これは、農本主義概念のパラダイム転換を図る作業に他ならない。
上記内容は本書刊行時のものです。