版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
カオスに抗する闘い 小倉 拓也(著/文) - 人文書院
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文サイト:

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

取引取次:
ト・日     書店
直接取引:なし

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

カオスに抗する闘い (カオスニコウスルタタカイ)

哲学・宗教
このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:人文書院
四六判
360ページ
定価 4,500円+税
ISBN
978-4-409-03100-1   COPY
ISBN 13
9784409031001   COPY
ISBN 10h
4-409-03100-7   COPY
ISBN 10
4409031007   COPY
出版者記号
409   COPY
Cコード
C3010  
3:専門 0:単行本 10:哲学
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2018年6月12日
最終更新日
2021年10月14日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

すべてが壊れゆく前に



生成変化を言祝いだドゥルーズは、一方で思考と観念の崩壊、つまりカオスを恐れた。すべてが壊れ不可逆な破局を迎える手前でとどまるための、ほんの少しの秩序、少しばかりのコツを探ること、それこそがドゥルーズ哲学全体を貫く「秘密の一貫性」であった。本書では、これまで前景化されることのなかったこの問いを全面化し、ドゥルーズ哲学全体を体系的に読解するとともに、敵とされてきた精神分析、現象学との理論的交錯を描きだす。人が生まれ、老い、死んでゆく、敗北を余儀なくされた闘いのなかの絶望と希望、哲学的な問いを人生の問いへと昇華させる、俊英の渾身作ついに刊行。

「ドゥルーズは、そのキャリアの過程で、自身がカオスと呼ぶものをめぐって、何らかの態度変更とでも呼びうるものを行ったのだろうか。彼は、若き日に肯定した生や経験の創造性を、老年において放棄し、むしろ私たち――とりわけ他ならぬ彼自身――を保護する秩序を希求するようになったのだろうか。これは哲学研究上の問いであると同時に、人生をめぐる問いでもある。それゆえ、単純な肯定でも、単純な否定でも、答えにならないだろう。私たちは、この問いを入り口にして、この哲学者の人生に思いを馳せながら、しかしあくまで哲学研究として、本書をはじめることにしたい。」(本書より)

目次

序論
1 二つのカオス
2 主題と理由
3 前提的注解
4 ドゥルーズ・精神分析・現象学
5 構成

第Ⅰ部 システム

第一章 差異と反復
1 時代の空気
2 差異――シミュラクル
3 反復――永劫回帰

第二章 流産する非時間
1 時間の第一の総合
2 幼生の主体、崩潰した自我、疲労
3 時間の第二の総合の要請
4 時間の第二の総合
5 時間の第三の総合の要請
6 時間の第三の総合
7 システムとカオス
8 『意味の論理学』へ

第三章 表面と深層の無意味
1 『意味の論理学』の位置づけとその特徴
2 『意味の論理学』のトポグラフィ
3 命題の三つの次元から第四の次元へ
4 第二次組織の構造
5 超越論的領野
6 深層における言葉と身体

第Ⅱ部 器官なき身体

第四章 単為発生と第二の起源――無人島と他者なき世界
1 無人島――想像力による人間の飛躍
2 他者とは何か――最初期論文における
3 他者とは何か――「ミシェル・トゥルニエと他者なき世界」における
4 他者なき世界――「神経症をたしかに経由し精神病をかすめる冒険」
5 倒錯の論理学に向けて

第五章 否定・否認・排除――倒錯の論理学
1 倒錯の文脈
2 変換論から批評と臨床へ
3 サディズムと純粋否定
4 マゾヒズムと否認
5 父の「排除」?
6 精神分析における「排除」の概念
7 否認と排除の並立の意味
8 死のまったく別の次元

第六章 出生外傷から器官なき身体へ
1 動的発生論とメラニー・クラインの位置づけ
2 メラニー・クラインと「態勢」の理論
3 メラニー・クラインにおける「完全さ」と「全体性」の密輸入
4 否認、再び
5 出生外傷から器官なき身体へ
6 器官なき身体の栄光とは何か
7 器官なき身体とカオスに抗する闘い

第Ⅲ部 モニュメント

第七章 シニフィアンと〈形象〉
1 シニフィアンの行方
2 ラカンにおけるシニフィアン連鎖と記憶形成
3 ドゥルーズにおけるマルコフ連鎖の概念化
4 シニフィアンから〈形象〉へ
5 肉塊への慈悲
6 リズム、器官なき身体、ヒステリー

第八章 担われなければならない肉
1 絵画における形象と感覚
2 諸感官の統一と現象的身体
3 知覚と感覚
4 病者から絵画へ
5 感覚の存在と肉
6 担われなければならない肉
7 黄泉の国、民衆の幻視
 
第九章 モニュメントの行為としての仮構
1 哲学=潜在的/科学=現働的
2 芸術=可能的?
3 芸術は保存する
4 標
5 老い
6 モニュメントの行為としての仮構
7 来るべき民衆

結論

あとがき

人名索引

著者プロフィール

小倉 拓也  (オグラタクヤ)  (著/文

小倉拓也(おぐら・たくや) 1985年大阪府生まれ。神戸市外国語大学卒業、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。現在、大阪大学未来戦略機構特任助教。共著書に『発達障害の時代とラカン派精神分析』(晃洋書房)、共訳書にローズ『生そのものの政治学』(法政大学出版局)、サール『意識の神秘』(新曜社)、フィンク『後期ラカン入門』(人文書院)、フィンク『「エクリ」を読む』(人文書院)など。

上記内容は本書刊行時のものです。