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「音」を理解するための教科書 米村 俊一(著/文) - コロナ社
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「音」を理解するための教科書 「音」は面白い:人と音とのインタラクションから見た音響・音声処理工学

発行:コロナ社
A5判
縦210mm 横148mm
252ページ
定価 3,300円+税
ISBN
9784339009422
Cコード
C3055
専門 単行本 電子通信
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年2月
書店発売日
登録日
2020年12月16日
最終更新日
2021年1月26日
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紹介

■書籍の特徴
本書では,「音」という現象に関する物理学的・情報科学的な観点からの解説と,「音」を受け取る側である人間の心理学的な観点からの解説を行っています。前半では,「音の面白さ」,「私たちが音を捉える時に意識することなく発動している高度な認知機能」について述べます。後半では,「私たちにとって身近な音響・音声処理技術」について概説します。
【前半】
・そもそも音が聴こえることで人間にどんなメリットがあるのか
・音が聴こえなくなったらどのように困るのか
・音が聴こえる仕組みとはどのようなものか
・脳は音という信号をどのように扱っているのか
・どのようにして声を発しているのか
・どのようにして言葉を獲得するのか
・リズムやメロディなどの音楽をどのように認知しているのか
【後半】
・音をどうやって記録・再生するのか
・人間の声を遠隔地に届けるためにはどうすれば良いのか
・コンピュータに人間の声を理解させたり話をさせるにはどうすれば良いのか
・音響の応用技術(楽器やコンサートホール,超音波,ヘッドホン)

■本書が対象とする読者
・音響・音声処理工学に興味を持つ学生,初学者
・音響技術やオーディオ技術に携わるエンジニア
・「音」に興味を持つ,コンピュータ科学や認知・社会心理学の研究者およびエンジニア

■出版の主旨
本書は,「音」の不思議さや面白さ,また,「音」に関わる技術の面白さについて,より多くの人に興味を持っていただきたいという思いで執筆した「音」の教科書です。著者の専門はCMC(Computer Mediated Communication)という分野で,コンピュータ技術を使って人と人とのコミュニケーションを支援する研究を行っています。

音は,人間がコミュニケーションを行ううえでは欠かせないものであり,私たちの生存を根底で支える重要な基盤です。私たちは「音」というメディアを,日々,何気なく使用していますが,じつは,私たち自身が特段の意識をすることもなく非常に高度な情報処理を行っているのです。このような情報処理をコンピュータにやらせようとすると,非常に高度な技術が要求されます。それどころか,コンピュータは未だに人間の適応能力には追い付いていない場合が多いのです。

本書では,「音」の不思議さや面白さ,また「音」に関わる技術の面白さについて,人と音との相互作用(interaction)という観点から解説します。音響・音声処理に関する個別の技術について詳細に述べるのではなく,「音」とは私たちにとってどのようなメディアなのか,私たちは「音」をどのように発しどのように聴いているのかについて多面的な視点から平易に解説します。

目次

1.人間はどうやって音を獲得したのか?
1.1 音を聴く能力は生きるための必須機能である
 1.1.1 人間だけが特別な生き物というわけではない
 1.1.2 宇宙の誕生から生命の誕生まで100億年かかった
 1.1.3 生命とは:細胞をもつ/代謝を行う/自己複製する存在
 1.1.4 生き物は感覚を総動員して摂食/攻撃と逃避/生殖を行う
 1.1.5 音は他者を発見するための遠隔センシングで役に立つ
1.2 生き物が聴覚を獲得した進化の過程
 1.2.1 聴覚の起源は体の平衡を保ち捕食者の振動を感知するためのセンサ
 1.2.2 陸棲動物は3億8500万年前に聴覚を獲得した
1.3 さまざまなメディアを駆使してコミュニケーションを行う生物
 1.3.1 バクテリア(細菌)もたがいにコミュニケーションを行っている
 1.3.2 植物同士もコミュニケーションを行っている
 1.3.3 植物は動物の音を聴いて自分の振舞いを決める
 1.3.4 植物は敵の敵を誘引するコミュニケーションで自己防衛する
1.4 生物が見せるコミュニケーションの多様性
 1.4.1 動物はさまざまな言葉を用いてコミュニケーションを行う
 1.4.2 人体内部では臓器同士が直接コミュニケーションを行う
 1.4.3 獲物のコミュニケーションを盗聴して攻撃を仕掛けるウイルス

2.音が聴こえないとどのように困るのか?
2.1 音が聴こえないとこんなに困る
 2.1.1 聴覚障害者が不便と感じている音
 2.1.2 聴覚障害者は日常生活でこんなに困っている
 2.1.3 聴覚障害者向けの情報保障には手話通訳と要約筆記がある
2.2 聴覚障害の基準
 2.2.1 聴覚障害者にはろう者と難聴者がいる
 2.2.2 ろう者と難聴者・中途失聴者は同じではない
 2.2.3 盲ろう者のコミュニケーション
 2.2.4 難聴になる原因
2.3 感覚刺激は脳で高度に統合される
 2.3.1 感覚遮断:感覚器からの刺激がなければ人間らしく生きられない?
 2.3.2 エコーロケーション:現代技術でも達成できない高度な情報処理

3.そもそも「音」とはなにか?
3.1 音とは波である
 3.1.1 音が発生するメカニズム
 3.1.2 空気中を伝搬する音波は縦(疎密)波である
 3.1.3 弾性波(疎密波)のばねモデル
 3.1.4 音波の記述式
3.2 音の速さは媒質によって異なる
 3.2.1 音の速さは媒質の特性によって決まる
 3.2.2 さまざまな媒質中を伝わる音の速度
 3.2.3 衝撃波とソニックブーム
3.3 音の強さと測り方
 3.3.1 音圧の実効値
 3.3.2 音響パワー:音響インテンシティーと音圧レベル(SPL)
 3.3.3 ウェーバー・フェヒナーの法則
3.4 音には波としてのこんな性質がある
 3.4.1 音を発生させる3種類の仕組み
 3.4.2 風が吹く音:カルマン渦
 3.4.3 波の回折現象
 3.4.4 波の屈折現象
 3.4.5 波の反射現象
 3.4.6 波の干渉と共振

4.われわれは音をどのように聴いているのか?
4.1 人間の耳の仕組み
 4.1.1 耳の解剖学的な構造
 4.1.2 外耳の仕組み:音波を回折させる耳介と外耳道
 4.1.3 中耳の仕組み:音波を振動に変える鼓膜と3種類の耳小骨
 4.1.4 内耳の仕組み:振動を電気信号に変換する蝸牛と聴覚神経細胞
4.2 聴覚の感度は音の周波数によって変わる
 4.2.1 聴覚フィルタ
 4.2.2 等ラウドネス曲線:聴覚感度の周波数特性
 4.2.3 波のうなり
4.3 人間はどんな音をどのように聴いているのか?
 4.3.1 人間の可聴域と動物の可聴域
 4.3.2 モスキート音
 4.3.3 音源定位と音像定位
 4.3.4 サウンドスケープ

5.耳から受け取った音を脳はどう処理するのか?
5.1 音の三要素
 5.1.1 音の大きさ/高さ/音色
 5.1.2 純音を重ね合わせた音が複合音
 5.1.3 周期的複合音=基音+倍音
 5.1.4 周波数スペクトルで音質の特徴を可視化する
 5.1.5 音色の識別的側面と印象的側面
5.2 われわれは音をどう感じ取っているのか?
 5.2.1 多感覚統合:さまざまな感覚がたがいに影響を及ぼし合う
 5.2.2 共感覚:感覚は脳の中でつながっている
 5.2.3 ストループ効果:感覚情報が相互に干渉する現象
 5.2.4 マガーク効果:感覚情報がたがいに矛盾する場合に起こる現象
 5.2.5 五感は脳内で統合される
5.3 音の方向をどうやって知覚するのか?
5.4 マスキング効果とカクテルパーティ効果
 5.4.1 マスキング効果
 5.4.2 カクテルパーティ効果

6.人間はどうやって言葉を発するのか?
6.1 われわれが声を発生する機構は咽頭部にある
 6.1.1 人間の喉の構造
 6.1.2 声帯で声を出す仕組み
 6.1.3 骨伝導による音の伝搬
6.2 音声の特徴が表れるパラメータ
 6.2.1 音声波形の包絡線
 6.2.2 母音を特徴づけるフォルマント周波数
6.3 人間は言葉をどのようにして獲得するのか?
 6.3.1 赤ちゃんの母語学習
 6.3.2 子供が母語を獲得する臨界期
 6.3.3 乳幼児の母語獲得は実在する養育者からのみ可能
6.4 聴こえないはずの音が聴こえる錯覚

7.人間は音楽をどうやって認知しているのか?
7.1 音がまとまって聴こえる仕組み
 7.1.1 ゲシュタルトの法則:音楽を聴くための基本機能
 7.1.2 ゲシュタルト崩壊とは?
 7.1.3 聴覚でもゲシュタルト認知が起こる
7.2 リズムとテンポは違う
 7.2.1 リズムスキーマが音のまとまり感をつくる
 7.2.2 強拍と弱拍の繰返しパターンがリズムを形成する
 7.2.3 テンポとは音列の進行の速さ
7.3 メロディが聴こえる仕組み
 7.3.1 音の群化がメロディをつくる
 7.3.2 音列がメロディとして聴こえる音脈分凝という現象
 7.3.3 楽曲の情感を決める調性
 7.3.4 調性スキーマでメロディを理解する
7.4 音律は音と音とのピッチの相対的な関係
 7.4.1 音楽で使われるさまざまな音律
 7.4.2 ピタゴラス音律/純正律/平均律
7.5 音階と調性
 7.5.1 音階とはなにか?
 7.5.2 長音階と短音階はどう違うのか?
 7.5.3 調性とコードは音階を基本として構成される

8.音はどうすれば記録・再生できるのか?
8.1 音を記録したいという需要は古くからあった
 8.1.1 トーマス・エジソンによるフォノグラフの発明
 8.1.2 フォノグラフからグラモフォンへの発展
 8.1.3 針の振動を増幅するサウンドボックス
8.2 アナログオーディオの仕組み
 8.2.1 機械式オーディオから電気式オーディオへ
 8.2.2 音を電気信号に変換するマイクロフォン
 8.2.3 電気信号を音に変換するスピーカー
 8.2.4 電気信号を増幅するアンプリファイヤ
 8.2.5 A級アンプとB級アンプ:増幅方式の違い
8.3 音を録音・編集する機材
 8.3.1 音の電気信号を磁気の強弱パターンとして記録するテープレコーダ
 8.3.2 磁気記録の仕組み
 8.3.3 テープレコーダ:オープンリール型とコンパクトカセット型
 8.3.4 音を編集するミキサ
 8.3.5 リミッタとコンプレッサ
 8.3.6 イコライザ

9.コンピュータで音を扱うディジタルオーディオとは?
9.1 音をディジタル化する方法
 9.1.1 アナログ信号からディジタル信号への変換
 9.1.2 ディジタル情報は0と1からなる2進数
9.2 ディジタル化の基本概念
 9.2.1 音の周波数特性を決めるサンプリング(標本化)
 9.2.2 音のダイナミックレンジを決める量子化
 9.2.3 ディジタル符号化
 9.2.4 折返し雑音(エリアシングノイズ)
 9.2.5 ディジタルコードの情報伝送量
9.3 オーディオ信号を符号化するさまざまな方式
 9.3.1 リニアPCM符号化方式と情報圧縮
 9.3.2 人間の聴覚特性に合わせて情報を切り捨てるMPEG符号化方式
9.4 DVDオーディオとスーパーオーディオCD
 9.4.1 DVDオーディオ
 9.4.2 スーパーオーディオCD
 9.4.3 オーディオ符号化方式の課題
 9.4.4 マルチチャネルオーディオ

10.遠隔地に音声をどうやって伝送するのか?
10.1 電話機の発明と日本への導入
 10.1.1 電話機の仕組み
 10.1.2 日本国内での電話サービス
10.2 話したい相手にどうつなぐか?
 10.2.1 電話交換機と電話網
 10.2.2 機械式交換機からディジタル交換機へ
 10.2.3 固定電話網と携帯電話網
 10.2.4 ディジタル通信網
 10.2.5 コンピュータ通信
10.3 音声通話の品質をどう設計するか?
 10.3.1 通話品質とは?
 10.3.2 音声品質には明瞭度と了解度がある
 10.3.3 音声を伝えるのに必要な周波数帯域

11.音声合成/認識はどんな仕組みで動くのか?
11.1 音声合成とは?
 11.1.1 音声合成には長い歴史がある
 11.1.2 音声合成は音響技術だけでは実現できない
11.2 音声合成技術の枠組みと処理の流れ
 11.2.1 テキスト解析処理
 11.2.2 韻律生成処理
11.3 さまざまな音声合成方式
 11.3.1 編集合成方式と規則合成方式
 11.3.2 フォルマント音声合成と調音音声合成
 11.3.3 自然な発話を目指すコーパスベース音声合成
11.4 音声認識とは?
 11.4.1 音声の内容を認識するのは容易ではない
 11.4.2 コンピュータが音声内容を認識するときの難しさ
 11.4.3 音響分析と言語分析
11.5 音声認識の基本的な枠組み
 11.5.1 音声認識処理の流れ
 11.5.2 ノイズを減らして音声区間を検出する
 11.5.3 音声分析
 11.5.4 音響モデル
 11.5.5 言語モデル

12. 音響・音声処理技術はどう活用されているのか?
12.1 楽器の美しい音はこんな仕組みで鳴っている
 12.1.1 管楽器:フルート
 12.1.2 弦楽器:バイオリン
 12.1.3 打楽器:ピアノ
12.2 コンサートホールの響きは室内音響技術で設計する
 12.2.1 室内音響:音線法
 12.2.2 残響時間
12.3 超音波技術は広い分野で応用されている
 12.3.1 超音波の特徴
 12.3.2 超音波を応用する機器
12.4 ノイズだけを取り除いてくれるヘッドホン

引用・参考文献
索引

上記内容は本書刊行時のものです。