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出版者情報
ファシズムへの偏流
巻次:上巻
ジャック・ドリオとフランス人民党
- 初版年月日
- 2020年11月25日
- 書店発売日
- 2020年11月25日
- 登録日
- 2020年10月24日
- 最終更新日
- 2020年11月18日
書評掲載情報
2021-02-06 |
朝日新聞
朝刊 評者: 藤原辰史(京都大学准教授・食農思想史) |
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紹介
貧しい製鉄工の家に生まれたジャック・ドリオ(1898~1945)は、類まれなる弁舌とカリスマ性でフランス共産党の若き指導者となり、「赤い都市」サン・ドニの市長としても絶大なる人気を誇る。しかし、その信念からコミンテルンに反逆。除名されたのち、共産主義に対する根深い憎悪をたぎらせながら、ファシスト政党「フランス人民党」を結成する。(上巻)。
フランスのドイツへの宣戦布告、休戦協定を経て、ドリオは、反ボルシェヴィズム・フランス義勇軍団の創設者のひとりとしてドイツ国防軍の制服を着て東部戦線で戦うなど、熱烈なナチス協力者へと変じる。その後ドイツの敗色が濃厚になるなか、ドイツ・マイナウ湖に亡命したドリオは、ヒトラーとも会見。自身の政権を画策するが、1945年、移動中に飛行機からの機銃掃射を受け謎の死を遂げる。(下巻)
もっとも著名な政治的転向者のひとりジャック・ドリオの謎に包まれた生涯を、政治、経済、社会、思想史などさまざまな背景から丹念にたどり、あらゆる思想がひしめいた激動の20世紀史をも照射する傑作評伝。
【本書「はしがき」より】
左右の政治勢力の激しい対立が国を二分した1930年代のフランスで、左翼から極右に、共産主義や社会主義からファシズムに移行し、ヴィシー政権下では対独協力に積極的に加担した政治家や知識人が少なからずいたが、それらのなかでも、ジャック・ドリオはもっとも有名で、もっとも代表的な人物である。また、さまざまな困難が多くの人々に特異な生き方を強いたこの時代、とりわけドリオはもっとも驚くべき生涯を生きた人物であった。
目次
【上巻目次】
地図
はしがき
第一部 共産主義からファシズムへ―ジャック・ドリオとフランス人民党
はじめに―左翼からファシズムへの移行
第1章 生い立ち
第2章 モスクワへ
第3章 代議士になるまで
第4章 共産党代議士として
第5章 反植民地主義の闘士
第6章 権力のための闘い
第7章 動揺
第8章 自己批判
第9章 「赤い」都市の市長
第10章 反逆と除名
第11章 サン・ドニ地区多数派
第12章 ファシズムへ向かって
第二部 フランス人民党 一九三六~一九四〇年
第1章 フランス人民党の結成
第2章 フランス人民党の組織
第3章 フランス人民党はファシストか
第4章 「自由戦線」の提唱
第5章 フランス人民党の危機
註
図版出典一覧
上記内容は本書刊行時のものです。