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知られざる兵団 帝国陸軍独立混成旅団史 藤井非三四(著/文) - 国書刊行会
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知られざる兵団 帝国陸軍独立混成旅団史 (シラレザルヘイダン テイコクリクグンドクリツコンセイリョダンシ)

歴史・地理
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発行:国書刊行会
四六判
縦195mm 横138mm 厚さ28mm
重さ 480g
368ページ
定価 3,400円+税
ISBN
978-4-336-06597-1   COPY
ISBN 13
9784336065971   COPY
ISBN 10h
4-336-06597-7   COPY
ISBN 10
4336065977   COPY
出版者記号
336   COPY
Cコード
C0031  
0:一般 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年2月21日
書店発売日
登録日
2020年1月25日
最終更新日
2020年2月15日
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紹介

昭和13年、支那事変での進攻作戦が一段落すると、占領地の治安維持のため独立混成旅団が編成された。最終的には126個もの独立混成旅団が全戦域に展開した。特に、中国とフィリピンで編成された独立混成旅団の一部は戦線の拡大と戦況の悪化により、増強され師団に改編、当初の独立混成旅団の主任務である治安維持ではなく、戦略単位として正規戦に投入された。また師団に改編されなかった独立混成旅団でもフィリピンや沖縄では上陸した米軍と相対することとなる。
独立混成旅団とそれをもとに改編された各師団の戦力を支えたのが独立歩兵大隊である。
独立混成旅団は5個、師団改編後は8個の独立歩兵大隊を編合した。師団改編後の独立歩兵大隊は一般師団の歩兵聯隊にあたるが、聯隊ではないので軍旗を授与されておらず、独立混成旅団から改編された師団は「軍旗なき師団」と呼ばれた。治安戦のために編成されたこれらの師団は一般師団よりも戦力・火力で劣っていたが、独立混成旅団時からの地道な治安戦の経験、実戦経験が豊富なベテラン将校が配属されたため、中国戦線や沖縄戦で一般師団にまさる活躍をすることとなった。
一方で、独立混成旅団は一般的に戦時体制に移行してから編成されたため、占領地で臨時編成されたものがほとんどであった。その人員は他の現地部隊の満期除隊者を即日召集して充当したため、必然的に予備役・後備役がその人員の大多数を占める事となり、部隊の質は低下せざるを得なかった。特に中国では広大な占領地の治安維持のため、小部隊ごとの分散配置をとなり、軍紀の弛緩が起こり、各地で対住民に対する不法行為や軍紀違反が発生した。

今まで独立混成旅団に関しては体系的に扱った書籍はない。本書は中国・フィリピンでの地味な治安戦から沖縄での玉砕戦まで各地の戦場で苦闘した独立混成旅団の全貌を記す初の書籍となる。

目次

第一章 前史としての「旅団」の変遷
◆明治期における旅団
日清戦争までの「旅団」
日露戦争、後備旅団の活躍
勇名を馳せた「花の梅沢旅団」

◆対応が難しい広大で複雑な大陸
シベリア出兵がもたらした深刻な問題
国民政府軍による「北伐」と山東出兵
張作霖爆殺事件の顛末
満州事変の光と影
日本軍の動員制度
シベリア出兵と満州事変での戦訓

◆対ソ戦備の停滞と実験部隊の誕生
絶望的だった日ソ戦力格差
新しいコンセプトによる独立混成旅団の編成
支那事変の尖兵となった独立混成旅団
複雑だった独立混成旅団廃止の背景
大前提となる後方連絡線

第二章 編成された治安対処専一な準戦略単位
◆オールチャイナで造成した抗日の海
日本陸軍の対中作戦計画
西安事件と第二次国共合作
思い知らされた深刻な事態
八路軍、戦線に加入

◆治安部隊主体に変貌した中国戦線
戦略方針の転換
前線における治安対処策
治安専一な部隊としての独立混成旅団
      
◆独立混成旅団の編制、装備、人事
好評だった編制と装備
恵まれた人事施策
深刻だった大隊長要員の不足

第三章 新局面に対応した独立混成旅団
◆大東亜戦争開戦と軍容刷新計画
創設された警備師団
軍容刷新計画と支那派遣軍からの戦力抽出
軍旗なき師団の誕生
軍紀崩壊の危機
最後まで続いた独立混成旅団の編成
      
◆南方戦線向けの独立混成旅団
独立守備隊の改編で生まれた独立混成旅団
新しい構想と絶対国防圏の設定
中部太平洋に展開した陸軍部隊
      
◆関東軍の独立混成旅団
関東軍の治安粛正作戦と終戦時の態勢
挺進作戦を主眼とした関東軍の構想

◆本土決戦における独立混成旅団
同胞を抱えて戦う国土防衛戦
島嶼防衛の独立混成旅団
要塞地帯に配備された独立混成旅団
要地配備の独立混成旅団

第四章 中国戦線における独立混成旅団の戦歴
◆治安粛正作戦の実態
四次にわたった五臺作戦の教訓
旅団長戦死の衝撃とラ号作戦
平野部における警備の実情
三つ巴の情勢だった山東省
複雑怪奇な華東戦線と皖南事件
      
◆八路軍の攻勢「百団大戦」
奇襲となった八路軍の第一次攻勢
戦果拡張を狙った第二次攻勢
「百団大戦」の総括と歴史的な意義

◆攻勢作戦に投入された独立歩兵大隊
長沙作戦における独立混成旅団
全滅した独立歩兵大隊
黄河を渡河した独立混成旅団
衡陽の堅陣を攻略した独立歩兵大隊
求められ続けた治安部隊と支那派遣軍の終焉

第五章 南方戦線における独立混成旅団の苦闘
◆楽観視した南方資源地帯の治安情勢
軽視されていた南方での治安対策
最悪だったフィリピンの治安情勢
平穏ではなかったインドネシア
「地獄ビルマ」の実相

◆太平洋正面における独立混成旅団の終焉
翻弄され続けた独立混成第二一旅団
勝算なき島嶼防衛作戦
メレヨン環礁の悲劇
沖縄決戦での独立混成第四四旅団

独立混成旅団、治安作戦関連、略年表

著者プロフィール

藤井非三四  (フジイヒサシ)  (著/文

軍事史研究家。1950年、神奈川県生まれ。
中央大学法学部法律学科卒業。国士舘大学大学院政治学研究科修士課程修了(朝鮮現代史専攻)。著書に「日本軍とドイツ軍」、「レアメタルの太平洋戦争」、「日本軍の敗因」(学研パブリッシング)、「二・二六帝都兵乱」、「日本の防衛10の怪」(草思社)、「陸海軍戦史に学ぶ負ける組織と日本人」(集英社新書)。「陸軍人事」、「陸軍派閥」、「なぜ日本陸海軍は共同して戦えなかったのか」(潮書房光人社)、「帝国陸軍師団変遷史」(国書刊行会)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。