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質的研究アプローチの再検討 井頭 昌彦(編集) - 勁草書房
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質的研究アプローチの再検討 (シツテキケンキュウアプローチノサイケントウ) 人文・社会科学からEBPsまで (ジンブンシャカイカガクカライービーピーエスマデ)

社会科学
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発行:勁草書房
A5判
400ページ
定価 5,000円+税
ISBN
978-4-326-30324-3   COPY
ISBN 13
9784326303243   COPY
ISBN 10h
4-326-30324-7   COPY
ISBN 10
4326303247   COPY
出版者記号
326   COPY
Cコード
C3031  
3:専門 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2023年2月10日
最終更新日
2023年3月10日
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紹介

質的研究は機能しているのか。KKV論争をふまえ分野横断的に問題提起に対する応答を整理し、社会科学方法論をアップグレードする。

社会科学方法論争における「質的アプローチを用いた研究から一般的主張や因果主張を結論することができるか」「その主張は説得的か」「その主張の説得性を担保する仕組みはどのようなものか」といった問題提起を踏まえ、その研究手法の内実と説得性確保メカニズムについて、分野間の相違を踏まえた上での総合的な理解を目指す。

目次

序 章  なぜ質的研究アプローチを再検討すべきなのか[井頭昌彦]

第1章  質的研究方法論を再検討する契機としてのKKV[井頭昌彦]
 第1節 KKV をとりあげる意義
 第2節 推論と不確実性と検証
 第3節 記述的推論における不確実性の評価と対処
 第4節 因果的推論における不確実性の評価と対処
 第5節 KKV からの提言のまとめ

第2章  KKV 論争の後で質的研究者は何を考えるべきか――論争の整理と総括[井頭昌彦]
 第1節 KKV の問題提起
 第2節 争点にならないリアクション群
 第3節 KKV 批判の論点として重要なもの
 第4節 まとめと次章以降への展望
 コラム 因果メカニズム[清水雄也・小林佑太]

第3章  個別事例研究は何を目指すのか――歴史研究における質的アプローチ[森村敏己]
 第1節 はじめに
 第2節 系の歴史学とその批判
 第3節 質的アプローチが目指すもの
 第4節 構造と主体性,読解の妥当性
 第5節 結び
 本章をよりよく理解するためのQ&A
 コラム ミクロストリア[鈴木良和]

第4章  教育研究における質的研究方法論の位置――教育社会学の視座から[山田哲也]
 第1節 教育研究における教育社会学の位置
 第2節 教育の営みにみられる特徴――デュルケームとルーマンの議論を手がかりに
 第3節 「技術欠如」にどう対処するか
 第4節 教育研究における質的アプローチの位置づけ
 第5節 個別の実践と制度的な介入のあいだで
 本章をよりよく理解するためのQ&A
 コラム 欧米の教育研究における質的研究方法論の系譜[栗原和樹]

第5章 「量」対「質」をプラグマティックに乗り越える――生成的因果,GTA,移転可能性[鈴木直文]
 第1節 はじめに
 第2節 量的研究対質的研究?
 第3節 生成的因果
 第4節 私の(と)グラウンデッド・セオリー
 第5節 移転可能性(再帰性と批判的実在論)
 第6節 おわりに
 本章をよりよく理解するためのQ&A

第6章  なぜ政策学では1事例のみの研究であっても評価されるのか[堂免隆浩]
 第1節 はじめに
 第2節 政策学関連の学会の特徴と投稿論文の採否判定基準
 第3節 政策学関連の学術誌における1事例のみの論文
 第4節 政策学における1事例のみの論文の特徴
 第5節 政策学関連の各学会における事例研究の扱われ方
 第6節 まとめ
 本章をよりよく理解するためのQ&A
 コラム 社会政策研究における質的アプローチ[山邊聖士]
 コラム 政治学方法論[狩谷尚志]

第7章  事例の観察と知見の一般性の関係――会話分析の場合[小宮友根]
 第1節 はじめに
 第2節 KKV における解釈主義
 第3節 会話を組み立てる方法
 第4節 会話分析における事例の数
 第5節 おわりに
 本章をよりよく理解するためのQ&A

第8章  質と量はいかに関わりあうか――現代将棋における棋士とソフトの相互作用をめぐって[久保明教]
 第1節 すれ違う視点
 第2節 経験則と数の暴力
 第3節 高速道路と美意識
 第4節 制御された取り違え
 第5節 おわりに
 本章をよりよく理解するためのQ&A
 コラム 方法論の定式化に抗する人類学[谷憲一]
 コラム フェミニスト方法論[永山理穂]

第9章  社会学における「素朴な折衷主義」はなぜ(あえて?)「失敗」してきたのか――〈データサイエンス〉状況を追い風としつつ,やり過ごすために[町村敬志]
 第1節 はじめに――KKV 論争によって何が社会学に突き付けられたのか
 第2節 KKV 論争と統計的因果推論の現在
 第3節 社会学の問い――その潮流変化と研究方法の変容
 第4節 事例としての社会運動論
 第5節 EBPM の台頭とその影響
 第6節 「データサイエンス」状況の先をどう豊かなものとしていくか
 本章をよりよく理解するためのQ&A

第10章  Evidence-Based Practices にとって「良いエビデンス」とは何か――統計的因果推論と質的知見の関係を掘り下げる[林岳彦]
 第1節  エビデンスの「良さ」は何で決まるか――社会利用のための五つの観点の軸
 第2節  エビデンスの移設可能性の根拠を掘る――統計的因果推論におけるバイアス分解による整理
 第3節 「固有性の世界」と「法則性の世界」の往復過程としてのEBPs
 第4節  最後に:RCT は良き事前分布をもたらすものに過ぎないとして――EBPs 以前/以後の分水嶺としての「良き質的知見」
 本章をよりよく理解するためのQ&A

終 章 「質的」「量的」をめぐる社会科学方法論争の整理――科学哲学の視点から[井頭昌彦]

編者あとがき[井頭昌彦]
文献表
事項索引
人名索引
執筆者一覧

著者プロフィール

井頭 昌彦  (イガシラ マサヒコ)  (編集

井頭 昌彦(いがしら まさひこ) 東北大学大学院文学研究科博士課程後期3年の課程修了、博士(文学)。現在、一橋大学社会学部教授。主著に『多元論的自然主義の可能性』(新曜社、2010)

上記内容は本書刊行時のものです。