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出版者情報
統治の抗争史
フーコー講義1978-79
- 書店発売日
- 2018年11月16日
- 登録日
- 2018年10月6日
- 最終更新日
- 2018年11月13日
書評掲載情報
2019-01-27 |
産經新聞
朝刊 評者: 石原千秋(早稲田大学教授) |
2019-01-26 |
朝日新聞
朝刊 評者: 齋藤純一(早稲田大学教授・政治学) |
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紹介
国家理性、都市計画、病と衛生、人口、確率・統計、エコノミー…。キーワードと共に「統治」概念の抗争史を描き、講義の核心に迫る。
独特な用語や思考の跳躍にあふれたフーコーの講義を把握するには、読み手もある深さに達する必要がある。講義で言及される文献の読解、概念の研究史の確認を通し、核心的な発言の周囲にその思考が形をなすまでのプロセスを配置、大きな流れと主要概念を理解する。フーコーを「使う」のではなく、より深く「読む」ための必読書。
目次
はじめに─本書はどのような著作なのか
序 章 統治性研究を位置づける
一 統治の出現経緯をたどる
二 一九七八年、七九年講義
三 統治性をめぐるこれまでの研究
第Ⅰ部 国家理性
第一章 統治、統治術、君主鑑
一 統治=人の導き
二 司牧と近代の統治との異同
三 君主鑑におけるエコノミー
四 法と統治の対比
五 統治の対象としての「物事」
第二章 国家理性(一)─国家理性とマキャヴェリ
一 国家理性という発明品
二 国家理性研究の現状
三 フーコーの議論の特徴
四 国家理性とマキャヴェリ
五 国家理性論における国家の保守
第三章 国家理性(二)─クーデタと反乱
一 ノーデのクーデタ
二 ベイコンの反乱
三 ベイコンとマキャヴェリの相違
四 ホッブズの自然状態と内戦について
五 フーコーの国家理性論の特徴
第四章 「ウェストファリア的秩序」
一 諸国家の競合
二 「ウェストファリア神話」
三 フーコーにおける「ヨーロッパの均衡」
四 フーコーとタック
五 力から成る世界
第五章 ポリス論
一 ポリス論とポリス研究の国際比較
二 仏独ポリス/ポリツァイ研究
三 フーコーの視点の特徴
四 フーコーのポリス論─ポリスとはなにか
五 ポリスが生み出す対象
第Ⅱ部 人口
第六章 ポリス、都市、都市計画
一 ポリスの特権的な場としての都市
二 都市像の変遷と都市計画urbanisme
三 ル・メートル『首都論』
四 人工都市リシュリュー
五 ナントの改革プラン
第七章 病と衛生
一 都市の不衛生
二 癩とペスト(一)─癩
三 癩とペスト(二)─ペスト
四 天然痘と接種
第八章 人口の誕生をめぐって(一)
一 人口をめぐる議論へのアプローチ
二 接種は正当化されるか
三 なぜ死亡表が重要か
四 『死亡表』をめぐる論争
五 人口学のはじまり
第九章 人口の誕生をめぐって(二)
一 古代近代論争
二 人口という語
三 人口と社会
四 『人口論』の知
五 人口学の誕生
六 人口の衝撃
七 ヒトという種
第一〇章 確率・統計と人口
一 統計学とは
二 確率のはじまり
三 パスカルの賭け
四 終身年金、生命保険、死亡表
五 社会の統計学的概念化
補 章 ベルヌイ─ダランベール問題の迷宮
一 問題の所在
二 惑星軌道は神の摂理か
三 聖ペテルブルクのパラドクス
四 接種の判断基準
五 ダランベールの数学観と確率
第Ⅲ部 エコノミー
第一一章 食糧難と穀物ポリス
一 環境と人口
二 食糧難
三 穀物という主題
四 穀物ポリス
第一二章 穀物自由化論
一 自由化をめぐる攻防
二 アベイユの自由化論
三 フランス初期経済学と商業の自由
四 グルネーサークル
五 チュルゴー対ネッケル
第一三章 フーコーによる自由主義の解釈
一 人民対人口
二 人口の自然性(一)─重商主義
三 人口の自然性(二)─フィジオクラット
四 人口の自然性(三)─欲望の組み込み
五 真理の場としての市場
第一四章 ホモ・エコノミクス
一 ホモ・エコノミクスの思想史
二 情念の政治経済学
三 究極の根拠としての利益
四 見えざる手と統治の限界
五 コンディヤックとエルヴェシウス
六 ベンサム
第一五章 統治とエコノミー
一 公的なものと私的なもの
二 統治の語義の変遷
三 エコノミーの語義の変遷(一)─全き家
四 エコノミーの語義の変遷(二)─『ヌーヴェルエロイーズ』
五 エコノミー概念の錯綜
六 ルソーのエコノミーポリティーク
第一六章 市民社会
一 統治性と市民社会
二 古代から近世へ─政治社会としての市民社会
三 ヒュームとルソーにおける市民社会と文明
四 ファーガスン『市民社会史』
五 フーコーにおける市民社会と統治
おわりに─哲学と歴史について
あとがき
図版出典一覧
参考文献
索引
上記内容は本書刊行時のものです。