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出版者情報
アルド・ロッシ 記憶の幾何学
- 書店発売日
- 2024年5月1日
- 登録日
- 2024年2月7日
- 最終更新日
- 2024年4月19日
紹介
20世紀後半に活躍したイタリアの建築家、アルド・ロッシ(1931-1997)のプロジェクトを参照しながら、その設計思想を軸に、理論・建築・ドローイングの3つを対象として論じる。今なおポストモダン時代の建築家として括られることの多いアルド・ロッシ。本書では、ロッシを中心に形成された「合理主義建築」を標榜する1973年の「テンデンツァ」運動と、その背景にある「幾何学」の設計思想を、同時代の建築家たち――カルロ・アイモニーノ、マンフレッド・タフーリ、ジョルジョ・グラッシ、ジャンウーゴ・ポレゼッロらとの協働を通して読み解く。ここから、イタリア戦後建築と社会思想が辿った道筋について新たな見方を提示する。ロッシの手記やドローイング、著者による実作写真、図面・立体モデルの豊富な資料を盛り込み、被覆材の貧しさ、幾何学形態の理論的なアプローチ、それらをつなぐ「記憶」の在り方に着目し、理論とイメージが抱合される場を見出す。ロッシ/テンデンツァ研究書として、既存の一面的な理解ではないロッシ像を現代によみがえらせる。理論のみならず、創造的活動の端緒ともなる設計者必読の書。
目次
はじめに 忘れられた建築家、アルド・ロッシ
第1部 未完の幾何学
序章 闘争の季節 アルド・ロッシと合理主義の問題
1 第一五回ミラノトリエンナーレ
2 共産党のなかで、共産党に対抗すること
3 イタリアにおける合理主義の問題とネオレアリズモ
4 カルロ・アイモニーノとの友情
5 闘争の季節
第1章 貧しさの建築類型 類型概念における材料と形式
1 ロッシの材料の理念としっくい
2 アイモニーノの材料観:貧しい材料
3 ジョルジョ・グラッシの類型概念:形式の貧しさ
4 類型概念における生産技術
コラム1 民衆の聖なる類型
第2章 生きられた立方体 SDAの立方体の反復と共有
1 立方体への偏愛――SDAの協働
2 実・虚・水の立方体:立方体建築における透明性の定義
3 SDAの立方体建築
4ポレゼッロの建築設計における立方体の反復
5 ロッシの建築設計における立方体の反復
コラム2 岐阜大仏に入り込むこと
第3章 未完なる絶対性 マンフレッド・タフーリと幾何学の志向
1 絶対建築の系譜:マンフレッド・タフーリにおける「絶対性」の議論
2 建築史を異化すること
3 危機としての〝絶対的なもの〞:幾何学形態の抽出と歴史のなかの都市
4 類推の幾何学:Studio AUAと自壊する歴史性
5 未完なる絶対性:タフーリとロッシの交感
コラム3 門司港ホテルの鳥居
第2部 かたちの記憶
第4章 類推の構築 設計エスキースの「○△□」の布置と参照
1 類推の作用:『青のノート』における設計プロセス
2 絶対記号としての断片
3 モデナ墓地の○△□の平面構成
4 コラージュの理論:二次元平面上の断片の構成
5 穿たれた立方体
6「加算の手法」:事物の構成としての一軸上左右相称配置
7 類推の構築
コラム4 記憶の庭
第5章 記憶と少年期 建築ドローイング、事物の反復と忘却の経験
1 ドローイングというオブセッション:「ミラノ工科大学で最も不出来な学生」
2 ドローイングにおける宗教的事物の反復
3 コラージュの手法:自己と他者の間の記憶
4 観念とドローイング:インファンティアの方へ
5 少年時代の喪失と反復
コラム5 不安の形象化
第6章 傾向建築をめざして 建築教育における「テンデンツァ」理念
1 傾向の理念:ロッシのミラノ工科大学での設計教育
2『青のノート』における「傾向」概念
3 設計教育論としての『都市分析と建築設計』
4「設計の理論」における「傾向」概念
5「建築における社会主義都市の理念」における「傾向」の表出
6 傾向建築をめざして ●●
コラム6 屋台とかき氷
インタビュー アルド・ロッシと日本 堀口豊太 聞き手:片桐悠自
おわりに 記憶の幾何学
上記内容は本書刊行時のものです。