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物部氏とニギハヤヒ 関 裕二(著) - 笠間書院
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物部氏とニギハヤヒ (モノノベシトニギハヤヒ) 古代ヤマトの覇者の謎 (コダイヤマトノハシャノナゾ)

歴史・地理
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発行:笠間書院
四六判
256ページ
並製
定価 2,000 円+税   2,200 円(税込)
ISBN
978-4-305-71074-1   COPY
ISBN 13
9784305710741   COPY
ISBN 10h
4-305-71074-9   COPY
ISBN 10
4305710749   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0021  
0:一般 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2026年4月5日
発売予定日
登録日
2026年2月3日
最終更新日
2026年3月11日
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紹介

延暦二十三年(八〇四)八月、桓武天皇は平安京遷都にともない、石上神宮(奈良県天理市)の大量の兵仗(武器、儀仗)を、山城国葛野郡(京都市の一部)に移そうと目論んだ。動員された人数は、のべ十五万七千余人にのぼった。ところが、数々の異変が起き、桓武天皇も体調を壊したため、祟りを恐れ、兵仗をことごとく元に戻したという(『日本後紀』)。
 石上神宮は古代最大の豪族・物部氏と関わりの深い神社だ。ヤマト建国時から活躍した物部氏だったが、藤原氏の台頭によって没落した。しかし、その権威と神通力は、なかなか消えなかったようだ。その象徴が、石上神宮である。
 桓武天皇が、自身の不予に「これは祟り」と信じたのは、後ろめたい気持ちがあったからだろう。桓武天皇は政敵だらけのヤマト(大和国)を捨てたのだが、石上神宮から兵仗を略奪することが、罪深いこととわかっていたのだろう。ただの兵器や武器ではない。ヤマトの神宝でもあるからだ。
 さらに、物部氏がヤマト王権の神祇祭祀に深くかかわっていたこと、古代を代表する霊威を供えていたことも知っていたにちがいない。
 本文で触れるように、物部氏は前方後円墳の原型を築き上げ、古墳時代をリードした代表的豪族だ。ヤマトの祭祀様式の成立にも大いに寄与し、神祇祭祀の中心に立っていたと言っても過言ではない。
 物部氏は神に近い一族でもあった。物部氏の「物」は、モノノケ(物の怪)の「物」であり、「物」は古くは「鬼」を意味した。物部氏はヤマトを代表する鬼の一族でもある。
 物部氏の祖はニギハヤヒ(饒速日命)で、ヤマト黎明期の王でもあった。神武天皇に王権を禅譲したあとも、神祇祭祀の中心に立ち、実権を手放すことはなかったのだ。ニギハヤヒの末裔の物部氏は古墳時代を通じて日本各地に進出し、大地主に成長していった。『新撰姓氏録』には、京・畿内の諸氏の系譜一一八二氏を掲げているが、その約十分の一が物部(石上)氏の同系氏族だ。
 このように、物部氏は長い間ヤマトの中心勢力の地位を保ち続けたのだった。
 七世紀末から八世紀にかけて独裁志向の藤原氏が台頭し、多くの古代豪族が没落していく中、石上(物部)麻呂は左大臣に登りつめ、最後の物部系大物宰相として光り輝いた。ところが、平城京遷都(七一〇)に際し、右大臣(左大臣に次ぐ地位)藤原不比等の陰謀にはまって、旧都新益京(藤原宮)の留守居役に指名され、捨てられた。
 完成したばかりの律令制度(明文法と土地制度)を悪用してのし上がった藤原氏は、桓武天皇を担ぎ上げ、都を山背(山城。長岡京と平安京)に遷した。律令土地制度の欠陥を放置した藤原氏は、各地の土地を我が物にして、日本の土地と民を私物化した。優雅なイメージの強い平安時代とは、藤原氏だけが栄えるいびつな社会であり、人びとは古き良きヤマトの時代を懐かしんだ。その「輝かしい時代の最後の為政者」が石上(物部)麻呂であり、ヤマトの象徴的な宝器が、石上神宮の兵仗でもあった。
 桓武天皇や平安京の藤原氏が、石上神宮の神宝の祟りに震え上がった理由がここにある。物部氏の衰退こそ、ヤマトの終焉であり、「いじめ抜いた政敵やヤマトの民の恨み」が、神宝に宿っていると信じたのだろう。
 物部氏の滅亡と同時に、日本人にとって大切な時代が終わってしまったのだ。物部氏はヤマトそのものである。その正体と歴史を明らかにしてみたい。

《目次》
第一章 ニギハヤヒとナガスネビコ
・神武東征は歴史じゃない?
・ヤマト建国の考古学と重なるニギハヤヒとナガスネビコ
・前方後方墳と前方後円墳の対峙と共存状態がヤマト建国?
・奈良盆地の勢力圏は日本地図の縮図?
・瀬戸内海の覇者はニギハヤヒ
・東海地方の侮れない実力
・ナガスネビコは東海の王
・二大勢力の合体がヤマトの原型を形づくった?
・実在のヤマトの初代王は第十代崇神天皇
・イリヒコの王家とタラシヒコの王家は別の王朝?

第二章 イリヒコの王家とタラシヒコの王家
・纏向にしがみついたイリヒコの王家
・第十二代景行天皇はなぜか近江に宮を遷した
・ヤマト建国の真相
・東の実力を侮ってはいけない
・実在の初代王・崇神天皇はニギハヤヒで垂仁天皇はウマシマデ
・第十二代景行天皇のスネは長かった
・奈良盆地の特殊性
・ヤマトを二分した瀬戸内海航路と日本海航路それぞれの思惑
・はっきりと分かれたヤマトの勝ち組みと負け組
・祟る出雲神と脅える崇神天皇
・神武東征の真相

第三章 ウマシマデと垂仁天皇
・なぜ物部系の『先代旧事本紀』は尾張氏を同族と主張したのか
・ニギハヤヒではなくウマシマデがナガスネビコを殺した?
・ウマシマデの母は箸墓に眠る倭迹迹日百襲姫命?
・倭迹迹日百襲姫命は人柱?人身御供?
・「倭[ヤマト]」は東海系の名
・ヤマトタケル[倭建命]の悲劇は東海勢力の歴史
・ヤマトの王家は三つの地域の人々が形成した?
・鍵を握るウマシマデはなぜ石見に逼塞した?
・垂仁天皇の業績を見つめ直す
・伯父殺しの十字架を背負ったウマシマデ

第四章 垂仁天皇とタニハ(但馬、丹波、丹後、若狭)
・纏向の初代王は第十一代垂仁天皇
・謀反事件は正妃がからんでいた
・正妃の謎めく遺言
・なぜ垂仁天皇の妃はタニハ系で埋められたのか
・タニハ(但馬、丹波、丹後、若狭)はヤマト建国のフィクサー?
・日本海の敗北とタニハの立ち位置
・垂仁天皇の難しい選択
・瀬戸内海政権(物部政権)は実利を選んだ?
・誰が歴史の勝者か
・奈良時代の幕引きとともに起きていた古き良き時代の終焉
・恐るべき石上神宮のパワー

目次

《目次》
第一章 ニギハヤヒとナガスネビコ
・神武東征は歴史じゃない?
・ヤマト建国の考古学と重なるニギハヤヒとナガスネビコ
・前方後方墳と前方後円墳の対峙と共存状態がヤマト建国?
・奈良盆地の勢力圏は日本地図の縮図?
・瀬戸内海の覇者はニギハヤヒ
・東海地方の侮れない実力
・ナガスネビコは東海の王
・二大勢力の合体がヤマトの原型を形づくった?
・実在のヤマトの初代王は第十代崇神天皇
・イリヒコの王家とタラシヒコの王家は別の王朝?

第二章 イリヒコの王家とタラシヒコの王家
・纏向にしがみついたイリヒコの王家
・第十二代景行天皇はなぜか近江に宮を遷した
・ヤマト建国の真相
・東の実力を侮ってはいけない
・実在の初代王・崇神天皇はニギハヤヒで垂仁天皇はウマシマデ
・第十二代景行天皇のスネは長かった
・奈良盆地の特殊性
・ヤマトを二分した瀬戸内海航路と日本海航路それぞれの思惑
・はっきりと分かれたヤマトの勝ち組みと負け組
・祟る出雲神と脅える崇神天皇
・神武東征の真相

第三章 ウマシマデと垂仁天皇
・なぜ物部系の『先代旧事本紀』は尾張氏を同族と主張したのか
・ニギハヤヒではなくウマシマデがナガスネビコを殺した?
・ウマシマデの母は箸墓に眠る倭迹迹日百襲姫命?
・倭迹迹日百襲姫命は人柱?人身御供?
・「倭[ヤマト]」は東海系の名
・ヤマトタケル[倭建命]の悲劇は東海勢力の歴史
・ヤマトの王家は三つの地域の人々が形成した?
・鍵を握るウマシマデはなぜ石見に逼塞した?
・垂仁天皇の業績を見つめ直す
・伯父殺しの十字架を背負ったウマシマデ

第四章 垂仁天皇とタニハ(但馬、丹波、丹後、若狭)
・纏向の初代王は第十一代垂仁天皇
・謀反事件は正妃がからんでいた
・正妃の謎めく遺言
・なぜ垂仁天皇の妃はタニハ系で埋められたのか
・タニハ(但馬、丹波、丹後、若狭)はヤマト建国のフィクサー?
・日本海の敗北とタニハの立ち位置
・垂仁天皇の難しい選択
・瀬戸内海政権(物部政権)は実利を選んだ?
・誰が歴史の勝者か
・奈良時代の幕引きとともに起きていた古き良き時代の終焉
・恐るべき石上神宮のパワー

著者プロフィール

関 裕二  (セキ ユウジ)  (

関裕二
1959年、千葉県柏市生まれ。歴史作家、武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。仏教美術に魅了され奈良に通いつめ、独学で古代史を学ぶ。以後、古代をテーマに精力的に執筆活動を行っている。著書に『おとぎ話と神話に隠された古代史の真実』、『天皇家は何度も女王から始まった』(いずれも笠間書院)、『古代史で読みとくかぐや姫の謎』(祥伝社)、『アマテラスの正体』(新潮新書)、『新説「日本古代史」通史』(ビジネス社)、『消された王権 尾張氏の正体』(PHP新書)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。