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語感力事典 山口謠司(著/文) - 笠間書院
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語感力事典 日常会話からネーミングまで

発行:笠間書院
四六判
縦188mm 横127mm 厚さ20mm
重さ 300g
224ページ
並製
価格 1,400円+税
ISBN
978-4-305-70927-1
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年9月25日
書店発売日
登録日
2020年8月4日
最終更新日
2020年9月24日
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紹介

なぜあの言葉には惹かれて、あの言葉は不快なのか? 日本語の音(おん)のイメージ=語感を日本語本のベストセラー著者が眼からウロコの解説!
本書は、日常的に使っている日本語の音の語感と、語感から発生した語彙(オノマトペ)を五十音順に事典形式で解説します。
各音の〈ひらがな〉と〈カタカナ〉の成り立ちから、「あ=新しい始まりを感じさせる語感」「た=艶やかでふっくらした語感」「ふ=「豊さ」「打ち消し」の語感」「ら=跳ねるような明るい語感」など、各音が持つ語感を具体例を挙げながら解説。
【声に出して言ってみよう】では、語感から発生した語彙を、引用文を用いて紹介します。

実際に語感(語彙)がどのような場面で効果的に使用されているかを、古典作品から文豪作品、ライトノベルまで、幅広いジャンルから引用文を多数掲載して解説しています。著者の軽妙な語り口は、難しく思える「語感」を、楽しく、わかりやすく学ぶことができる内容です。

【目 次】
はじめに
目次
あ・い・う・え・お
か・き・く・け・こ
column1 かわいい日本語!
さ・し・す・せ・そ
た・ち・つ・て・と
column2 理想的な日本語の音の体系 「五十音図」
な・に・ぬ・ね・の
は・ひ・ふ・へ・ほ
column3 語感の使い方が上手い作家
ま・み・む・め・も
や・ゆ・よ
ら~ろ
わ・ん
column4 好感が持てる人を表現する語感
が~ご
ざ~ぞ
だ~ど
ば~ぼ
ぱ~ぽ
column5 ビジネスに使える! 説得の語感
おわりに
語感索引

目次

はじめに
目次
あ・い・う・え・お
か・き・く・け・こ
column1 かわいい日本語!
さ・し・す・せ・そ
た・ち・つ・て・と
column2 理想的な日本語の音の体系 「五十音図」
な・に・ぬ・ね・の
は・ひ・ふ・へ・ほ
column3 語感の使い方が上手い作家
ま・み・む・め・も
や・ゆ・よ
ら~ろ
わ・ん
column4 好感が持てる人を表現する語感
が~ご
ざ~ぞ
だ~ど
ば~ぼ
ぱ~ぽ
column5 ビジネスに使える! 説得の語感
おわりに
語感索引

前書きなど

はじめに

「語感」は、「食感」と同じくらい大切な感覚です。
「食感」とは、甘い、辛い、酸っぱい、苦いなどの「味覚」を含め、食物を口の中に入れたときに、口の中や喉などで受ける歯触り、舌触り、喉越しなども含めていうものです。
 本当においしいものは、舌が感じる味覚だけではなく、喉を越して五臓六腑にまで染みわたる食感に溢れています。そしてそれが健康な身体を作ってくれます。
「語感」も同じではないでしょうか。
 聞いて、心に染みる言葉の感覚は、人の一生を左右する力にもなります。
 しかし、心に染み込むように言い分ける、聞き分ける語感を身につけるためには、本当の食感を味わうと同じように、感覚を磨くための気づきや訓練が必要です。

 無農薬の新鮮な採れたての野菜を食べること、本当においしいお料理を食べること、食感はこうしたことを繰り返すことによって磨かれていくのではないかと思います。
 もちろん、おいしさを堪能するためです。
 生の採れたての野菜からは、人の手が加わる前の食感を味わうことができるでしょう。
 おいしいレストラン、おいしい家庭料理では、ひとつまみの塩、ちょっとした火加減などで変わってしまう繊細な料理から、微妙な味を知ることができるでしょう。

 語感を磨くことは、人にどのような印象で、自分の思いを伝えるかということにもかかわるとても大切なことです。
 心理学では、人は、第一印象で得たイメージを、対象の人に対して長く持つと言われています。
第一印象には、視覚的な感覚はもちろん、声の質、交わされた会話の中で印象的な語彙なども含まれます。
もし、あなたがここで汚い言葉ばかりを使って話したとしたら、相手はどう思うでしょうか。
 「ゲー、オレ、(スッ)ゲー、バカで ガチ、バグばっかりなんだ」
 こんなこと言う人と、友だちになりたいなんて思いませんよね。
 言葉が入って来た耳を洗いたくなるほど、ジャンクな言葉です。
  これは、じつは語彙の問題だけではありません。すでに語彙を構成する語感に「下品さ」が滲んでいるのです。
 「ゲー」「ガチ」「バカ」「バグ」のような濁音、とくに語頭に濁音ある言葉を聞くと、日本人は不快感を抱くのです。
 「ガマ」「ギチギチ」「グズ」「ゲリ」「ゴミ」、「ざまぁみろ」「ジロジロ」「ズリオチル」「ゼニ」「ババ」「ビリビリ「ブタ」「ベッタリ」「ボツ」など、これら濁音で始まる言葉は、どれも下品な感じがするものです。
 それは、日本語の〈かな〉に、濁音を表すための専用の文字がないということとも無関係ではありません。
 濁音で始まる言葉は、擬音語擬態語を除いて、古代日本語には皆無なのです。
 つまり、我が国の文化の根底には、「清音」を好む志向が流れていると言っても過言ではないでしょう。
 ただ、清音と言っても、「あいうえお」から「を」や「ん」にいたるまで、それぞれ、語頭にあると語感として微妙な印象の違いを与えます。
 「さらり」と「すらり」、「たっぷり」と「なみなみ」、「めきめき」と「みるみるうちに」とでは、同じ意味の言葉でも、語感は全然違ってきます。
たとえば「さらり」と「すらり」ですが、「さ」からは「さわやかさ」、「す」からは一定の方向性を持つことが感じられます。 
ほとんど同じ意味の類語なのですが、語感に敏感な人は、こうした微妙な違いを使い分けているのです。
「神は細部に宿る」とは、よく言われることですが、語感を磨き、細かなところに気を配り自在に言葉を使い分けることは、コミュニケーション能力を高めるためにも必要なことでしょう。
それでは、語感に敏感になるためには、どうすればいいのでしょうか。
 それは、名文を音読することです。
 幸田露伴、泉鏡花、宮澤賢治、新美南吉などは、敏感な語感力を使って、音で読ませる文学を作り出した文豪です。
ぜひ、音読することで、彼らの語感力を味わって欲しいと思います。
 
スマートフォンやタブレットの普及によって、以前に比べて音声を使ったコミュニケーションが確実に減少しつつあると言われます。
 音声を使わないということは、自然、聴覚を使わないということにもつながります。はた聴覚に敏感さがなくなると、当然語感に対する感覚も鈍くなるでしょう。
 じつは、この語感力の鈍感さは、「空気を読むことができない人」を生む大きな原因にもなっているのです。
 日本人は、風の音、土の匂い、雨の降り方、鳥の囀り……こうした自然の音を言葉として生かす力を育んで来ました。日本語の中に流れる語感は、まさに自然の逞しさ、優しさによって培われたものなのです。
 語感力とは、失われつつある自然にもっと耳を傾け、本来我々に備わった五感を取り戻し、研ぎ澄ますために大切な力なのではないかと思います。
 擬音語擬態語については多くの著作が出されていますが、語感力を磨くための本はほとんどありません。
 本書が皆様に語感に対する気づきの一助となれば幸いに思います。

二〇二〇年七月吉日 菫雨白水堂にて   山口謠司 拜

著者プロフィール

山口謠司  (ヤマグチヨウジ)  (著/文

1963年、長崎県佐世保市生まれ。大東文化大学文学部中国文学科教授。中国山東大学客員教授。博士(中国学)。大東文化大学文学部卒業後、同大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。専門は、文献学、書誌学、日本語史など。著書に『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)『文豪の凄い語彙力』(さくら舎)ほか多数。

上記内容は本書刊行時のものです。