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伏見院 阿尾 あすか(著) - 笠間書院
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伏見院 (フシミイン)

文芸
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発行:笠間書院
四六判
116ページ
並製
定価 1,200 円+税   1,320 円(税込)
ISBN
978-4-305-70612-6   COPY
ISBN 13
9784305706126   COPY
ISBN 10h
4-305-70612-1   COPY
ISBN 10
4305706121   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0092  
0:一般 0:単行本 92:日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年6月
書店発売日
登録日
2011年6月20日
最終更新日
2011年7月8日
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紹介

うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第5回配本、伏見院です。

きっと、歌を詠むことが楽しく、またそれを書くことが楽しく、歌の一つ一つがいとしくて、つまらぬ歌は内緒に葬ろうなどというけちな了見は爪の垢ほどもおありにならなかったのでしょう。----岩佐美代子

伏見院(ふしみいん)
後深草院皇子で、後の北朝につながる持明院統(じみょういんとう)に属した第九十二代の天皇。鎌倉時代後期、二条派に対抗した京極為兼の指導を受け、『玉葉』『風雅』の二集に、「かすかなる遠(とお)ちの峰は消えはてて夕暮白き霧の山もと」といった、微光の中に息づく生の不安を見すえるような繊細な自然詠を多くうたった。書でも著名。妃の永福門院(えいふくもんいん)と並ぶ京極派和歌の体現者。子の後伏見院もまたその弟花園天皇とともに、父や永福門院の指導の下で京極派和歌をよくし、鎌倉時代の一翼に宮廷文化の華を咲かせた。

目次

01 情けある昔の人はあはれにて見ぬわが友と思はるるかな
02 春きぬと思ひなしぬる朝けより空も霞の色になりゆく
03 いとまなく柳の末につたふ雨のしづくもながき春の日ぐらし
04 春や何ぞきこゆる音は軒の雨むかふ形は夜半のともしび
05 枝もなく咲き重なれる花の色に梢も重き春の曙
06 かすみくもり入りぬとみつる夕日影花の上にぞしばしうつろふ
07 花の上の暮れゆく空にひびき来て声に色ある入相の鐘
08 風はやみ雲のひとむら峰こえて山みえそむる夕立のあと
09 すずみつるあまたの宿もしづまりて夜深けて白き道のべの月
10 照りくらし土さへ裂くる夏の日の梢ゆるがぬ水無月の空
11 こぼれ落つる池の蓮の白露はうき葉の玉と又なりにけり
12 我もかなし草木も心いたむらし秋風ふれて露くだる頃
13 彦星のあふてふ秋はうたて我人に別るる時にぞありける
14 見渡せば秋の夕日の影晴れて色濃き山をわたる白鷺
15 なびきかへる花の末より露ちりて萩の葉白き庭の秋風
16 宵のまのむら雲づたひ影見えて山の端めぐる秋の稲妻
17 軒近き松原山の夕風に夕暮れきよく月いでにけり
18 吹きはらふ嵐の庭に音まぜて木の葉にかろき秋の村雨
19 あけがたの霜の夜がらす声さえて木末のおくに月落ちにけり
20 入りがたの峰の夕日にみがかれてこほれる山の雪ぞひかれる
21 入相の鐘の音さへうづもれて雪しづかなる夕暮れの庭
22 本柏神のすごもにふりそそぎ白酒黒酒のみきたてまつる
23 我も人も恨みたちぬる中なれば今はさこそとあはれなるかな
24 思ふ人今夜の月をいかにみるや常にしもあらぬ色にかなしき
25 こぼれ落ちし人の涙をかきやりて我もしほりし夜半ぞわすれぬ
26 鳥のゆく夕べの空よその世には我もいそぎし方はさだめき
27 四の時あめつちをして受けゆけば四方のかたちの背くしもなし
28 我のみぞ時失へる山陰や垣根の草も春にあへども
29 霞たち氷もとけぬあめつちの心も春ををして受くれば
30 おのづから垣根の草も青むなり霜の下にも春や近づく
31 わが世にはあつめぬ和歌の浦千鳥むなしき名をや跡にのこさん
32 浦風は湊の葦に吹きしをり夕暮れ白き波のうへの雨
33 ひびきくる松のうれより吹きおちて草に声やむ山の下風
34 小夜ふけて宿もる犬の声高し村しづかなる月の遠方
35 更けぬるか過ぎ行く宿もしづまりて月の夜道にあふ人もなし
36 雨の音のきこゆる窓は小夜ふけてぬれぬにしめるともしびの影
37 情けみせて残せる文の玉の声ぬしをとどむるものにぞありける
歌人略伝
略年譜
解説「王朝文化の黄旨を生きた天皇 伏見院」(阿尾あすか)
読書案内
【付録エッセイ】今日の春雨(岩佐美代子)

著者プロフィール

阿尾 あすか  (アオ アスカ)  (

* 1978年奈良県生。
* 奈良女子大学卒業、京都大学大学院博士課程修了。
* 現在 国文学研究資料館特定研究員。
* 主要論文
「炊煙の歌--『風雅和歌集』雑中を中心として」(『文学』2005年7・8月号)「風雅和歌集における烏--京極派的歌材をめぐる一考察--」(『中世近世和歌文芸論集』所収、思文閣出版 )

上記内容は本書刊行時のものです。