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JunCture(ジャンクチャー) 超域的日本文化研究 第9号  - 笠間書院
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JunCture

JunCture(ジャンクチャー) 超域的日本文化研究 第9号

発行:笠間書院
B5判
214ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-305-00299-0
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年3月
書店発売日
登録日
2018年4月3日
最終更新日
2018年4月9日
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紹介

名古屋大学「アジアの中の日本文化」研究センターが刊行する機関誌、『JunCture(ジャンクチャー) 超域的日本文化研究』第9号。[※ JunCtureというタイトルには、日本文化を、学際的かつ国際的な研究課題の結節点(juncture)として捉えようという意味合いが込められてい ます。]

学問のグローバル化という現代的な課題に対応するために、何をどう発信していくのか。一国主義的・自国中心的な意識や方法をいかに克服していくか。それらに具体的に取り組んでいく、実践の書です。

特集巻頭メッセージより。
【戦争は、侵略・占領及び避難のため人の大移動を伴うのが常である。盧溝橋事件の起きた1937年7月から、日本は上海(同年11月)、南京(12月)、武漢(38年10月)と、中国の主要都市を次々に占領した。それに伴い、中国の人々は沿岸部から内陸部へ、また英国の統治する香港へと大移動した。太平洋戦争が始まるとその香港も陥落し、上海のいわゆる「孤島」すなわち中立地帯であった英仏租界も日本軍に占領され、、その数1000万人に及ぶさらなる大移動が起きた〈1〉。その代わりに国民党の臨時首都となった重慶が文化の中心として役割を担い、延安が共産党の根拠地となった。このように、中国は淪陥区(日本軍占領区)、国統区(国民党支配区)、解放区(共産党支配区)、に分かれ、文化界もそれぞれ様相を異にしていた〈2〉。
以上は日中戦争というカテゴリーの要因による人の移動である。ただ、満州事変に発する十五年戦争という観点からすれば〈3〉、日本から“満州”へ移動する日本人、中国東北部から南下する中国人、という大量な人の流れは1931年から始まっていた。
本特集は、この時期に戦況にしたがい、または宣伝のために日本国内・淪陥区、国統区を移動した身体的・視聴覚的芸術を対象とし、それらがいかに日中諸勢力の意図を担い、機能していたか、その一端を示すことを目的としている。具体的には、演劇〔楊論文〕、音楽〔葛西〕、漫画〔城山〕、ダンス〔星野〕にかかわる芸術家たち/芸術がどのように往来し、日本軍の士気高揚ないし「大東亜」共栄圏宣伝・中国国民党寄り/共産党寄りの抗日宣伝といった異なる目的のもと、どのようにプロパガンダ・メディアとして機能したか/或いは他の役割を果たしたかを、実証的に再現することを試み、考察する。
なお、演劇、ダンス、音楽、漫画は、日本及び上述の中国各区域(淪陥区、国統区、解放区)においては、プロパガンダ・メディアとして非常に密接に連動し合っていた。一例を挙げれば、中国の抗日宣伝のための移動演劇隊には舞踊家、作曲家も参加して演劇に挿入されるダンスや歌を担当し、漫画家はポスターやチラシ、舞台背景等を担った。当該時期における各ジャンルの概観は、論考ごとに設けた「導入」をご覧いただきたい。

〈1〉藤井省三『20世紀の中国文学』放送大学教育振興会、2005、105頁。
〈2〉この時期、淪陥区、国統区、解放区、「孤島」という文化地図区分は、既に中国文学の分野では通説となっている(宇野木洋/松浦恆雄編『中国二〇世紀文学を学ぶ人のために』世界思想社、2003、15–16頁及び前掲注1藤井省三、101頁)。
〈3〉阪口直樹『十五年戦争期の中国文学』(研文出版、1996)は、1930–40年代の中国文学の独特性を理解するという観点から、「日本侵略拡大が迫った民族的課題を基準として」、1930年から1945年までという時期区分概念を提起している(8頁)。また、文天行編著『中国抗戦文化編年』(四川辞書出版社、2015)は、1931年の事項から始まる。】

目次

特集:移動する戦時プロパガンダ・メディア

●日本国内をめぐった戦時期慰問舞踊──石井みどり舞踊団1941–1945
星野幸代

●中国をスケッチする方法──『浅予速写集』と『旅行漫画』について
城山拓也

●日中戦争期における楊村彬の歴史話劇──『秦良玉』と『光緒親政記』を中心に
楊韜

●「東亜」と「郷土」のイデオロギー──戦時下の音楽関連記事および音楽展覧会の考察から
葛西周

研究論文
●大正時代における女性同性愛を巡る言説──「同性の愛」事件と吉屋信子『花物語』を中心に
鄒韻

●産業組合という希望──宮沢賢治と賀川豊彦とによる農村の更生
牧千夏

●「自己の空位」に触れ合う労働実験──黒井千次「聖産業週間」論
李承俊

●〈宗教〉で〈幻想〉を語る──雑誌『幻想文学』研究序説
茂木謙之介

●日本におけるアメリカ映画の受容
北村洋、笹川慶子

●総力戦とトランスメディア的消費文化──「国民」の再定義と矛盾をめぐって
藤木秀朗

レヴュー
●「重重プロジェクト」5年間の軌跡
安世鴻写真展「重重 消せない痕跡II アジアの日本軍性奴隷被害女性たち」
浮葉正親

●機械と身体
人工知能美学芸術展
秋庭史典

●内なる異界への彷徨の軌跡
横尾忠則 HANGA JUNGLE
栗田秀法

●「抽象の力」を現実展開する美術館空間
「岡﨑乾二郎の認識─抽象の力」
茂登山清文

●日本の近代を小津の日常からひもとく
 ──Woojeong Joo, The Cinema of Ozu Yasujiro: History of the Everyday
(Edinburgh University Press, 2017).
洞ヶ瀨真人

●シンポジウム「1930年前後の文化生産とジェンダー」をめぐって
 陳晨

●英文要旨
 ●JACRCについて
 ●JACRC事業報告(2017年4月-2018年1月)
●著者紹介
●原稿募集+投稿規定
●バックナンバー(『JunCture』01号-08号)
●編集後記

上記内容は本書刊行時のものです。