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領域を超えない民主主義
地方政治における競争と民意
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年11月
- 書店発売日
- 2022年11月11日
- 登録日
- 2022年9月21日
- 最終更新日
- 2022年11月11日
書評掲載情報
2023-01-14 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
地方政府は広がる都市の問題を解決できるのか。住民投票は地方の究極の民主主義なのか。日本の地方政治が抱える構造的問題を抉り出し、解決の糸口まで示唆する。サントリー学芸賞・大佛次郎論壇賞を受賞した注目の研究者による鋭利な地方政治論。
目次
第1章 政治制度が生み出す分裂した意思決定
1 領域と結びつく地方政府
2 地方政府と領域を超える課題
2.1 領域を超える課題にどのように対応するか
2.2 集合行為アプローチ
2.3 領域を超える協力はなぜ生まれるか
3 領域への拘束をもたらす政治制度
3.1 地方政府内の対立
3.2 地方政府間の競争
3.3 国と地方の関係
4 政治制度の帰結
4.1 地域的な政党政治の不在と分裂した意思決定
4.2 限定的な連携と合併による解決の限界
5 本書の議論と構成
5.1 都市の中心をめぐる競争
5.2 分裂した意思決定の中での住民投票
第2章 都市の中心をめぐる垂直的な競争──県庁所在市の庁舎
はじめに
1 戦前の府県庁舎
1.1 城郭と庁舎
1.2 府県と都市の競争──大阪という特殊例
2 県庁舎の位置づけの変化
2.1 象徴としての県庁舎から高層ビルへ
2.2 都市の中心から移転する県庁舎
3 地方自治再編期の庁舎
3.1 平成の大合併と市庁舎の移転
3.2 広域の観点からの再編成
得られた知見
第3章 都市を縮小させる分裂した意思決定──2つの港湾都市
はじめに
1 港湾都市の発展と凋落
1.1 函館港
1.2 下関港
2 変化への対応
2.1 合併と港湾の地位低下
2.2 都市政策の変遷
3 人口減少という課題
3.1 旧市街の空洞化
3.2 空洞化への対応としての観光
得られた知見
第4章 大都市の一体性と分節──国際比較と日本
はじめに
1 大都市への注目とその比較
2 地方政府による分節と大都市の成長
3 大都市比較のためのデータ
4 計量分析
4.1 分析モデル
4.2 結果の解釈
4.3 頑健性の確認
5 比較の中の日本の大都市
得られた知見
第5章 民意をどこに求めるか──住民投票と地方議会
はじめに
1 住民投票の類型化
2 住民投票の目的
2.1 拒否権としての住民投票
2.2 住民投票による正統化
3 地方議会と住民投票の受容
3.1 民意をめぐる競争
3.2 正統性に差異をもたらす要因
4 分析
4.1 調査の方法──ヴィネット実験
4.2 サンプル全体の分析
4.3 地方議会への正統性評価と住民投票
4.4 争点ごとの違い
得られた知見
第6章 領域を再編する民意──平成の大合併
はじめに
1 平成の大合併における住民投票の位置づけ
1.1 財政的な不利と地方議員の反対
1.2 多様な住民投票
2 住民投票の分析
2.1 イニシアティブとレファレンダム
2.2 合併協議会設立の住民投票
2.3 条例による住民投票──賛否を問う住民投票
2.4 条例による住民投票──枠組みを問う住民投票
得られた知見
第7章 大都市における分裂した意思決定と民意──2010年代の大阪
はじめに
1 大阪都構想の展開
1.1 領域の再編成
1.2 大阪市分割への傾斜
2 住民投票への過程
2.1 大阪都構想の提案
2.2 大阪維新の会の成立と存続
2.3 国政への働きかけと大都市地域特別区設置法
2.4 大阪市議会の反対と公明党への脅し
3 静かな制度変化
3.1 対立軸の明確化と政党の組織化
3.2 同日選挙
3.3 定数削減と区割りの変更
4 住民投票というハードル
得られた知見
終 章 分裂した意思決定の克服に向けて
本書は何を明らかにしたか
都市政治の再構築
上記内容は本書刊行時のものです。