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出版者情報
幻のレコード 検閲と発禁の「昭和」
発行:講談社
46変形
288ページ
定価
2,100円+税
- 書店発売日
- 2023年11月1日
- 登録日
- 2023年9月22日
- 最終更新日
- 2024年9月2日
書評掲載情報
2024-02-24 |
朝日新聞
朝刊 評者: 保阪正康(評論家) |
2024-01-06 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 通崎睦美(木琴奏者) |
2023-12-17 |
読売新聞
朝刊 評者: 金子拓(東京大学教授・歴史学者) |
2023-12-16 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 松村洋(音楽評論家) |
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紹介
本書は当時最新の、音声にかかわるメディアであったレコードの検閲について、内務省当局の記録である『出版警察報』をメイン史料として浮き彫りにします。レコードは最新の音声・映像メディアであるラジオ・映画に比して、一般大衆が実際に手元に置けるという点で従来の書物と地続きのものでしたが、再生装置の必要性、享受の複数性・同時性などの特徴から従来の「活字の取り締まり」とは違う位相を呈することになりました。
レコード検閲は内務省警保局図書課レコード検閲係(のち検閲官)がおこないましたが、官と民の意見のすり合わせをする「内閲」や「懇談」を通じて、やがて発禁を避けるためのレコード会社による自主検閲(=自粛)という仕組みができあがります。
敗戦後、検閲は憲法によって禁止され、GHQによる占領期を除いて公式にはおこなわれてはいませんが、クレームを恐れるレコード会社や放送局の自主規制が検閲の役割を果たしているという点で、その仕組みはいまなお変わっていません。さらにSNSの普及によって検閲はいまや一般大衆の手に委ねられたとさえいえ、企業が自粛する構図ができあがっているのです。
本書は「昭和」という時代における音声メディアと権力との関係、メディア自身のありようがどのようなものであったかをさぐります。また、本書ではこれまで取り上げられることのなかったレコード検閲係(官)小川近五郎という人物の実像に迫ります。レコード検閲で下級官僚が果たした役割をたどりつつ、その人間味をも含めて「現場からの歴史」を描きます。
上記内容は本書刊行時のものです。