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「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学 マルクス・ガブリエル(著/文) - 講談社
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講談社選書メチエ

「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学

発行:講談社
四六判
392ページ
定価 2,100円+税
ISBN
9784065170793
Cコード
C0310
一般 全集・双書 哲学
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2019年7月22日
最終更新日
2020年3月3日
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書評掲載情報

2019-12-15 毎日新聞  朝刊
評者: 養老孟司(解剖学者)
2019-10-13 毎日新聞  朝刊
評者: 養老孟司(解剖学者)

紹介

今、世界で最も注目を浴びる哲学者マルクス・ガブリエル。大ヒット作『なぜ世界は存在しないのか』の続編にして、一般向け哲学書「三部作」の第2巻をなす注目の書が日本語で登場です。
前作と同様に目を惹きつけられる書名が伝えているように、本書が取り上げるのは昨今ますます進歩を遂げる脳研究などの神経科学です。それは人間の思考や意識、そして精神は空間や時間の中に存在する物と同一視できると考え、その場所を特定しようと努めています。その結果は何かといえば、思考も意識も精神も、すべて脳という物に還元される、ということにほかなりません。でも、そんな考えは「イデオロギー」であり、「誤った空想の産物」にすぎない、というのがガブリエルの主張です。
「神経中心主義」と呼ばれるこのイデオロギーは、次のように主張します。「「私」、「意識」、「自己」、「意志」、「自由」、あるいは「精神」などの概念を理解したいのなら、哲学や宗教、あるいは良識などに尋ねても無駄だ、脳を神経科学の手法で―─進化生物学の手法と組み合わせれば最高だが―─調べなければならないのだ」と。本書の目的は、この考えを否定し、「「私」は脳ではない」と宣言することにあります。その拠り所となるのは、人間は思い違いをしたり非合理的なことをしたりするという事実であり、しかもそれがどんな事態なのかを探究する力をもっているという事実です。これこそが「精神の自由」という概念が指し示すことであり、「神経中心主義」から完全に抜け落ちているものだとガブリエルは言います。
したがって、人工知能が人間の脳を超える「シンギュラリティ」に到達すると説くAI研究も、科学技術を使って人間の能力を進化させることで人間がもつ限界を超えた知的生命を実現しようとする「トランスヒューマニズム」も、「神経中心主義」を奉じている点では変わりなく、どれだけ前進しても決して「精神の自由」には到達できない、と本書は力強く主張するのです。
矢継ぎ早に新しい技術が登場してはメディアを席捲し、全体像が見えないまま、人間だけがもつ能力など存在しないのではないか、人間は何ら特権的な存在ではないのではないか……といった疑念を突きつけられる機会が増している今、哲学にのみ可能な思考こそが「精神の自由」を擁護できるのかもしれません。前作と同様、日常的な場面や、テレビ番組、映画作品など、分かりやすい具体例を豊富に織り交ぜながら展開される本書は、哲学者が私たちに贈ってくれた「希望」にほかならないでしょう。

[本書の内容]
序 論
I 精神哲学では何をテーマにするのか?
II 意 識
III 自己意識
IV 実のところ「私」とは誰あるいは何なのか?
V 自 由

目次

はじめに
I 精神哲学では何をテーマにするのか?
II 意 識
III 自己意識
IV 実のところ「私」とは誰あるいは何なのか?
V 自 由

原注
文献一覧
概念索引
人名・作品名索引

著者プロフィール

マルクス・ガブリエル  (マルクス ガブリエル)  (著/文

1980年生まれ。哲学者。現在、ボン大学教授。後期シェリング研究をはじめ、古代哲学における懐疑主義からヴィトゲンシュタイン、ハイデガーに至る西洋哲学全般について多くの著作を執筆。「新しい実在論」を提唱して世界的に注目されている。主な著書として、一般書「三部作」として構想された、『なぜ世界は存在しないのか』(原著2013年、講談社選書メチエ)、本書(原著2017年)、Der Sinn des Denkens (Ullstein, 2018) など。

姫田 多佳子  (ヒメダ タカコ)  (翻訳

津田塾大学国際関係学科卒業。5年間のドイツ滞在時にドイツ語を習得。以来二十数年間、学術論文等の翻訳に従事。訳書に、バスティアン・オーバーマイヤー/フレデリック・オーバーマイヤー『パナマ文書』(KADOKAWA)。

上記内容は本書刊行時のものです。